02S.6色魔人とタイタニオン 前編
「アルザンティア(地下世界)」の住人は「6色魔人」と呼ばれる、肌色が極端に違う、魔人類が住みました。その肌色とは「青、赤、緑、黄、白、黒」でした。色が6つに分かれたので、ここでは、そのように呼ばれました。彼等が「アルザンティア」の「メインの魔人類」でした。
その他には身長が、2メートルから3メートルにも及ぶ「タイタニオン」と、呼ばれる巨人種も、ここには存在しました。それは、長い髪と背中が茶色い体毛に、覆われました。その為、彼等は別名「茶色魔人」とも、呼ばれました。
「6色魔人」は「パルパンティアの魔人類」のような、高度に発達した化学文明は、持ちませんが、程良く進歩した文明社会を、築きました。そしてこの地の6色魔人は、2大勢力に、分かれました。即ち緑色・黄色・白色・黒色魔人達は、主に「4色魔人」と、呼ばれました。そして青色・赤色魔人達「2色魔人」に、追われました。なぜ彼等は、追われるのでしょうか。それは、この2色魔人達は、他の4色魔人達を、追い詰め「捕らえて食べる」為に、彼らを追いました。
青と赤の2色魔人達は「カニバン(人食い人種)」でした。その食べ方としては、調理等しないで、生きたまま直接、食べました。大人も子供も男も女も、誰でも捕まれば、そのまま食べられました。但し老人だけは、食べませんでした。しかし腹が空けば、老人でも食べました。このカニバン達は、他のものは食べずに、ただ只管4色魔人達を、捕らえては、食べました。
4色魔人の方が数も多くて、体躯も同じでしたので、有利に思われました。しかし、このカニバン達は、他者を捕らえて捕食すると言う特殊性から、魔獣のように腕力が発達して、対峙すると力では敵わずに、一方的に捕らわれて、彼らの餌食に、成りました。しかし流石に、タイタニオンだけは、捕食が出来ませんでした。
しかし彼らも、捕食対象でした。カニバン達は、他者を捕獲して食べると言う優位性から、特殊能力を身に着けており、同格で有る者から「追う者」とか「狩る者」へと、進化しました。
元は、同格で有りながら、共生した6色魔人達でしたが、何故こうなったのか、彼らにも、良く分かりませんでした。この現状の中で、青色魔人の若い娘「ミスティル」は「なぜ自分らは、人食いをするのか。」と、疑問を持つように、成りました。友達の赤色魔人の「レミィル」も、同じ考えでした。
彼女達は、15歳の頃から、人食いをしたので、人を食べることが、普通に成りました。腕力も男並みに強く、彼女達は弓矢が得意でした。カニバンの中には、ミスティルのような、考えを持つ者も居て、そうゆう者達は、集落を離脱して、4色魔人達の所属に、加わる者も居ました。
そして1回でも離脱すると、二度と自分の集落には、戻れませんでした。「離脱した者」は、カニバンで有っても、捕食対象者に、成りました。幸いにも、青色魔人のミスティルと、赤色魔人のレミィルには、自分達の家族が、居ませんでした。彼女達は、孤児でしたので「孤児院仲間」でした。「青色魔人と赤色魔人」は、同盟を、結んだので、行動を共にして、孤児院で一緒に成り、育てられました。子供の頃は、加工された人肉を、食べましたが、15歳に成ると「本格的な人食い」に、参加させられました。
それは、今でも覚えて居ました。自分よりも小さい「黄色魔人の少女」を捕まえると、皆で寄って集って、生きたまま人食いをして、無残に殺されたのを、目撃しました。普通のカニバン達の集落では、食事が4色魔人以外は、食べてはいけないことに、成りました。「人食い」をしないと、ここでは生きられませんでした。
「ミスティル」は、大人達に「なぜ人食いをするのか。」と、聞いたことが有りました。その答えは、いつも決まって「大いなる力を、得る為で有る。」と言う、ものでした。その「大いなる力」とは、怪力や敏捷性、又は予知能力のことなのでしょうか。彼女には、それが「大いなる力」とは、思えませんでした。
「ミスティルとレミィル」は、今日まで人食いをしました。そして彼女達は、18歳に成りました。彼女達は、もう人食いは止めて「普通の生活」がしたいと、思いました。彼女達の普通と言うのは「人食いをしない日常」のことでした。彼女達は、大分前から「離脱の計画」を、練って居ました。
それは、アルザンティアの「4色魔人達の居住エリア」に、逃げ込むことでは、有りませんでした。そこには、離脱したカニバン達も、少人数居ましたが、カニバン達は、恨まれたので「安全地帯」とは、言えなかったのです。また腕力的にも、カニバン達よりも、弱かったので彼女は、最初から身を寄せようとは、考えませんでした。では何処に行くのでしょうか。ミスティルは「上に行こう」と、考えました。
彼女は最近「ダルタニアの地上世界に、行ける階段を見付けて、そこを昇って地上に出よう」と、考えました。その話しを、幼馴染みのレミィルに話すと、彼女も「連れて行って欲しい。」と、言いました。そこで2人は「離脱する機会」を、伺いました。ミスティル達が居る、この世界は「魔神アスタロット」が、支配する世界でした。
この地下世界には、魔獣も居ましたが、それよりも「大型の魔虫」達が、数多く生息しました。そのアスタロットの上には、彼を従える大魔神が、居りました。その大魔神の名前が「右側神サタナス」の叔父で有り、大幹部の1人でした「羽虫の王」こと「大魔神ベルゼブット」でした。アスタロットは、その「羽虫の王」の後継者でした。
彼女達は、その魔神達の存在を、余り知りませんでした。彼女達は、この集落では、まだ子供扱いでしたので、比較的自由に、行動することが出来ました。ミスティルは、親しい大人に「〝ウールピオンの洞窟″を、見に行って来ます。」と言うと、相棒のレミィルを誘い、早速その洞窟へと、向かいました。
その洞窟は、この集落からは比較的、近い場所に有ったので、良く整備されました。洞窟内は、複雑な構造でしたが「ミスティル」には「優れた方向感覚」が有ったので、何回も迷わずに「地上世界」に、出たことが有りました。
同行予定の「レミィル」は、今回が初めてだったので、地上に出れば、初めての経験でした。「地上世界」へは、昇り道と成りました。途中までは、階段が有ったのですが、その先は勾配だけと成り、少しキツク成りました。地下坑道の内部は、やや広い位でした。そしてミスティル達の旅立ちは、問題無く「集落を出ること」が、出来ました。