表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第一章 僕、ティナと婚約する編。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/89

第35話 ティナは、上級魔神と戦う。

「カイト、大丈夫かしら」


「レオンも(あね)さんも一緒だし、魔神相手でも大丈夫と思うよ。あたし達はまず逃げようね。ティナちゃんの奪取が敵の目的だろうし」


「ティナ様。ボクは、なんとしても貴方様をお守りしますね」


 わたし(ティナ)はカイトから離れ、仲間達と一緒に大学構内を避難している。

 わたし達の目の前で、テオバルトの配下が低級魔神(レッサーデーモン)へと変化した。

 いくら低級とはいえ、神の名を持つ怪物。

 強いカイトとはいえ、楽な相手では無いだろう。


 ……わたしに彫り込まれた呪いにも魔神召喚の術があったけど。もしかしたら、わたしもアアなっていたのかしら。怖いよ、カイト。


<ティナ様。まずは御身の安全を優先なさってくださいませ。今、カイト様は善戦なさっています。あ、カイト様が一体撃破しました>


「坊や、流石にやるわね。これで少しは、あたしも『不幸』にならなきゃいいわ」


 胸元のペンダントから、ルークスのわたしを励ます声が聞こえる。

 どうやら魔神相手でもカイトは問題無く戦えるようで、わたしは安堵した。


 ……ネリーお姉様、そういえば胸の詰め物を辞めないのね。服を新調しないからかしら?


 今もメイド服を盛り上げるほど大きな胸のネリー。

 仲間達は「仕掛け」を承知しているのに不思議な話だ。


「フローレンティナ様、逃がさないと申しましたのをお忘れですか?」


 そんな時、先ほどまで無人の通路だったはずなのに、目の前にいきなり老執事が現れた。


「エドモン様、お歳の割にえらく『足』が御速いのですね。知らぬ間にわたくし達を追い越してしまうなんて?」


 わたしは、エドモンの挙動を診つつ口で挑発し、隙を見る。


 ……今日はドレスだし武器も持っていないけど、身体強化で殴る蹴るくらいは出来るのよ、わたし!


「愚かな老人よ。ティナ様を望むなら、まずボクを倒す事だ……なぁぁ!」


 『豪華』スキルで全身を七色に光らせながら、わたしの前に立ちはだかってくれたトビアスは、執事の裏拳いっぱつで吹き飛んでいく。


「トビアス! よくもぉ! ティナちゃんは後ろに隠れて」


 マルテは、紫色のスキルオーラを輝かせて爆裂弾を何発も執事に撃ち込み、背後にわたしを庇う様にする。


「この程度の魔法攻撃で私を倒せるとでも?」


 しかし、爆炎が終わった後に居たのは、老執事では無かった。


「お、お前は?」


「私、上級魔神(グレーターデーモン)をさせて頂いているのですよ」


 そこには身長三メートルを越える、青黒い肌の巨人が居た。

 頭部にはねじくれた羊の角が二本、ニヤけているあごにはびっしりと鋭い牙が生え、背中から巨大なコウモリの羽を生やす。

 太い尾には棘がいっぱい、両手には鋭いカギ爪があり、全身から凄まじい妖気を放っていた。


「く、くそぉ。ティナちゃん逃げて! きゃぁぁ」


 マルテは凍結弾を魔神の下半身に目がけて撃ちだすも、羽の羽ばたきひとつで跳ね返される。

 そして魔神の尾の一振りで、マルテは壁に叩きつけられてしまった。


「マルテお姉さま!」


「ティナちゃん。あたし『不幸』だけど、貴方は逃げなさい。こいつだけは刺し違えてでも!」


「ネリーお姉さま!」


 ネリーは、カイトに貰った手榴弾を抱えて魔神に飛び掛かった。


「ふん。お前ごときに私をどうにかできると思うのか? 裏切者め!」

「あぁぁ」


 しかし、ネリーは胸を魔神の爪で引き裂かれ、彼女の手からは安全ピンの抜かれていない手榴弾が零れ落ちた。


「……ネリーお姉さま! ……許さない。わたし、アンタを絶対に許さないのぉ!」


<ティナ様、早まってはいけません>


 胸元からルークスの制止する声が聞こえるけれど、わたしは聞いてなんていられない。

 大事で大好きな仲間たちを殺されて、黙ってなんていられるはず無い!


