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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第七章 終焉の先に待ち受けるモノ→いよいよ……最終決戦!
84/100

*84 再びの迷宮と巨人鍛冶師

「そろそろ良いかね? ジン殿」

「……すまない」

「ふふっ、気にするな」


 鏡の前に立ち、ひたすらポージングを決めていたジン。よほど気に入ったのかかれこれ数分間鏡に映った甲冑を眺めていた。本人によると『消えていた少年時代が今来たようだ』とかなり興奮していたのだった。しかし話をしている途中の為、カルメンに促されジンは冑の下で恥ずかしさで顔を赤らめながら鏡の前から速やかにどいた。


 そしてジンがソファーに座った後カルメンは真剣な顔立ちになり話を始めた。


「……ヴィクター様との模擬戦だが、それについてジン殿の意見が聞きたい」

「――ッ!」


 ヴィクターとの模擬戦


 期日で言えば既に四日を経過しているため、本来であればあと三日後に行われる筈である。


 しかし今回の魔王襲来というセーラス国は疎か他国にも重大な影響を与えた一大事であったのは間違いなかった。何せ人類の敵ともいえる魔王が何の前触れもなくセーラス国に現れたのだから。そこだけ切り取れば魔王がセーラス国を壊滅させたのかと思われるが、各地で広まった噂では【黒色の武装】であるジンが魔王を撃退したことになっているのである。実際には撃退ではないのだが、ありのままの事実を伝えると国が大混乱を起こしてしまう為、この様に伝えられたのである。


 そしてそれを踏まえて当事者のジンの意見が聞きたいとカルメンは言った。


 しかし意外にもジンの考えは決まっていた。


「模擬戦をしたい」

「――ッ! そうか! やってくれるのだな!」



――実のところジンはヴィクターと戦いたかったのだ。魔王といずれ戦うことを自覚してから強さを求めるようになったジンは、ヴィクターとの死闘を自分の糧にしようと考えていた。そして、この先行くことになる【アライブ迷宮】で手に入れられるであろう新たな力を以てヴィクターに挑むことを視野に入れているのである。


「……そうだ。俺はその挑戦を受けると決めた」

「わかった! 早速ヴィクター様にジン殿の意向を伝えるとも! ではジン達は【アライブ迷宮】へ行きたまえ!」

「ばいばーい!」


 ジンの力の込められた決意にカルメンも驚きを隠せなかった。以前までとは異なり肉体的にも精神的にも成長を遂げたジンは既に変貌していたのだ。それを感じ取ったカルメンやアイリは、ジンの成長に目を見張っていた。初対面の時はアイリに意思疎通を任せきりにしていたジンだが、今こうして途切れ途切れであるが明確に自分の意思を伝えられるようになったのだ。


 そしてジンの満足行く解答を得られたカルメンはヴィクターにその旨を伝えるように言い残すとカルメンはジン達に感謝を述べると部屋を後にした。




「それでアイリ、この【工房への転移】を押せばいけるんだよね?」

「はい! そうですよ!」


 一度拠点に戻ったジン達は身支度を整え、ヘファイトスの待つ【アライブ迷宮】へと向かう準備を済ませていた。前に【アライブ迷宮】に訪れた際にヘファイトスから工房へ直接転移するためのスキルを授かっていたため後はこれを押すだけになったのである。


「……行くぞ」

「うん!」

「えぇ!」


 三人は同時にスキルの項目を押した。すると三人の周りに魔法陣が展開されると共に輝き始めた。そして数分も立たないうちに光が三人を包み込むと、一際大きく輝き、三人を転移させた。



◆◆◆


「ここは……」

「あっ久しぶり~」


 間延びした特徴的な声がジン達に向けられた。ヘファイトスだ。相も変わらず巨大な身体で槌を持って武器を打っていた。辺りにはヘファイトスが作ったであろう武器が無数に立てかけられてあった。


「ヘファイトス……」

「おっ、遂に変化したか~。先代とはまた違った変化だ~」

「どういうことだ……?」


 ジンの甲冑を見てどこか懐かしそうにしているヘファイトスに対してジンは疑問をぶつけた。


「え~っとね、実はジンが最初身に着けていた形態はね、所謂初期形態なんだ~」

「初期……形態?」

「そう、その甲冑にはね唯一無二のスキル《自己進化》のスキルが付与されているんだ~」

「《自己進化》……? ですか?」

「そうだよ~そのスキルのお蔭でジンの甲冑は勝手に修復されるし、ある程度経験を積むとね甲冑が使用者の戦い方と周りの環境に合わせて変化するんだよ~」

「それでジン様の甲冑が変化したんですか……」


 アイリはどこか合点がいったような表情をしてヘファイトスの話を聞いていた。ジンは自分が纏っている甲冑の凄さに改めて驚愕していた。ヘファイトスはジンの甲冑の全体像を眺めて、うんうんと頷いていた。甲冑の製作者なだけあってやはりどのような進化を遂げているのかを知りたかったようだ。


「ジンは竜モチーフか~、先代も竜だったけど、先代よりも少しスリムで……成程~機能性と防御を両立しているね~うん。いい出来だぁ~」

「先代も竜モチーフだったのですか!?」

「そうだよ~」

(父さんも竜モチーフに進化したのか……ちょっと見てみたいな……)


 記憶を呼び起こして懐かしさにふけっているヘファイトスと自分の父親の甲冑も見てみたいと思ったジンだった。

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