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地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第一章 僕、ティナと婚約する編。

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第18話 僕、かつての仲間と戦う。

「流石に硬いねぇ。でも、これではどうかい!」

「ん??」


 神官戦士同士の戦いは、激しいぶつかりをしている。

 左手に金属盾、右手に大型の戦棍(メイス)のヴィリバルト。

 両手で長めの戦斧を持つグローア。

 共に全身を金属製の重装甲に身を固め、火花を出しながらガチガチと打ち合う。


「光神の神官だったら、『正義の歌』を謳わないのかい? スキルは使っているみたいだけど、アレを謳えばかなりパワーアップするのにね」

「……ん」


「なるほど、今回の戦いに自分達の正義は無いと思っているのかい、アンタ? 自分の力だけで戦いたいと? そういうのは嫌いじゃないさ。まあ、アタシも全力じゃ無いけどね。さあ、これで死ぬんじゃないよ!」

「ぐぅう!?」


 グローアの途轍も無い重い一撃を喰らい、ドカンと激しい音を立ててヴィリバルトが数メートル吹き飛ばされる。

 彼の持つ金属製盾が大きくゆがんでいた。

 そしてヴィリバルトは盾を取り落として、スキルオーラが消えそうな身体をふらつかせて膝をついた。

 彼の胸部鎧も大きく凹んでおり、盾を持っていた左手も曲がってはいけない部分から折れ曲がっていた。


「このくらいにしておこうや、ヴィリバルト。お互い、味方の治癒もしなきゃならんだろ? 秩序側の神官同士が殺し合いをすることもあるまいて。それとも、まだ二回戦目をするかい? アタシは、坊やの勝負には元々手出ししないつもりだし、あっちは決着済みだしね」

「ん!」


 兜の面貌を上げて、ニカリと笑うグローア。

 それを見て、寡黙なヴィリバルトも兜を脱ぎ、坊主頭をあらわにし笑顔を返した。


「専門の魔術師が、半分素人のわたしに負けちゃうの? 残念ねぇ、お姉さま」

「ご、ごめんなさーい」


 グローアの視線の先には、ティナが居た。

 スキルオーラを纏う彼女の周囲には、光る魔力弾が複数浮かび、それを時々撃ちだしては座り込んだマルテの足元に穴を開ける。

 マルテ自身は無傷だが、彼女が持っていた魔術師杖(ウイザードスタッフ)は、真っ二つに折れて足元に落ちている。

 そして、何故かマルテが座り込んだ地面が濡れていた。


「『天才』スキルってのは凄いねぇ。見よう見真似で、一瞥(いちべつ)した相手の技や魔法を盗んで使っちゃう(ラーニング)んだからね」

「ん……」


 仲間のマルテが失禁しつつ腰を抜かして泣いているのを残念そうに見ながら、己の身体を神聖治癒魔法で治療するヴィリバルト。

 元々、自分はカイトの事が好きで追跡業務に乗り気ではなかった。

 その上、頑強スキルを駆使してすらも敵わぬ強豪、そしてファンでもあったグローアと存分に戦えたので、ヴィリバルト自身は満足をしている。


 どうやらカイトを含めて仲間達は、誰も死にそうに無いのもありがたい。

 好きな仲間達が殺し合う姿なんて、見たくもない。

 そう思いながら、残念なマルテの方をヴィリバルトは眺めた。


「ホント、もう少し鍛えてからわたし達に挑みなさい! わたし達がお人好しで良かったと思いなさいね、マルテお姉さま。わたしとカイトの仲を壊すヤツは、絶対に許さないんだからぁ」


「ゆ、許してよぉ、お姫様ぁ」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「お姫様、そこから一歩でも動くと痛い目にあっちゃいますよ?」


 最初、マルテは<魔法の矢(マジック・ミサイル)>を複数個、自らの周囲に待機させてティナが動かないように警告をした。

 攻撃魔法は、火炎弾しか知らないティナ。

 うかつに動くと、殺されはしないものの大変な事になると思った。

 なので、ティナは「天才」スキルを起動してマルテの魔法術、術の行使方法をよく観察をした。


 ……ふーん、魔力を編み上げて弾にして、それを待機させておいて合図で撃ちだすんだ。じゃあ、こうかな?


