表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第一章 僕、ティナと婚約する編。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/89

第15話 僕、ティナと仲直りする。

「カイトぉ! 助けに来たよぉ!!」


 僕は危機一髪のところ、ティナに助けられた。

 目の前まで迫っていた大型甲虫が、ティナの火球魔法で燃え上がった。


「ティナ!」


 背中を強く打ったため身体が痺れて動けない僕、ティナが助けに来てくれたのに驚いた。


 ……森に来るなんて何も言ってなかったのに、どうしてこの場所が?


「まったく無謀な坊やだな」


<ワタクシが、救援をお二人に願わなければ危なかったですよ? 政変以前に打ち上げていましたGPS衛星が生きていて何より。困ったカイト様ですね>


 僕はグローア(あね)さんに神聖魔法で治癒をしてもらい、なんとか身体を起こす。


「ふん!」


 スキルオーラで桃色に輝くティナは、大型甲虫の突撃を宙返りジャンプをして回避し、上から甲羅の隙間を剣で突き刺す。

 そのまま全体重を片手剣に乗せて深く貫き、長めの柄を両手で握り捻る。


「よいしょ!」


 ティナは剣を虫の背から引き抜き、その勢いで更なる甲虫の突撃を転がりながら避ける。

 そしてすれ違いざまに、襲ってきた甲虫の気門、柔らかい横腹を切り裂いた。


「す、凄い!」


 ティナの体術と剣術は、もはや僕と同格か、それ以上。

 その動きは、どこか僕の動きに似ている。

 まるで僕の動きを、見よう見真似で学んでいるみたいだ。

 この間、コツを教えた身体強化魔法も完全に使いこなしている。


 ……これが『天才』スキル! 凄いや、ティナ。


「ティナちゃん、凄いねぇ。多分、今なら坊やと良い勝負だ。このままならアタシの出番は無いよ」


 中距離は火炎弾、接近戦は体術を絡めた剣戟。

 見事な魔法戦士っぷりだ。


「はぁはぁ……。あれ?」


 しかし、突然ティナの動きが止まった。

 スキルオーラが消え、力が抜けたように座り込み、動かなくなった。


「危ない!」


 僕は飛び出して、ティナに覆い被ろうとした甲虫を高周波ナイフで両断した。


「ティナ! 大丈夫? どうしたの!?」

「わたし、急に力が抜けて……」


 大きく肩で息をし、視線も定まらないティナ。

 もしかして、虫から毒でも喰らったのか?


「よいしょ! あ、こりゃ魔力とスタミナ切れだね。ティナちゃん、坊やを助けに向かう時から全速力だったし、間に合ったのもあって力が抜けちゃったか。しょうがない、後はアタシが片づけるよ。坊やはティナちゃんを守れ!」


「はい!」


 ……そうか! 急いで走って来てくれたし、早く動くために身体強化魔法を全力で使いっぱなしだったんだ。それで、魔力とスタミナが切れちゃったから動けなくなったんだね。そんなに無理して僕を助けてくれたんだ……。


 僕達を守る為に飛び出していったグローア姉さんが、銀色の戦斧を振り回すたびに大型甲虫が吹き飛ぶ。

 遠距離から飛び掛かる敵も、姉さんは気弾魔法で吹き飛ばす。


「あれが姉さんの戦い方なんだ……」

「カイトとも違う戦い方だけど、凄いよね。わたし、カイトの真似っこは出来るけど、お姉さまのは真似出来ないわ、うふふ」


 僕は腰が抜けたティナを背中から抱きしめ、姉さんの豪快な戦いを見ていた。


「ははは! そこで二人は仲直りしてな。さあ、大暴れするよぉ!」


 姉さんは、吹き荒れる鋼の旋風となって、甲虫の群れを殲滅していった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ティナ、今日はひどい事を言ってごめん」

「ううん、わたしも言い過ぎたわ。カイト、ごめんなさい」


 薄明かりな部屋の同じベットの中、今日は向かい合い抱き合う僕ら。

 お互いに謝りあう。


「僕、ティナを大事に思うばかり、ティナを危険から避けたいと思っていたんだ。だから、ティナが戦うのが嫌だったんだよ」

「もう、過保護だよぉ。わたしもカイトの役に立ちたかったのよ。だから、怖くてもカイトと一緒に戦うの。だって、エロ伯爵に捕まった時、わたしは何もできなかったから……」


 僕がティナを大事に思うように、ティナも僕の事を大事に思ってくれていた。

 しかし、お互い相手の意見を聞かず、相手の思いを無視して勝手に動いてしまったのが、今回の失敗だ。


「ごめんね。ティナの事を思っていたけど、ティナがどう思うかまでは、考えていなかったよ」

「わたしも、カイトがそこまでわたしの事を思ってくれていたのに、気が付かなかったの。ごめんなさい」


 お互いの体温と匂いを感じ合いながら、僕たちは抱き合う。


「もう謝りあうのは辞めない、ティナ?」

「そうね。わたし達お互いに愛し合って暴走しちゃったんだものね」


 ティナは眼を閉じ、唇を僕へと近づける。

 僕も同じく目を閉じて唇をティナへと合わせた。


 数十秒間、合わせた唇を離すと透明な糸が唇を繋ぎ、そして切れる。


「うふふ。カイト、だーい好き!」

「僕もだよ、ティナ……」


 そして同じ毛布の中、再び強く抱き締め合う僕ら。

 ティナの暖かく柔らかくて良い匂いの身体は、まるで最上級の羽毛布団の様に、僕に絡みつく。

 その感覚は、とてつもなく気持ちが良いが、別の意味で危険だ。


 ……頼む、僕のSAN(正気)値に理性、それに下半身。()ってくれぇ。3.1415926535……。


 僕はあえて難しい事、円周率なんかを考えて、下半身に血液が集まらないようにする。


 まだティナの呪い、淫紋は解除できていない。

 間違ってティナの純潔を奪えば、ティナに掛けられた呪詛が発動し、ティナは意思を持たない性奴隷になってしまう。

 それだけは、絶対に避けなければならないのだ。


「ごめんね、カイト。貴方には辛抱させちゃって。今も大変よね。わたしの身体に硬いの当たってるの、うふふ」

「……ティナ、分かっているなら、もう少し身体を離してくれると助かるんだけど?」


 どうやらティナは僕が大変なのを理解しながらも、抱きついてきているらしい。


「そう? じゃあ、わたしの呪い見てみる? ほら!」


 身体を僕から離したと思ったら、ティナは夜着をまくり上げ、下腹部、パンティの上の綺麗なお腹を僕に見せつける。


「ちょ、ちょっと止めてよぉ!」

「カイトなら、わたしの全部を見て触っても良いのよ? さあ、さあ!」


 僕はとっさに視線を外すが、ティナは夜着や下着を脱ぎ全裸で、僕に抱きついてきた。


「ちょ、蛇の生殺しは辞めてよぉぉ!」

「カイト。だーいすき!」


<ああ、やはり夫婦ケンカは犬も食わない。ワタクシ、砂糖マーライオンしたいですぅ>

 二人、仲直りして何よりです。

 さて、明日の更新をお楽しみくださいませ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