「どう許さないと……。何ぃぃ! ぐぉぉ!」


 わたしはスキルと身体強化魔法を使い、一気に魔神の懐に踏み込む。

 カイトに習った歩法を駆使し、魔神の死角になる羽の陰に踏み込み、横腹に両掌底を撃ち込む。

 そして、そこからドンドンと魔力弾を連続で叩き込んだ。


「はぁはぁはぁ。素手だからって舐めたアンタが悪いの。さあ、トドメにいくわ」


 わたしはバックステップで魔神から一旦距離を取り、肩で息をしながら次の攻撃用の魔力を練り上げる。

 勝負を付ける為に。


「……確かに私は姫様を舐めていました。なので、手加減せずに戦わせて頂きます! おおおお!」


 横腹から蒼い血を流しながらも、わたしを血のように赤い眼で睨みつける魔神。

 いきなり咆哮を上げたかと思うと、わたしの視界から消えた。


「え! いったいどこ?」

「姫様、このままお眠りくださいませ。<石化(ストーンフリーズ)>!」


 背後から執事の声が聞こえたと思った瞬間、わたしの身体は硬くなっていく。


 ……しまった! 魔神も身体強化魔法で加速できるのを忘れてたのぉ。石化呪文なんて! カイト、カイト。助けてぇぇ。


 そして、わたしは意識を失った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


<カイト様、誠に申し訳ありません。ワタクシが付いていながら……>


「ルークス。今は失敗を後悔する時間じゃない。ティナを奪還する事だけを考えよう。僕も読みが甘かった。ティナを逃がす事だけ優先させていたら良かったんだから」


 僕は怒りを抑え、少しでも冷静になろうとする。

 ティナを逃がさずに、僕の横で戦わせていたら奪われなかったのかもしれない。

 またはグローア(あね)さんだけに時間稼ぎを任せてティナと共に逃げていたら……。


 僕が急ぎティナが襲われた場所に行くと、時すでに遅く仲間達が全員倒されていた。

 倒れている人たちの元に姉さんやヴィリバルトが急いで向かう。


「あ、これは。ネリー、しっかりするんだよぉ!」


 姉さんの声がネリーの元で聞こえる。

 僕は思考を止め、ネリーが倒れている場所に行くと、ネリーのメイド服の胸元が血でにじみ、ひどく引き裂かれていた。


 ……こ、これじゃ死んで……。


「うーん、あ、姉さん。あたし……。そうだ、ティナちゃんは!? あ、痛たた」

「え”?」


 しかし、てっきり死んでいるかと思っていたネリーが飛び起きたので、僕も姉さんもびっくりした。


「ネリー、大丈夫なのかい? 胸が引き裂かれていたのに……。あ、また矯正下着着てたのかい。ははは、アンタは『不幸』だね、確かに」


 姉さんは安堵し、先程までに悲痛な顔から泣き笑いの表情をする。

 どうやら、今回もネリーの矯正下着が防具替わり、敵の攻撃間合いを外す役目を果たしたのだろう。

 おかげで軽症ですんだみたいだ。


「良かったぁぁ。マルテやトビアスは?」

「ん」


 二人の手当てをしているヴィリバルトの穏やかな表情を見るに、二人とも頭部などから出血はしているものの、命の別状は無いらしい。


<カイト様。皆様がご無事なのは不幸中の幸いでしたね。ワタクシが見えていた範囲ですが、執事、上級魔神(グレーターデーモン)は酷く慌てておりましたので、トドメを刺すことも無くティナ様を連れて逃げた様子です。なお、今もティナ様の持つ端末は生きており、現在テオバルトの領地へと移動中。移動速度と映像より、おそらく飛行しているものと思われます。ティナ様は石化されておりますが、生命反応はありますので御安心を>


「ありがと、ルークス。だったら、後は反撃。ティナをもう一度取り返すだけだね。もう一切手加減も甘い考えも僕は捨てる! 見てろよ、テオバルト、エドモン!」


 僕は誓う、絶対にティナを取り返すと。

 ティナちゃんを奪われてしまったカイト君。

 このままでは絶対に引き下がれません。

 彼の手加減無しの戦いが始まります。

 明日の講釈をお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] めっちゃ偉そうで自信満々なタイトルの癖に、仲間死なせかけたり奪われたりでなんだコイツ感が出て来てる。 [一言] 創作でピンチになる話なんていくらでもあるのに、なろうでこういったピン…
2023/02/24 17:54 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