「魔力よ! 敵を穿つ矢となりて、我が周囲に浮かべ!」

「え、何よ?? どうしてお姫様が攻撃魔法待機なんて高度技術を使うのぉ?」


 見よう見真似で、マルテから魔法を盗んだティナ。

 今度はニヤリと笑って、マルテが待機させていた魔力弾目掛けて自分の魔力弾をぶつけて相殺させた。


「な、何よぉ。こうなったら!」

「ふーん……」


 マルテ、今度は大きな球電(ボール・ライトニング)を前に突き出した杖の先に生み出す。

 しかし、ティナもマルテから少し遅れながらも呪文を詠唱し、指先にマルテよりも大きな球電を召喚した。


「ど、ど、どうして杖や指輪の補助も無しに、あたし以上の魔法を!? あたし、これでも『魔力増幅』スキル持ちなのに??」


「あら、単純にスキル頼りじゃわたしにも、カイトにも勝てないわ。どうしますか、マルテお姉さま? 貴方と撃ち合っても良いんですよ?」


 怯えるマルテに対し、可愛く小首をかしげながら笑顔で脅迫するティナ。

 無言で震えるのを了承とし、ティナが撃ちだした球電はマルテの球電を吹き飛ばして、余波でマルテの魔術師杖を叩き折った。


「ひぃぃ!! あ、あたしの負けよぉ。お願い、姫様! 命ばかりはお助けをぉ!!」


 腰を抜かしたマルテ、彼女がしゃがみ込んだ地面に濡れが広がっていく。

 そしてマルテは、真紅の長い髪を振り回して、降伏宣言をした。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「カイト! 避けてばかりじゃ、俺には一生勝てないぞ」


「それはどうかなぁ? レオンってば、僕に手の内を見せすぎだと思うんですけど?」


 僕は師匠直伝の歩法と姿をぼやかす幻影魔法、更に身体強化魔法を駆使して、レオンから放たれる炎の斬撃をひらりひらりと避ける。

 レオンの「スキル」技は威力が高いものの、その分予備動作が大きく、更に気配で撃ちだすタイミングが見やすい。

 その上、火炎を主に使うから射線を読み切りやすい。


 ……これ、火炎弾の中に風魔法を混ぜられてたら厄介だったよね。視認しずらい圧縮空気弾や真空刃は怖いよ。


 こと、レオンとは以前に共に背を並べて戦った事が幾度もあるために、彼の力量も動作も良く知っている。

 今しばらくは中距離以遠まで距離を取り、僕は攻撃回避に専念した。


 ……本来、僕の戦い方は肉薄してのものだけど、大振りとはいえ一発が大きいレオンの技は喰らいたくも無いし、受け流すのも辛いよ。だから、今しばらくは距離を置いて戦うんだ。


 視線を時々仲間達の方へ向けてみるに、どうやら戦っているのは僕たちだけ。

 姉さんとヴィリバルトは、戦い終わって既に談笑モード。

 ヴィリバルトは元々姉さんのファンだったと聞いているし、殺し合いまではお互いにしたくないのもあって、上手く勝負が付いたようだ。


「ほほほぉ! わたしとカイトに文句言うヤツラは全員泣かしてやるのぉ!」

「許してよぉ、お姫様ぁ」


 向こうの方では、ティナがマルテを文字通り泣かしてる。

 既に戦意を無くし、腰を抜かしたマルテ相手に当てないように、これまで使ったことも無い魔力弾を撃って脅迫。

 あれでは、まるで悪役令嬢だ。


 ……うん。もうティナとケンカするのは辞めよう。『天才』スキルで攻撃魔法まで沢山盗んできたら、無敵に近いよ。問題はスタミナと魔力切れくらいかな?


 僕はティナの魔力切れを心配しつつ、視線を再びレオンに向けた。

<ティナ様、怖いです。彼女にはSM女王様の才能があるのかもですぅ>


 ルークス君、怖い事言わないで欲しいなぁ。

 では、明日の更新をお楽しみに

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