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★先読みOK!プロット公開中

【注意!】


 こちらは『名探偵ハロウ・オーリン ~愛と青春の七人の探偵たち~』のプロット(大筋・構想)になります。


 細部はぼかしておりますが、ネタバレを多く含みます。公開範囲はストーリーラインの全編です。


 情報開示なしに小説をお楽しみになりたい方は、そのまま本編へとお進みください。



【1/幸福で穏やかな日々】


 彼の名はハロウ・オーリン。

 イルイリス国の東部地方、運河の街ウォルタにある『ヘリオス探偵事務所』で働いている見習い探偵の青年です。


 事務所の花形である名探偵のギル・フォックスに(あご)で使われながらも、年の近いほかの探偵仲間たちとともに、日々を忙しくそれなりに満足して過ごしていました。


 誰よりも平穏を望むハロウ。

 しかし、その願いとは裏腹に、最近、探偵事務所内ではギスギスした険悪な空気が漂っていました。


 それも当然のことです。

 連日、新聞に名を飾り、世間の注目を一身に浴びる名探偵のギルばかりに事件の依頼が集中しているからです。


 若き探偵仲間たちはみな、ギルに嫉妬しました。

 誰もがこう思ったでしょう。

 あいつさえいなければ……と。


 そして雨の夜に、事件が起こります。



【2/追放と殺人事件】


 事務所の所長が外出している合間に、名探偵のギルは、自身と見習いを含めた『七人の探偵たち』を談話室へと集めます。


 そこで彼はみなの前で、己の野心、輝かしい未来への展望とその計画について語りました。


「俺はこんな小さな土地で、慎ましく探偵業を続けていくつもりはない。いまに国中の凶悪犯罪を相手に、さらなる富と名声を手に入れてみせよう!」


 探偵事務所を大きくするためには、ほかの探偵たちの協力も不可欠であるとギルは主張します。

 しかし、同時に「無能な人間も排斥(はいせき)しなければならない」とも口にしました。


 名探偵の鋭い眼差し──真実を映す両眼と(うた)われた青い瞳が、見習い探偵のハロウへと向けられます。


「いますぐ、この場から消え失せろ。このヘリオス探偵事務所におまえの居場所はない!」


 非情なる追放宣告。

 異を唱えてくれる者は誰もいません。ほかの探偵仲間たちはそれぞれ複雑な表情を見せるだけで、口を重く閉ざします。


 仕方がなく、ハロウは事務所を去りました。

 冷たい雨が降るなか、彼はひとりさびしく帰路に着くのでした。


 ……そして、数時間後。

 住まいにてハロウが眠りについていたところ、突如、街の治安を守る守衛たちが押し入ってきました。


 なんと探偵事務所にて、あの名探偵ギル・フォックスが殺害されたというのです!


 それも、死体から両眼がえぐられたという……残忍極まりない、恐ろしい殺され方で!



【3/逃走、そして告白】


 動機を『強い怨恨によるもの』と判断した守衛側は、殺人前に被害者によって探偵事務所を追放されたハロウの犯行であると決めつけました。


 否定する余地も与えられず、哀れハロウは守衛所に引っ立てられて、翌日には早々に移送用の馬車に乗せられてしまいます。


 ()われのない罪で裁かれるのはごめんだ。

 ハロウは運よく馬車から逃げ出しました。夜になって、「この先どうしよう……」と途方に暮れていた彼は、街の新聞記者のニール・ブリッジという男と出会います。


 ニールの家に厄介になり、大記事のネタを求める記者にハロウは真実を告白しました。


「僕が事務所を追い出された恨みから、ギルのやつを殺しただって?

 そんなことあり得ないよ。だって、あの談話室でのやり取りはすべて芝居だもの……ギルと僕とが仕掛けた茶番劇ってやつさ」



【4/浮かぶ疑問】


 見習い探偵のハロウと、名探偵のギル。

 天と地ほどの差がある二人ですが、じつは幼少期をともにおなじ孤児院で過ごした旧知の間柄だったのです。


 ギルがさる事件を経て、名探偵として名が売れはじめた頃、二人はこのウォルタの街で再会しました。


 周囲の人間に疑心暗鬼を募らせていたギルは、自分のために暗躍してくれる便利な手駒(てごま)を欲していました。


 その役を、十年来に偶然出会ったハロウに持ちかけます。赤の他人の振りをして、探偵事務所で働くように……と。


「ギルは僕にこう言ったよ、『命を狙われている』とね。だから、あんなつまらない芝居を打って、わざと相手の敵意を高めることでボロを出させようとしたのさ」


「なるほどなぁ。しかし、おまえが犯人じゃないってなら――」


 いったい誰が名探偵を殺したのでしょう?



