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地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第一章 僕、ティナと婚約する編。

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第31話 僕、ティナの心配をする。

「さあ、どうしますか、クソ坊や?」

「くそぉ。小娘ごときがぁ! 先生、ボクは決闘を受けます!」


 マルテの弟弟子、トビアスが僕達冒険者を馬鹿にしたのが気に入らなかったティナ。

 トビアスに決闘を申し込むという事態になってしまった。

 まさか、解呪に赴いた患者が医者にケンカを売るとは困った事だ。


 ……でもお医者様にケンカ売る患者って、地球でも聞いたことあるか。


 そして学都の郊外で始まった決闘だが、あっという間に決着がついた。

 確かにトビアスの魔法は「豪華」だった。

 彼の撃つ魔法は、追加効果でキラキラと派手に輝く。

 また威力も「豪華」で二割増し以上とは、師匠の先生の談。

 更には、決めポーズをするたびに彼の身体の周囲がスキルオーラ以上に眩しく七色に光るのだ。


 ……これ、ダンジョンじゃ目立ちすぎて困るスキルじゃない?


「あらぁ、専門の魔術師さんが半分素人のわたくしに負けるのですか、トビアスお兄様?」


「ち、ちきしょぉ。ど、どうして大学にも通っていない小娘がこんなに強いんだぁ?」


 以前、ティナがマルテにも同じ様な台詞でイジメていた記憶が蘇る。

 マルテも同じなのか、弟弟子の恥ずかしい姿を直視できない様だ。


「はぁ。どうして姉弟(きょうだい)弟子揃ってティナちゃんに勝てないのかなぁ。毎日、可愛いティナちゃんに魔法を丁寧に教えちゃったあたしも悪いんだけど?」


「ま、まあ。今回は命がかかった決闘でも無いので、宜しいのでは……」


「そうじゃな、少年。派手好きなアイツは、ここいらで鼻を折っておくのもよいじゃろう。しかし、ティナちゃんは、マジで弟子に欲しいのじゃ。マルテに少年、ティナちゃん本人に頼んではくれぬかのぉ?」


 愚痴るマルテを慰める僕であるが、先生からティナを欲しがる発言も飛び出し、困惑してしまった。


「さあさあ。もうお終いかしら? おーほっほほ!」

「ご。ごめんなさーい」


 デジャブだろうか、魔術師杖(ウイザードスタッフ)を折られて腰を抜かしたローブ姿の魔術師。

 男女の差はあるも、座り込んだ地面が「何か」で今回も濡れているのは、どうしたものやら。


「情けないわねぇ。カイトなら、もっと悪あがきするわよ、トビアスお兄様? ね。カイト?」


 桃色のスキルオーラを纏うティナは、小首をかしげて可愛く微笑みながら僕の方を見る。

 しかし、腰を抜かしたトビアスの周囲地面に魔力弾で穴をいくつも開けるのもティナ。

 その様子は、まるで魔王、いや魔女王様もいうのではないかと僕は思ってしまった。


「カイトぉ。わたし、また勝ったよぉ! 褒めて、褒めてよぉ!」


 ニコニコしながらトビアスをイジメるティナを見て、僕は二度とティナとケンカをしない事を心に刻み込んだ、まる。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「くっ。このような複雑な魔法陣、いや紋章は始めて見ます、先生」


