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地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第二章 僕、ティナと結婚をする編。

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第9話(累計 第54話) ティナ、皇帝陛下に謁見が許される。

「皆の者、くるしゅうない。今日は新成人となった若者が社交界デビューの日。余も若人の旅立ちに感激をしておる。順番に余の前に来るがよい」


 宴会場上座に設置された豪華な玉座。

 そこにちょこんと座る、金色巻き毛の小柄な少年。

 まだ声変わりもしていない子供の声、まるで老人が話す様な言葉で社交界デビュー(デビュタント)を迎えた子達を祝福する皇帝陛下。

 背後に立つ老人が、彼の話す言葉一つ一つを指示している様に見える。


 ……あれが、エルヴェン大公【ジークベルト・デル・リヒテンベルガー】様のお孫にして現在の皇帝マルクス四世陛下ですか。では、後ろに居る偉そうな老人が大公様か。陛下、表情が優れないな。


「カイト。あれがわたしの『敵』なのね」

「倒すべき相手かどうかは別にして、そうだね」


 ティナは僕にそっと寄り添い小声で話す。

 よく見るとティナの手は震えている。


「大丈夫。ティナならちゃんと出来るよ。さあ、僕の可愛いお嫁さん。君の最高の姿を陛下に見せつけてやるんだ。陛下を倒すのはわたしだって!」

「うん、カイト。ありがとね。ちゅ!」


 ティナ、突然僕に抱きつき、扇子で二人の顔を隠しながら素早くキスをしてくれた。


「これで、わたしは勇気百倍なの! いつでもOK。陛下だって魅力でノックアウトしちゃうわ!」

「もー。ティナったら」


 僕はティナの頭をそっと撫で、皇帝陛下の方を見た。

 すると、陛下と何故かと視線が合った。


 ……あれ、どうしてこっちを見たのかな? 僕達の周囲には他の子達も居ないのに?


「そうか。うむ、其方の父上に宜しく」

「はい、陛下」


 家の爵位順に呼び出され、謁見が行われ始めた。

 本来であれば公爵家であり、本人自身が爵位持ちのティナが一番に呼ばれるはず。

 しかし、今はただの男爵位であるティナの謁見は、ほぼ最後。


 ……うーん、陛下ってまだ大公様の操り人形だねぇ。大公様の言う通りの行動しかしていないや。でも、なんか面白そうにしていないし、嫌々って感じがするよ。


 陛下が話す前、必ず大公が陛下の耳元で何かを囁く。

 陛下の言葉に子供らしさが一切ないのも、大公の言いなりに話しているからだろう。

 ただ、表情から本心は違うのではないかと僕は思った。


「あれ、お爺様の完全に言いなりだよね。可哀そう、陛下」


「ティナも僕と同じく、そう見ちゃうんだね。なら、倒すべきは陛下ではなく大公。僕達の親の仇、彼には痛い目を見せなきゃ」


<ですが、お二人とも慌てて行動はなさらぬように。今回は、お互いの顔見世です>


 ティナ、悲痛な顔で陛下を見る。


 本来であれば十一歳の少年、いたずら盛り、小生意気でもいい歳頃。

 なのに、物心つく前から玉座に縛り付けられ、一切の自由も無く祖父の言いなりにしか動けない。


 おそらく友達も、心を許せる仲間も一切なく、城内で孤独に暮らしているのだろう。

 その上、実の父を暗殺したのが自らを操る祖父。


 ……大公、僕はあなたを許せそうにもありません。


 僕は、何処か人をバカにしたような表情で子供たちを見る大公を睨んだ。


「パンフィリア女男爵(バロネス)、フローレンティナ・デル・アイレンベルク様、前へ」

「はい」


 今日の謁見メンバーの中、最後にティナの名前が呼ばれた。

 ティナは、顔を上げ前へ進む。

 僕の手をそっと握ってくるが、ティナの手は震えていた。


「僕も一緒だよ!」

「うん、ありがと」


 僕はぎゅっとティナの手を握り返し、ティナに微笑み返した。

 ティナは、せいいっぱいの笑顔で皇帝陛下の御前へ進んだ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「フローレンティナ・デル・アイレンベルク。わたくし、この素晴らしき日に皇帝マルクス四世陛下にお会いできて嬉しく思います」


「うむ。余も高名な其方にあえて嬉しいぞ。噂はかねがね聞いておる」


 ティナはカテーシをし、自分よりも小さな皇帝陛下に貴族令嬢らしく挨拶をする。

 少年皇帝もティナを一瞥するが、他の貴族子息を見る時よりもティナの顔をじっと見た。


 ……因みに僕はティナの背後で膝を付いて待機しているんだ。僕は立場上、ただのエスコート役でしかないものね。


「陛下におかれましては、わたくしとも遠縁とお聞き致しました。これを機会に今後とも宜しくお願い致します」


「ん? あ、そうか。其方は剥奪されたとはいえ公爵家の出身。余とも血縁があったのだな」

「おほん! 陛下」


 ティナが話題つくりにか、自分と陛下に血縁があるとジャブを撃つ。

 陛下もティナに興味を持って反応するが、背後の大公がイヤそうな顔をした。


<ティナ様。いきなりのジャブでございますね。これは反応しないのも難しいですね。孤独な少年に身内が居ると迫るとは……>


 ……ティナ、君は凄く強いよ! でも、本当は無理しているのを僕は知っている。そんなティナの背中は僕が絶対に守るからね。


 ティナの手足が震えているのを僕は気が付くが、何も発言出来ないので心の中で応援しか出来ない。


「お爺様、良いではないか。余の血縁は、もう母上とお爺様以外誰もおらぬ。遠縁とはいえ血族、かつ年代も近い者の話を余は聞きたいぞ。どうだ、この後に別の場所で少々話さぬか? 背後に控えしは噂の婚約者か? その方も一緒に来い。色々と話を聞きたいぞ」


「陛下! 御戯れを申してはなりません。他のデビュタントした者達にも不公平ですぞ」


「煩いお爺様だな。今までお爺様の言う通りに動いたでは無いか。少しくらい余がわがまま言って何が悪い?」


 ティナの「撒き餌」に引っかかる陛下。

 大公は、それに対し苦言を言うが陛下は聞き届けない。


「ですが……」

「くどいぞ! 余が決めたのだ。フローレンティナ、その婚約者よ。余について来るのだ。」


「はい」


 すっかり怒った陛下。

 ティナと僕を引っ張る様に別室へ連れて行った。


 ……これは予想外の展開だなぁ。

<すっかりティナ様の策にハマっていた陛下。どうなりますかね?>


 では、明日の更新をお楽しみくださいませ。

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