まだまだ子供です
「・・・復活した〇〇を倒すっていう割とありきたりなお話かとおもいきや、その〇〇っていうのがね・・・」
「ネタばれ禁止」
「分かってる、早く語り合いたいなー」
私はやっとクリアしたゲームを友人に貸した。
また新しい一日の始まりである。今日は魔法学と経済学、それから何だったっけ。とにかく色々と覚えなければならない事が山積みだ。
「リィラ様、一日置いたらひびが入っちゃった」
「あらあら仕方無いわね、それじゃあ私と一緒に最初から作り直しましょう」
嘆く領民を励まし、再起を応援するのも大事な仕事である。私は自分の泥団子を潰し、彼女と共に新たな泥団子作りに着手した。土はたくさんあるので作り放題だ。
「リィラ様、今日もお昼前に終わっちゃうの?」
「今日は着替える必要がないからお昼まで出来ますよ」
魔法学は屋敷の庭で学ぶ実践的学問なので、畑仕事用(とは言っても領民のそれよりもはるかに豪華だけど)の服でも問題がないのです。
聖女の末裔なのでそれなりに大きい魔力を正しく使う為、お母様自ら教えてくださるのだ。領内を駆け回り忙しくなさっているお母様と過ごせる貴重な時間なので、とても楽しみにしている。
忙しいのは主食である麦の収穫時期だからだ。我が公爵領は聖女様の御力で作物が育つ土壌になったが、他の地域に比べると収穫量が少ない。麦以外にも色々と植えているので領民が飢える事は無いのだが、麦が育つのには向いていない土地なので大変なのだ。
「リィラ様、今日のお昼ご飯はなんですか?」
「それは後のお楽しみですよ。皆が懸命に働いて得た大事な食糧ですもの。今日も美味しくいただきましょうね」
領民の仕事が忙しい時期、希望する領民の子供たちをあずかる施設が領内には幾つかある。食事を提供し、遊ばせたり昼寝をさせたり簡単な読み書きを教えたりしているのだ。大抵は学校に併設されていて、領民からの評判も良い。この屋敷に併設されている施設に集まっている子供たちは親の無い子や親が病気で面倒をみられない子が多く、普段から施設で生活しているが、皆で支えあっていてとても立派だ。次期領主としてこの子らを守っていかねばならぬと強く感じている。8歳になり学校に通えるようになると寮に入って生活する事になるので、それまで無事に過ごせるよう努力する所存である。
「リィラ様、僕の泥団子出来たよ」
「リィラ様、私も!」
守りたい、この笑顔。聖女様が始められた『子供たちが、領民皆が幸せに暮らせる領地運営』、末代まで守り続けたいと決意を新たにするのであった。
それにしても、あの女性の言ってた〇〇って、何の事かしら?