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8歳になりました

「あのゲームさ、タイトルが結構なネタばれじゃない?最初は意味がわからなかったけど、進めていくうちにあの〇〇の事だって判明して、なんで初っ端に・・・」


「分かる分かる、最初は意味分かんないよね、だって本編始まる前に・・・」


 好きなものを語り合える友がいるって幸せだな、友人にしつこく勧めて良かった。


「私、設定資料集も買ったから貸すね、あの〇〇の事も詳しく書いてあるから」


「よろしく」









 また一日が始まる。何か夢を見ていたような、そうでないような。すっきりした目覚めだからどちらでもいいか。


「リィラお嬢様、8歳の誕生日おめでとうございます」


「ありがとう、ばあや。ばあやはまだまだ元気でいてね」


 ばあやは年長者なのに屋敷で一番忙しく働いていて頭が下がる。お母様が小さい時からいるらしいけど、正確な年は分からない。捨て子だったので本人にも分からないそうだ。隣の領地の産まれらしく、子供のころは大変苦労したみたい。だからこの領地では子供が大切にされているのを見て感銘を受けたそうだ。


「先々代様は大変素晴らしい方でした。何処の馬の骨とも知れぬ自分に美味しい食事と生きていく術を与えて下さりました。この御恩は子々孫々まで決して忘れは致しません」


 ばあやはよくそう言うけど、もう充分返してもらっている。本当は楽隠居させてあげたいのだが、ばあやが首を縦に振らないのだ。


「今日の予定は、子供の家の視察よね」


 子供の家とは、子供が好きな時に滞在出来る場所の事で、繁忙期に子供をあずかる施設も合わせた総称だ。全て税金で賄っている。初代領主である聖女様が力技でその当時の領民を納得させたらしい。最初は不満もあったらしいけど、大切にされた子供たちが大人になると自分たちが受けた扱いを次の世代にもという思いになり、それが繋がって今に続いている。


「さようでございます。お母上は気分が優れぬ故、ご同行なさらないそうです」


 最近、お母様の様子がおかしいのだ。どうやらあの男がまた何かしでかしたらしい。全く、自分にあれの血が流れているのかと思うと全身の血を抜きたくなる程の衝動に駆られる。お母様は素晴らしい母親であり領主だけど、夫選びだけは失敗したとしか言いようがない。あれは顔しか取り柄の無い夫としても父親としても最低な男だ。


「どこが良かったのかな、あんな男の」


「お嬢様、お部屋以外では謹んでくださいませね。ばあやは何も聞かなかった事に致します」


「分かっております」


 お母様はあの男を愛していらっしゃる。あの男を悪く言う事はお母様を傷付ける行為だ。私はあの男の事を頭から追い出し、子供たちを喜ばせる為に企画しているお祭りの事を考えた。


 後から考えれば、この時にあの男のしでかした事にきちんと対処していればあんな事にはならなかったのに。後悔先に立たず、である。








 私だってまさかあんな事になるなんて思いもしなかったわ


 

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