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地球生まれでスキル無しな僕、冒険者パーティから追放されるも科学と技術を使って、超絶美少女な幼馴染の異世界貴族令嬢と婚約する~スキルに頼るお貴族様なんて全然怖くない!~  作者: GOM
第一章 僕、ティナと婚約する編。

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第11話 僕、ティナとイチャイチャする。

「どうかしら、カイト? うふ」


 宿屋に入り、しばらくしてからの夕食時、既に宿屋一階の酒場で待っていた僕の前にティナが現れた。


「え!! ティナ、その髪は!?」


「長い髪は貴族っぽく見えますもの。それに冒険者をするのには少しは短い方が良いでしょ。頭が軽くなってすっきりしたわ」


 食事前に部屋に入り、グローア(あね)さんに何か手伝ってもらっていたティナ。

 お湯を貰っていたから、旅の汗と汚れを拭うために湯浴みをしていたとは思っていた。


 しかし、ティナの腰下まで長く伸びていた髪がさっぱりと切られている。

 真っ白なリボンでポニーテール風にまとめられているが、あれなら背中の中頃くらいで切っている。


「ど、どうして。せっかく伸びていてキレイだったのに?」


「あのね、カイト。わたし達、大きな声で言えないけど逃亡中よね。如何にも髪の長い貴族のお嬢さんが歩いていたら、すぐにバレちゃうわ。だから、髪を切ったの。元々、わたしはあまり長いの好きじゃなかったし、生きていたら髪はまた伸びるものね」


 キラキラとした眼でくるりと回り、燭台の灯りに照らされた栗色の綺麗な髪がフワっとなびく様子を楽しむティナ。

 その眩しい姿と思いっきりの良さに、僕は感動した。


 ……こんな綺麗で可愛くて賢い子を、僕は領主から奪ったんだよね……。


「で、どうなの、カイト? 似合ってるかしら?」

「うん、すっごく似合っているよ!」


「はいはい。坊やとティナちゃんのノロけに、アタシは恥ずかしくなっちゃうよ」


<ですね、グローア様。ワタクシに口があれば、あまりの甘さに口から砂糖を吐いている事でしょう>


 ……それってバカップル同士に我慢できず砂糖マーライオンって奴?


 まさか、AIに砂糖を吐くくらい甘いと言われるとは、僕は恥ずかしくなってしまう。


「さて、とりあえずは夕食にしようや。あ、まずは火酒を頼むよ!」


「じゃあ、僕は麦酒(エール)を。ティナはどうする?」


「良かったらワインをお願い出来る? あまり酸っぱくないのが良いわ」


 僕たちは酒と料理を囲み、夕食会議を始めた。


「ぷはぁ。さて、まずは情報のまとめをするよ。さっき、ここの出張神殿に問い合わせてみたけど、ここまでは領主様のお達しは来ていない。明日には領境を抜けるから、たぶん追跡は撒いたと思うよ」


「となると、領主様の兵による追跡はもう来ないと思っていて良いのですか、姉さん?」


 領主の権限が通じるのは自領内のみ。

 隣領ともなれば、領主同士の関係が良くなければ犯罪者の受け渡しは難しい。


 更に言えば、他領の兵士を中に呼び込むのは戦争時でもない限りあり得ない。


「そうでしょうね、カイト。隣領に兵を送るってことは、最悪侵略行為と判断されてもおかしくないもん」


「ティナちゃんのいう通りさ。で、残るのは冒険者ギルドから依頼された追跡者(チェイサー)だね。領内を調べつくした後になるだろうし、居場所がバレなきゃ派遣もされないさ。盗賊ギルドも律儀に約束を守ってくれているらしいしね」


 盗賊ギルドと僕達は、情報提供以外は不干渉の約束をしている。

 領主とはあまり良い関係では無かった様で、盗賊ギルド長は悪口をおおっぴらに広められると喜んでいた。


 ……横からやって来たかつての恋人に領主様は幼妻を駆け落ちされたって、噂を流すんだってさ。確かに領主様にしたら恥ずかしい事だし、大公様に申し出て僕を指名手配するのもやりにくいだろうしね。


「追跡に関しては、当面は大丈夫だね。次の問題はティナちゃんの呪い紋さ」


「カイト、ごめんなさい。解呪がかなり難しそうなの」


 湯浴みと髪を切る際にティナに彫り込まれた奴隷紋を確認した姉さんが言うには、かなり高度な魔術式で魂をも縛りつける悪質な物らしい。


「アタシも呪詛にはそこまで詳しくはないけど、母さんの話や見た感じと込められた魔力量からみて、心や身体どころか魂まで縛り付ける悪質なものみたいなのさ」


「え! じゃあ、もうティナの呪いは解呪出来ないの!?」


 僕は、ティナに掛けられた呪いがとても悪質な事に驚く。


 ……だったら、呪を書いている途中でティナを救ってたら!


 僕は、ティナを救うのが遅れてしまった事を悔やむ。


「慌てなさんな、坊や。坊やは頭が良いのに、ティナちゃんの事になったら、いつも頭が回っていないぞ? 今、ティナちゃんが誰かに縛られているのかい?」


「そういえば、ティナは正気だよね?」


<カイト様は、昔からティナ様の事になったらダメでしたものね>


「あら? そうなの、ルークス? カイトったら、可愛いの。うふふ」


 周囲に、すっかりイジられる僕。

 でも、こんな愉快で素敵な仲間になら、何言われても嬉しい。


「カイトが魔術師の台詞を聞いたって言ってただろ? 領主様の精を受けて呪が完成するって。つまり、ティナちゃんが純潔である限りは大丈夫ってことさ。そういう訳で、坊や。アンタは、ティナちゃんの呪いが解呪されるまではエッチ禁止ね」


「えー! 僕はティナを、そんな目で見た事……」


「あら? わたしのハダカ見て顔を赤くしていたのは誰かしら? ぐふふ。あの時、カイトの股間を見る余裕がわたしには無かったけれども、もしかして……」


 珍しく下品な笑いで、ティナは僕の下半身に視線を送ってくる。


「二人して僕を揶揄(からか)わないでよぉ。それに、ティナ。猥談は禁止だよぉ!」


 結局この後、酒場のおっちゃんから静かにしろと言われるまで僕たちは騒いだ。


<まったく逃亡者である自覚が、皆様に無いのは困りますです>


  ◆ ◇ ◆ ◇


「それで、なんでエッチ禁止なのに、僕のベットの中にティナが居るの?」


「悪いかしら? わたし、昔みたいにカイトと一緒に寝たいの。カイトは紳士だから、わたしを無理矢理襲ったりしないわよね?」


<これは、蛇の生殺しというべきなのでしょうか>


 ルークスが言う通り、生殺し。

 暗い部屋のベットの中。

 僕の横には、暖かくて柔らかくて良い匂いのするティナが居る。

 そして背中越しに、その柔らかい身体を僕に押し付けるように抱きついてきている。


 ……僕、大変!!

<カイト様、辛抱ですぞ>


 さて、カイト君のSAN値(正気度)がどこまで持つのか。

 次回更新をお楽しみにです。

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