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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第七章 終焉の先に待ち受けるモノ→いよいよ……最終決戦!
80/100

*80 魔王襲来

 ジンはグレイから貰った十字架を首に掛けながらうきうき(周囲には少し危ない人に見える)しながら帰宅していた。隣にいるアイリやグレイもジンの気分を感じ取ったのか、こちらはニコニコしながら家路についていた。


 ふとアイリは考える。ジンは、まるで背伸びをした子供のようだと。


(今も冑に覆われて見えませんが、あの冑の下、心はやはり年相応……いや、下手したらグレイちゃんと同じくらいの笑顔で溢れているのでしょう。ここまでジン様に仕えてきたら分かります)


 アイリは初めてジンとあった時のことを思い出していた。自分の村を襲った盗賊団を残らず倒し、自分たちを助けた時のジンを。アイリの意識はその時僅かに冑から見えたジンの眼を思い返す。


(あれは……まるで、虚無。恐らく心の中では何かしらの反応を見せていたでしょうが、あの真っ黒な目はまるで、ジン様の甲冑のように真っ黒で光がありませんでした。――今は違いますけどね)


 瞳を閉じて最近のジンの眼を思い出す。


 その眼は相も変わらず真っ黒であったが、アイリ達との旅を通して徐々に『色』が表れるようになった。楽しい時には『喜び』の色が、怒るときには『怒り』の色が、アイリ達と過ごしている内に顕著に表れるようになっていった。ジンの真っ黒……或いは真っ白なキャンパスが徐々に彩られていっているのがアイリにはわかった。それを踏まえてアイリはジンのことを背伸びをした子供だと表現したのだ。



 そんなことを考えているとジン達は宿についた。辺りはすっかり夕焼けに包まれており、セーラス国の東の方に位置するジンの宿の反対の方角からは日が城壁の下に沈んでいく光景が見られる。ジンはその光景を目の当たりにしてどこか懐かしさを覚えていた。


(あぁ……そうだ……あの時もこんな光景だったな……夕焼けに染まる公園で、グレイちゃんに似た()()()と会えなくなったんだったな……あれ? 何言ってんだ? 俺の小さい頃には女の子の友達はいなかった筈……ッ!?)


――ジンは己の脳裏に過った記憶に体が固まった。あふれ出てくるその記憶の中にはグレイに似た少女が幼き日のジンらしき子供に微笑んでいた。そしてジンは元々の記憶との齟齬に呆然としていた。そしてなぜこのタイミングで思い出したのかが見当もつかず、わなわなと震えていた。


(俺は、何を思い出したんだ……!? 俺は何故この記憶を忘れていたんだ!?)


「やっほー! ジン♪」


 突然ジンの背後から聞きなれたグレイの声が聞こえてきた。しかしジンの目の前には既にアイリとグレイがいるため、グレイの声が聞こえるのはおかしいのである。その声が聞こえたのかアイリとグレイも咄嗟に振り向き、絶句した。


「――えッ!?」

「わ、私!?」


 そこにいたのはグレイにそっくりな何かで、爛漫な笑みを浮かべながらジンに微笑んでいた。そしてグレイに視線を移すと先ほどまでの爛漫な表情から能面のような表情に早変わりした。


「うんうん、君が私の偽者ね?……グレイは私の名前なの、死んで」


 自らをグレイと名乗った何かがアイリの傍にいるグレイに向けて右手を掲げ――その瞬間セーラス国全体が揺れ、城下の一角が消し飛んだ。


――だが


「へぇ……? 私のこれを防ぐんだぁ……♡」

(はぁ……はぁ……)

「ジ、ジン様!」


 煙が晴れた先には、まるで壁のように無数に展開された《黒騎士の蒼盾(ナイトオブブルー)》がグレイのような何かの放った質量の暴力を防ぎきっていた。しかし《黒騎士の蒼盾(ナイトオブブルー)》の幾つかには罅が入っており、その威力の凄まじさを物語っていた。


「あ……貴女は一体……!?」

「私? 私はね、魔王。君たちの敵だよ♪ よろしくね♪」

「ま、まお……う?」

「黙れよ私の偽物」


 あっさりと自分の正体を話したグレイらしき何かこと、魔王。その正体を知り驚愕するアイリとグレイだが、グレイに殺意を込めた視線をぶつけ、威圧を掛けた。グレイは体中が竦みあがり、震えていた。

 しかしそんなグレイの前にジンが庇うように立ちふさがった。既に周囲にはジンがこれまで継承してきた武具が無数に出現し魔王に狙いを定めており、いつでも放たれる寸前であった。絶体絶命の状況下にある筈の魔王だが、まるで欲しい物が手に入った子供のようにキラキラした目をしながら楽し気に笑っていた。


「わぁ……! すごい! ここまで成長したんだね!」

「お前は……一体!」


「でもね」


 そういうと魔王が指を鳴らすと、魔王の背後にジンが展開した武具と同数の禍々しい魔法陣が出現した。そしてそこから覗かせたのは、見るも悍ましいDNAのような形状をした槍が出現した。その歪な槍には紅く輝く瞳があり、ぎょろぎょろと周囲をせわしなく見渡していた。それらは今か今かと魔王の指示を待っているかのようだった。


 そして魔王は人差し指を天に向けた後、まるで演奏をするかのように指を指揮棒のようにして、グレイに照準を合わせた。それに合わせて槍も動き出し……発射された


「えい♪」

「――ッ射出(ファイア)!」

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