【5/密室の謎】


 ニールは当然、探偵事務所の人間を疑います。


 しかし、ハロウはナンセンスだと答えました。「きっと行きずりの強盗の仕業だろう」と、頑なに内部の人間の犯行を認めようとしません。


 殺人現場となった部屋には、内側から鍵が掛けられていました。

 ドアを蹴破らないかぎり、侵入は不可能です。


 唯一、外から出入りできそうな窓がありましたが……ハロウは思い出します。その窓は壊れていて、大人が侵入できるほどの隙間はなかったと。


 完全な密室殺人を前に、ハロウとニールは頭を抱えるのでした。


 ひとまず、事務所の所長とコンタクトを取ることを次の目標に据えて、その夜、ハロウは眠りにつきました。


 しかし、そのときの彼は知るよしもありませんでした。

 すでに真犯人の凶器が、次なる獲物へと向けられていたことに……。



【6/次の犠牲者】


 翌日の早朝、探偵仲間のAが住まいで襲われて殺される事件が起こりました。


 ここでもハロウは身内の犯行ではない、今度こそ強盗の仕業であると強く主張します。


 けれども、襲われた住居の外扉には鍵を壊されたような形跡はありません。おそらく殺された探偵仲間A自らが鍵を開けて犯人を招いたのだと、記者のニールは推測します。


 死体発見の時刻と血の乾き具合から、犯行は日の出前のようです。そんな時間帯でも家へ入れてもらえるのは、よほど気の知れた人間だけ……すなわち、探偵事務所の関係者以外考えられません。


 続けざまの殺人事件、加えて事務所周辺の警備が固くて所長には会えずじまい。さすがのハロウも、ひどく気を落ちこませてしまいました。



【7/内通者を追いかけて】


 打つ手がないなか、ニールがライバル視している同業の記者と出会います。その男に、どうやら事務所内部の情報を横流ししている探偵がいるようです。


 ハロウはニールと一時別れて、その記者の跡をつけました。そして、ハロウは探偵事務所でおなじ見習い同士だった少年ロイと再会します。


 ハロウは少年に、所長宛の手紙を(たく)しました。代わりに、少年からある頼まれごとをされます。


 じつは探偵事務所で殺人のあった夜以降、探偵仲間Bが行方をくらませているというのです。


 そのBが、街の大橋付近に姿を現したようです。

 代わりに見てきてほしいという少年の頼みを受けて、ハロウは大橋へと(おもむ)くのでした。



【8/さらなる悲劇】


 情報どおり、ハロウは大橋で探偵仲間Bと出会います。

 当人は事件など放り捨てて、新しい職のために街から去ろうとしている途中でした。


 去る者は追わず、ハロウはBを見逃します。

 しかし別れた直後に、探偵仲間Bは何者かによって大橋から投げ落とされ、殺されてしまいました。


 目の前で殺人が起こり、ハロウは強いショックを受けます。


 さらに逃走した自分を捕まえようと、現れた探偵仲間Cによって、路地裏の袋小路へと追い詰められてしまいました。



【9/覚悟を決めて】


 いままで、ハロウは真犯人がヘリオス探偵事務所の関係者であることを頑なに否定していました。


 しかし、目の前で犯行が行われたことにより、彼は真犯人から『明白な殺意』を感じ取りました。


 事件はまだまだ続く。

 これ以上の犠牲を出させないよう、ハロウは真犯人を止める覚悟を決めます。


 路地裏で探偵仲間Cをあしらうと、自分を疑い続ける当人に早く街から出るよう助言して、ハロウはその場を去りました。


 ……けれど皮肉なことに、ハロウが去ったあと、探偵仲間Cは暗い路地裏で真犯人によって殺害されてしまうのでした。



【10/二度目の推理】


 ニールの家にて、当人と合流したハロウ。

 内部犯であることを認め、事件の謎を解く意志を見せたハロウに「ようやく探偵らしくなったな」と、ニールは誉めます。


 けれど、ハロウはそれだけは強く否定します。

 「自分には探偵としての才も資格もない」という主張は、依然として変わらないままなのでした。


 ともあれ、事件現場に居合わせていたロイ少年の証言や、新たに手に入れた情報を擦り合わせて、二人はもう一度最初の事件――名探偵殺人事件を推理し直します。


 事件の輪郭ははっきりしてきましたが、まだ核心をつかむには至りません。


 犯人がどうやって密室をつくり上げたのか?

