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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第七章 終焉の先に待ち受けるモノ→いよいよ……最終決戦!
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*91 王との闘い 後半戦

 ブォオン!


 前方目掛けて光の刃を横に薙ぎ払う。すると斬撃に合わせて半円状の光波がヴィクターに襲い掛かった。ヴィクターはその場から跳びあがり光波を回避する。

 通り過ぎた光波はヴィクターの後ろの壁に爆発を生じ、亀裂を走らせた。


 光波の威力にヴィクターが内心冷や汗を流した。当たればただでは済まない、防御を取るのは得策ではない。と考えジンの方を向き直った。


 そこではジンが光の剣を天に掲げ――剣先に光を集約させていた。


(不味いッ!!)

「――光よ」


 ズォオオオオオオオ!


 光の剣を真下に振り下ろした直後

 途轍もない魔力と光が込められた光線が解き放たれた。ヴィクターは咄嗟に地面を踏み、光線の脇に躍り出た。しかし僅かに掠った足甲の部位は蒸発し、そして訓練場全体が悲鳴を上げたかのように震えた。


「「「うわあぁあああああ!?」」」

「これ障壁持つのか!?」

「分からないから今全力で魔力を注いでいる!!」


 訓練場に貼られた障壁が壊れぬようにヒュドールを含めた魔法師たちが全力で魔力を回していた。


 ――訓練場からは外からでも分かるほどに神々しい光の柱が飛び出しており、観客も自らの安全が脅かされつつある現状においてもただただ見とれていた。



「まさか、これほどとは……はッ!?」


 ドシュ! ドシュ!


 破壊力に目を奪われていたヴィクターは咄嗟にその場から跳びあがった。何故ならヴィクターの立っていた場所に剣と槍が突き刺さっていたからだ。


 そして体勢を立て直したヴィクターはジンに向かって突撃した。四方八方から武器が飛んでくる中でひたすらグローブと持ち前の体術で叩き落とし、回避するその姿はまさに歴戦の戦士を思わせる対応力だろう。


 しかしそれでも一向に減らない武器の群れに苦い表情を見せるヴィクターだが、反対にジンは黒い甲冑に身を包みマントをなびかせているその姿は、英雄ではなくむしろ魔王という印象を与えていた。


「シャアアアアアア!!」


 飛んでくる剣を砕く、槍をへし折る、大槌を剛腕で返り討ちに、刈り取りに来る大鎌を他の武器にぶつける、大剣を側面から叩きつける。

 これら一連の動作を寸分の狂いもなくかつ即座に実行に移せているのは、もはや驚愕を通り越すだろう。


 しかし全盛期のヴィクターならいざ知らず、老いてしまったことで体力が落ちていた彼は、このまま全ての武具を粉砕することが難しいとほかならぬヴィクター自身が感じていた。


 故にヴィクターは武器の嵐を突破することを決意した。狙うは只一つ、嵐の目――ジンである。



 しかし一回でも対応を間違えれば即座にアウトなこの危機的状況にもかかわらずヴィクターは嗤っていた。


(あぁ……何て、何て心が躍るのだ!!)


 全盛期でもお目に掛かれなかった最大級の試練を前にしてヴィクターはこれまでにないほど感動していた。

 数々の戦争を制してきたヴィクターは、その中で〝好敵手〟と呼べる存在は確かにいた。しかし、今相対しているのはそれらとは比べ物にならない存在。いわば〝天敵〟と呼べる存在だった。


 ヴィクターの戦い方は基本的には接近戦が本領であり、ジンの近・中・遠距離の全範囲攻撃にはそもそも近づく事すら困難であるため、接近戦に持ち込めないのだ。


 だがそれを知っても尚ヴィクターは挑む。この理不尽に


 絶え間なく降り注ぐ武器が、【色付き】の力が、そして光の光波をヴィクターは着実に乗り越えていった。

 辺りには破壊された武器が散乱しており、訓練場の地面や壁には戦いの激しさを物語る傷跡が散見された。


 ドスン!


「――行くぞォ! 我が最大の試練よ!!」


 そう言ってヴィクターはただ真っ直ぐに、愚直に突き進んだ。


 ヴィクターを追従するように無数の武具が襲い掛かった。襲い掛かった武器の群れは、尋常ならざる速さで繰り出された拳と剛腕によって生じた風圧で弾かれていった。


 しかし遂にヴィクターの背中に剣が突き刺さった。思わず苦痛に顔を顰めるが、それでも足を止めなかった。


「グゥ……ッ! ま、まだまだァアアア!!」

「――光よ、貫け!!」


 ジンの背後から生じた光がヴィクターに向かって解き放たれた。複雑怪奇な軌道をする光に対応するのは困難と判断したヴィクターは敢えて受けた。


「グハァ!?」


 光線が無慈悲にもヴィクターの胴体を貫き、思わず呼気を吐き出すがそれでもヴィクターの足は止まらなかった。


 傷口からは肉の焼ける感覚をヴィクターは覚えた。


 ――しかし遂に、ジンの目前にまで迫ったヴィクターは歯を見せた獰猛な笑みを浮かべ、そして右腕に全ての力を込めて振りかぶろうとした。その際人体から発してはいけない音が出るほどに拳を握りしめ、やがて腕が膨張した。


 対するジンもヴィクターと同様に右腕を思い切り振りかぶり、魔力を込め始めた。

 こちらは腕全体を覆っていた甲冑の部位に魔力が満ち、まるで竜の腕のように腕の部位が変形し、更に甲冑全体が赤黒く脈動していた。


 そしてその拳は振るわれた


「ゼヤァアアアアアアアアアアア!!」

「ハァアアアアアアアアアアアア!!」


 ドグォオオオオオオオオン!


 二人の拳が衝突した瞬間、まるで近場で大爆発が起きたのかと錯覚するほどの爆音と衝撃波が発生した。


 二人の雄叫びが響き渡る中――遂に決着がついた


「ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

「グアァアアアアアア!?」


 ジンの拳がヴィクターの腕を突き抜け、その胴体に吸い込まれていった。その瞬間ヴィクターの身体からすべての空気が抜け、ジンが拳を振り終えると勢いよく壁に叩きつけられた。


 その衝撃で壁には大きな亀裂が走り、そして障壁をも破った。


「……我の、負けで……ある」

「俺の……勝ちだ」


 ――勝ったのはジンであった


『け、決着ぅううううううう!!』

「「「ウォオオオオオオオオ!!!!」」」

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