「であろう、トビアス。ただの契約紋章でないのが悪質なのだ。禁呪指定の魔法で間違いあるまい」


 ようやく開始されたティナの呪詛解呪術式。

 閉ざされた扉の向こう側にある作業室において、ティナは全裸で患部、術式を彫り込まれた下腹部だけを見える様に布を被せて仰向けで寝ている、らしい。


 らしいというのも、じろじろと男性達から裸が見られるのは恥ずかしいとティナが言うから、僕達からは中の様子が見えないからだ。

 今、作業室にはマルテ、グローア(あね)さん、ジークムント先生にトビアス、後はルークスが入って術式を行っている。


 ……僕だけなら入っても良いってティナには言われたけど、見ていたら逆に心配になるから僕は別室で待機しているんだ。


「先生。この術式は、召喚系。それも好からぬモノを呼び出すものでは無いですか?」


「そうじゃ、トビアス。低級魔神(レッサーデーモン)を呼出し、それにて呪詛を確固にしつつ魂をも縛り付けるのじゃな」


「アタシも、これがあるから簡単に呪詛を壊せなかったんだよ」


(あね)さんも案外と魔法詳しいのね。やるじゃん!」


<映像として解呪中の作業は、ワタクシが記録しておきますです>


 ティナの声が聞こえないのは少々不安だけれども、聞こえる範囲では呪いの解析は上手くいっているらしい。


「では、最初に壊すべきなのは、この召喚術式ですか、先生?」


「うむ、トビアス。この呪詛に関しては複数の術式が同時に存在しておる。一個ずつ解呪するのが間違いあるまいて。何せトラップらしきものも存在するしのぉ」


「では、あたしもお手伝いしますね」


<皆様、頑張ってくださいませ!>


「アタシは、緊急時に動けるようにしておくな」


 ティナに掛かっている呪いは、複数個の物が重なっているらしい。

 それを一気に解呪は難しい上に、トラップすら仕掛けているとか。

 どれだけ悪質な術式をティナに彫り込んだのか。

 僕は、テオバルトとその配下魔術師に対する怒りが更に強くなった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「カイト、お疲れ様なの」

「え、ティナ! もう解呪が全部終わったの?」


 僕は待っている間にうたた寝をしてしまったらしく、待っていた部屋は既に薄暗い。

 そして僕の前にはティナが居て、既に服を着て起こしに来てくれた。


「それがね……。全部は一回で取り切れなかったの」


「そうか。でも少しでもティナに負担が減ったのは良かったよ」


 ティナ自身は術中寝ていた、いや眠らされていたらしいが、対応していた姉さんやマルテの話だと、ティナを呪っていた物はなんと十個以上の呪詛が複雑に絡み合っていたものだったそうだ。


「一番不味いところ、悪魔召喚と奴隷契約、精神支配部分は解呪できたわ。後、それに付随していたトラップもね。でも、まだ他の部分。精を受けた際に発動するトリガー部分と淫乱化させる部分、それを守るトラップが残っているのよ。この術式を考えたヤツ、絶対女性の敵じゃん。あたし、許せないわ」


「マルテ。つまりは、僕がティナとエッチしても性奴隷化はしないけれど、凄くエッチになっちゃうと?」


「簡単に言えばそうじゃな、少年。精を授けた者に対して快楽で縛り付ける効果部分は残っておる。魂だけでなく身体と心から縛るとは悪質。この悪魔的な契約紋、考えたヤツは誰じゃ? 人による物とは到底思えぬ? 大学の方にも禁呪指定含めて話を通しておくのじゃ」


 ……最近までは男爵家だった処に、ここまで高度な禁呪レベルの呪詛を使う魔術師が仕えているのもおかしい話だよね。何か裏があるのかも知れないな。


「ですね。先生。ボク、自分の未熟さをティナ様には二重に教えて頂きました。高貴なるご身分と気品、美しいお身体の上にお強いのですから……。彼女を蝕む呪詛は必ずボクが解呪します!」


「皆、恥ずかしいよぉ。わたし、まだ乙女なんだからぁ」


 ……あれ? トビアスの顔が少し赤いぞ? もしかして、ティナに……。良からぬ考えを持つなら、死なない程度の排除を考えねば。


 呪詛解呪については、半分くらいまでは終わった。

 残りに関しては術式が想定外なので、再び調査をしてからとの事。

 僕達が学都カールスブルグに滞在する期間が、まだまだ伸びそうだ。


「あ、そうそう。解呪の経費を安くしておくから、トビアスも冒険者として使ってくれぬか? このままでは、コヤツ。緊急時に使い物にならんからのぉ」


 ジークムント先生はトビアスも冒険者として鍛えてくれと頼みこんでくる。

 ティナの解呪で世話になっている以上、僕は先生の頼みを無碍(むげ)には断れない。


 ……へっぽこでティナに惚れそうな魔術師。困るんだけどねぇ。


「良いんですか、先生! ティナ様、ボク貴方の為にがんばりま……すぅぅ!」


 しかし、残念な姿を見せてもカッコつけようとしたトビアス。

 全身を「豪華」スキルで眩しく輝かせつつ、ティナの前で(ひざまず)き手の甲にキスをしようとするのだが。


「エッチな眼でわたしを見ないでよぉ。わたしの裸見ていい男の子はカイトだけなんだからぁ。だーいきらい!」


<形だけ紳士では、真のお嬢様は騙せませんですよ、トビアス様>


 トビアス、ティナの強化平手打ちを喰らい研究室の壁に文字通り突き刺さった。


「ふむ。トビアスには乙女心も教える必要がある様じゃな。マルテ、それとカイト殿頼むのじゃ!」

「はぁ……」


 こうして冒険者パーティ「紅蓮(ブレイザー)」に、また難儀で愉快なな仲間が増えたのだった。

<カイト様におかれましては、ティナ様と結ばれますのに障害がまだまだ続かれるようですね>


 ということで、新展開になります明日からのお話をご期待くださいませ。

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