 なぜ、ヘリオス探偵事務所の探偵ばかりを狙うのか?


 謎が謎を呼ぶ状態に、ますますハロウは混乱していくのでした。



【11/いざヘリオス探偵事務所へ】


 その夜、ハロウは夢のなかでギルと再会し、殺された本人から密室のヒントをもらいます。


 そして次の日。

 死んだ探偵四人の葬儀のため、残った事務所の関係者たちは教会へと赴きます。その隙をついて、ハロウは殺人現場となったヘリオス探偵事務所へ侵入しました。


 現場を直接、自分の目を通して観察することで、謎の解明につながる重要な鍵を手に入れることができました。

 

 謎が解けるまで、あと一歩です。

 しかし、途中で事務所の関係者二人が、守衛を引きつれて戻ってきてしまいます。


 慌てて逃げ出そうとするもの、退路を塞がれてハロウは追い詰められてしまいます!


 万事休す──ですが、そのピンチのおかげで、彼はとうとう密室の謎を解く最後のピースを手に入れることができました!



【12/真実】


 ハロウはその場に集まった人たちに、自身の無実と、名探偵殺人事件の密室トリックを説明します。


 そして、まだ教会に居残っている二人の人物──片方の真犯人の元へ、決着をつけに向かいます。


 これ以上、犯人が罪を重ねるのを止めなければなりません。それから、本人の口から一連の探偵殺しの動機を訊くために……。


 ところが、教会でハロウを待っていたのは、想像を超える光景でした。


 踏み入れた教会の内部、その中央に横たわっていたのは……最後の犠牲者の姿です。


 祭壇の前に、真犯人は立っていました。

 最後の犠牲者と激しく争ったのでしょう。真犯人は全身血塗れで、胸には深々とナイフまで刺さったままです。

 

 どう見ても致命傷を受けています。

 だのに、当人はけろりと涼しい顔を見せているから不気味です。


 真犯人は語ります。さる事情で、痛みのない特別な体になったのだと。

 過去に自身が犯した罪を告白したあと、真犯人は残った探偵であるハロウにも手をかけようとしてきます。


 真犯人の心情に共感したハロウは、ずっと隠していた己の秘密を吐き出します。


 なぜ、彼は「自分には探偵になる資格はない」と言い続けてきたのか?

 

 ハロウ・オーリンの秘密。

 それは、彼が■■■であることでした。



【13/名探偵の誕生】

 

 最終的に、真犯人が自ら命を絶つことで事件の幕は下りました。

 

 疑いが晴れて、ハロウは自由の身となりました。しかし、彼はあまりにも多くのものを失ってしまいました。


 まるで、はじめからそんなものはなかったかのように。


 探偵事務所で過ごした幸せな時間──彼にとっての愛と青春の日々は(つゆ)と消えました。


 事件は、真に解決には至っていません。

 真犯人の異常性。当人が死ぬ間際に残した『洗礼者』という謎の言葉が、ハロウの記憶に強く残ります。


 今回の事件には深い謎とともに、得体の知れない黒幕の存在があったことは間違いありません。


「あんなこと……この世にあってはいけないんだ……」


 ハロウは、その黒幕の正体を突き止めたいと強く願います。


 しかし、自身はしょせん■■■です。

 なにも持っていないのだと、彼はひとり無力に打ちひしがれてしまいます。


 そんな空っぽのハロウでしたが、事件を経て、最後にたった一つの希望が残されました。


 たとえ偽りだったとしても、それは彼の手元に唯一残された……世界と渡り合うための光明だったのです。


 かくして、人々の声とともに新たな英雄が誕生しました。


 その名は──名探偵ハロウ・オーリン。



 (終)

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