01S.神の積み木
☆後の展開で、重要な主人公の先祖と成る、娘の登場。
この初めの御話しは「象徴のようなもの」で有り、大体は符合しますが、或るときは、そのように見えても、このときは、そのように見えました。これは「神界での出来事」で有り「人間の小さな頭」では、そこで何が起きたのかを、正確に把握すること等、最初から出来ないのです。
気の遠くなるような遥か昔から、それは在りました。それは六面が有る、立方体のような形でした。外観は、人間の手の平に乗るような、大きさでした。しかしその内側は、地球型惑星が、4つも入るような、途轍もなく広大な空間を、有しました。その「六面立方体」は、もちろん人間が、作ったものでは有りません。それを人間が見たり、触ったりすることは、誰にも出来ませんでした。
その他のものとしては、直方体で有ったり、円柱体で有ったり、三角柱で有ったり、または丸いモノまで、全ての形状が、そこに有りました。それは「人間世界」で言う「積み木」のような、子供の玩具に見えました。その何種類も有る、積み木のようなものは、神の子供達が「遊ぶ為の遊具」でした。神の子供達は、その遊具を使い、積み上げたり、壊したりしながら、遊んでときを、過ごしました。
神の子供で有る「サタナス」は、その積み木の中でも、特に「六面立方体」が、お気に入りでした。彼は良く、その立方体を摘まみ上げては、中を覗いたり、左右に振って、そこから出る音を、聞いたりして遊びました。それは特に、7色の美しい色に、輝いておりサタナスは、いつもその立方体を見ると「それが欲しい。」と、思いました。
「神の積み木」は、神の至宝で有り、例え神の子供で有っても、一身の神が、保有することが、許されるものでは、有りませんでした。その「積み木」の有る部屋は、神の子供のみが、入る事を許されました。幼い頃のサタナスは、良く友達の神の子供達と、中に入っては、そこで過ごしました。そして神の姿は、人間のような姿でした。
神は5体満足で有り、その身体は、いつも眩しい光を、解き放ちました。特に髪の色が「黄金色」に、輝いており、逆立って居ました。また両目は、漆黒の闇のように、見えました。瞳は、有りませんが、目の中には「大宇宙の星々」が、浮かんで居るように、見えました。
或るときサタナスは、その立方体が欲しいが為に、こっそりと自分の名前を、書きました。サタナスの名前は、人間が作ったローマ字の「S」の字を、裏返しにしたような形でした。それは、まるで蛇が、鎌首を持ち上げて、相手を威嚇するような形に、見えました。
サタナスは、自分の名前を、その「六面立方体」に書くと、とても満足して、それを元の場所に置いて、帰りました。それから暫くは、何も無かったのですが、或るとき、彼の遠縁で有り「神の統率者」で有る「中央神ゼビス」に、呼ばれました。呼ばれた理由は、サタナスが自分の名前を書いた、あの「六面立方体」のことでした。
ゼビスは、大層怒りサタナスを、厳しく叱りました。サタナスは、慌てて謝りましたが何故、自分が叱られたのか、理解出来ませんでした。「中央神ゼビス」は、サタナスを恐れたのです。それは子供の神で有るサタナスが、記した彼の名前を「全知全能の神」で有る自分が、消すことが出来なかったからです。
それからサタナスとゼビスは、良く対立するように、成りました。その理由は、些細なことが一番多かったのですが、互いが折り合いの悪い存在でした。そして、ときが来るとサタナスは、自分の配下で有る、神の総数の1/3の「自分の一族」を、引き連れると「中央神ゼビス」との「神界戦争」を、起こしました。それはゼビスに対する反乱戦争でした。
結果、サタナスの軍勢は「数の劣勢も有り、敗れて地の底に落ちた。」と言うのが、今までの人間世界で、信じられた神話でした。しかしこの物語の世界では「サタナスは、お気に入りの〝六面立方体″を手に入れて、それを何処かの空間で、起動させると、その内部世界に、一族を上げて帰還した。」と、言うのが「正しい真相」でした。その為、今でも「六面立方体」の中でサタナスは、自分の陣営を立て直す為に、日々戦力の増強に、励みました。
「中央神ゼビス」は、サタナスに奪われた「六面立方体」が、何処に持ち出されて、何処で起動して、何処にサタナスが、逃げ込んだのかも、全て知りました。しかしゼビスは、サタナスを追掛けたり、刺客を放ったりすることは、しませんでした。ただ静かにサタナスを、見ました。
