第10話:僕の体、スライムになってるんですけど。
「うう……」
俺は、頭痛に耐えながら、目を覚ました。
俺は、自分の体に異変が起きていることに気づいた。
「……え?」
俺の腕が、プルプルと揺れている。
そして、俺の腕は、まるでゼリーのように、半透明で、青い色をしている。
「うわあああああああ!」
俺は悲鳴を上げた。
俺の体が、スライムに変わってきているのだ。
顔、腕、足……。
俺の体は、徐々に青いゼリー状の物体へと変化していく。
「なんでだよ! 俺の体、元に戻ってくれ!」
俺は、絶望のあまり、叫んだ。
しかし、俺の体は、プルプルと揺れるばかりだ。
俺は、慌てて鏡を見た。
鏡に映っていたのは、全身が青いゼリー状の物体へと変化した、俺の姿だった。
「ひぃっ!」
俺は、悲鳴を上げた。
その時、俺の頭の中に、アナウンスが響いた。
『スライム化が進行中です。スライム化が完了すると、あなたは、この世界の常識に囚われない存在になります』
「ふざけんな! 俺は、ただのサラリーマンなんだよ!」
俺は、このままでは、自分が自分でなくなってしまうと、恐怖に駆られた。
俺は、どうにかして、スライム化を止めなければならない。
俺は、インターネットで、「スライム化を止める方法」を検索してみた。
しかし、検索結果に出てきたのは、「スライムの作り方」や「スライムの育て方」ばかりだ。
「くそっ!」
俺は、このままでは、会社に行けないと悟った。
しかし、俺は、このままではいられない。
俺は、どうにかして、スライム化を止める方法を探すため、会社へと向かった。
会社に着くと、俺は、何事もなかったかのように、自分の席へと向かった。
しかし、俺の足元は、プルプルと揺れている。
「山田君、どうしたの? 足元、プルプルしてるけど……」
同僚の佐藤さんが、不思議そうな顔で俺を見た。
「い、いえ、なんでもないです! 運動不足で、足が震えてるだけですよ!」
俺は、必死に誤魔化した。
その時、俺の背後から、冷たい声がした。
「……あなたの体が、バグに侵食されていますね」
振り返ると、そこには、バグ修復師が立っていた。
「そのバグは、あなた自身の存在を、この世界から消し去ろうとしています。これ以上、放置すると……」
バグ修復師が、俺に向かって手を伸ばした。
「ま、待ってくれ! 俺は、このままじゃ……」
俺は、自分の体が、プルプルと揺れるのを感じた。
俺の体は、もう、半分以上がスライムへと変化していた。
「……助けてください!」
俺は、生まれて初めて、バグ修復師に助けを求めた。
俺の言葉に、バグ修復師は、少しだけ目を丸くした。
そして、バグ修復師は、俺の体に手を触れた。
「……私の力では、このバグを修復することはできません」
バグ修復師が、淡々と俺に言った。
俺は、絶望した。
「しかし、このバグには、対処法があります」
バグ修復師が、俺に言った。
「そのバグは、あなた自身の『常識』と『非常識』のバランスが崩れたことで、発生しました。あなたの『常識』を、この世界に、より強く定着させることで、バグを一時的に抑えることができます」
「俺の、常識を……?」
俺が首をかしげると、バグ修復師は、俺に一枚の紙を渡した。
そこには、「平穏な日常を取り戻すためのマニュアル」と書かれていた。
「これに書かれていることを、一つ一つ実行してください」
バグ修復師が、俺に言った。
俺は、そのマニュアルを手に取り、どうにかして、このバグを乗り越えなければならないと、覚悟を決めた。