この「六面立方体」を、サタナスは「キューブィ」と、呼びました。そしてその中に有る、内部世界の大地を「ダルタニア」と、名付けました。そして空中に、浮遊する大陸を「パルパンティア」と、名付けました。そして地下世界は「アルザンティア」と、名付けました。
キューブィの内部世界は、地球型惑星が4つも入る「広大な空間」を、有しました。この内部世界は「有限な、生きて居る空間」で有り、内部の文明や生物が「飽和状態」に成ると、警戒色や音で、それを知らせ、限界が来ると一気に、飲み込んで、それが終わると、内部空間が膨張しました。その膨張の仕方は、キューブィの外部形状を、模しており、最初の状態を1とすると、4倍、8倍、16倍と言う倍数で、内部の空間だけが、膨張しました。
サタナスが入った頃のキューブィの内部世界は、過去に1回だけ空間に、飲み込まれた経緯が有り、従来の空間領域の4倍に膨張した世界でした。サタナスが来た時代を、キューブィの内部世界では「キューブィ第2世代」と、呼びました。そして飲み込まれる前の時代が「キューブィ第1世代」でした。
「明けの明星」とも呼ばれた「大魔神サタナス」は、内部世界で、落ち着きを取り戻すと、配下の魔神達に、好きな場所を分け与えました。そんな中で、サタナスの縁者の1人でした「魔神アスタロット」は、サタナスの後継神でした「魔神リーリス」の所有する場所の「地下世界」に、相当する部分の領域を、自分の統治領として、サタナスに、申請しました。そして、それを認められると「魔神アスタロット」は、その領域の統治者と、成りました。
「魔神アスタロット」は、自分の統治領を得ると、自分専用の新たな魔人類を、創造しました。その魔人類には、色鮮やかな6色の肌色を付け、他の魔人類と容易に、識別が出来るように、耳の先端形状を尖らせた、独自の「6色魔人類」を、創りました。その神は「羽虫の王」とも呼ばれた、サタナスの大幹部で有る「大魔神ベルゼブット」の直参でした。この神が君臨すると、配下の魔虫達も、従うように多数、出現しました。その魔虫達は、食欲旺盛で狂暴でしたので、6色魔人達が生まれた大地は、とても危険な場所と、成りました。
「魔神アスタロット」は、難儀な処が有り、戦闘能力の低かった6色魔人達に、襲う凶暴な魔虫達に、打ち勝つ力が欲しければ「仲間同士で共食いをして、勝ち残った者にのみ、その力を授けよう。」と、言いました。その為、彼らの先祖達は、その力を欲するが為に、神の言葉を信じて「共食い」を、始めました。
最初の頃は、無差別に共食いを、しましたが「親・兄弟を殺してまで食べる。」と言うことには、やはり無理が有り主流は、体色の同じ者同士に分かれて「違う肌色の者を、捕らえて食べる。」と言う、習慣に変わりました。今では「青色魔人と赤色魔人」が、他色魔人を食べる側と成り、食べられる側の4色魔人達が、その防衛をしながら、危険な地下世界を、生きました。
ダルタニアは、大きく分けると地上世界、天上世界、そして地下世界に、分かれました。地上世界は、1つしか有りませんが、天上世界と地下世界は、何層にも、折り重成り、数多く存在しました。その世界には、それぞれ存在を許された、魔人類や魔獣達が、住みました。
ダルタニアには、太陽が無く空間そのものが、発光しました。緩やかな光の中、生き物達は共棲したり、争ったりしながら日々を、生きました。ダルタニアは「中央神ゼビス」が創った、人類の住む世界と、同じように「昼と夜」に、分かれました。雨も定期的に、降りました。ここは閉ざされた空間でしたので、流れ星や夜空に、星を見ることは、有りませんでした。
「地下世界」には、地上に向かって何ヶ所か入口が有り、そこから地上世界に、出ることが出来ました。ダルタニアの地下世界は「アルザンティア」と、呼ばれました。地下でしたが、空間が発光して居るので、暗くは有りませんでした。「地下世界の大地」から頭上を、見上げると大空には、大地が延々と連なるので、ここは地下世界で在ることを、思い知らされました。
「地下世界の大地」と「天上の大地」とは、何本もの太い柱で繋がれており、その柱が地上の大地を、支えて居るように見えました。しかし、そうでは有りませんでした。何で天上の大地が、地下世界に、落下してこないのか、それはとても「不思議な光景」でした。そして明確な理由を知る者は、誰も居ませんでした。「アルザンティア」は、暗く無い地下世界でした。