*70 【黄色の雷鳴】の顕現
「兄上……!良くぞ!ご無事で!!」
「龍我……お前も無事でよかった!」
雷電は体が弱くあまり立てない龍我の下に近づき再会の喜びを分かち合った。そして、暫くした後龍我はジン達に視線を移した。
「それで、君が【黒色の武装】の……タチバナ ジン殿か!」
(フルネームで呼ばれるのも久しぶりだな……)
ジンは問いかけに承諾するように頷いた。それを見た龍我は満足そうに『そうか!!』と大声を上げるが、すぐに咳込んでしまい、雷電が駆け寄って龍我を支えた。
「ごほっ、ごほっ、済まぬ……お見苦しい物を見せてしまった……」
「あまり無理をするな龍我」
「い……いえ、それよりもお体の方は大丈夫ですか……?」
「な、なに……いつもの事だ。とうに慣れておる……」
顔色を少し悪くしながらも、大事には至らないという龍我を心配するジン達だった。
それからジン達は改まって龍我からの話を聞くことになった。
「改めて……私が、龍我・R・雷電。この国の頭首を務めさせてもらってる」
「そして私が龍誠・R・雷電。【黄色の雷鳴】の継承者だ」
「……並んでいると本当に兄弟って感じがしますね……」
「そっくりー!」
(うーん……顔が良い……)
「ははは……よく言われるよ」
「むぅ……」
まるで双子のような二人が並んだ光景にジン達は各々の感想を口にした。それを聞いた二人も何とも言えなさそうな表情で各々の反応を示した。
しかしこの場にいる誰もこの先起こることの予想は出来なかった。突然襖が開かれたかと思うとそこには息を切らした御付人がいた。その表情は焦りの色を見せており、冷や汗らしきものをかいていた。
「はっ……はっ……申し上げます!」
「どうした?!」
「ら、雷霆国の上空に無数の竜種が出現し、城下を襲っています!!」
「なんだと!?」
その瞬間身の毛もよだつ程恐ろしい何かが雷霆国全土に響き渡った。
――雷霆国の遥か上空にて
「グルルルルル……」
「……頃合いか」
雷霆国の上空には漆黒に輝く鱗を持つ竜【漆黒竜ファブニール】とその背に乗る【至る者 ドラーク】が雷霆国に攻め入る機会を待っていた。彼らの周りには雷霆国に生息している【雷竜】やその他の竜種が無数に点在していた。それらの竜種に共通している特徴として竜種特有の爬虫類のような眼には正気が宿っておらずどこか亡霊染みた印象を与えるのだった。
そしてドラークが槍を振り下ろして合図を送った。
「行け。雷霆国を完膚なきまで沈めろ」
「「「ギャォオオオオオオオオオ!!!!」」」
そしてドラークが雷霆国に攻め込む命令を下した。すると竜達は一斉に咆哮し、眼下に広がる雷霆国に向かって各々突撃して行った。その様子からはやはり正気が感じられず、完全にドラークの傀儡になり果てていた。
「ククク」
次々と雷霆国に突撃して行く光景を見てドラークは竜を模したような兜の下でニヒルに嗤った。そしてファブニールの全身に繋がっている鎖を握りしめてドラークもファブニールに乗ったまま降下し始めた。
「さぁ……忌々しき雷霆国よ……貴様らの滅びはもはや避けられん。お前たちが信仰する竜に蹂躙されたまえ」
「グォオオオオオオオオオオオオオ!!」
雷霆国の空に身の毛もよだつ竜の咆哮が響き渡った。そして、それはやがて地上にまで届き、彼らの絶望を煽るのだった。
◆◆◆
『グォオオオオオオオオ!!』
「何だ!?今のは!?」
「竜か?!しかし……この辺りの竜ではないものだ……!」
「外を見てください!雷霆国の上空に……竜の群れが!!」
「「!?」」
御付人に釣られて外の景色が見える場所に案内されたジン達が見た光景は、地獄絵図だった。
「な……何故あれ程の竜が!?」
「これは……!?不味いッ!!」
雷霆国の上空に無数に点在している竜が城下に向けてブレスを放ったり、雷霆国を覆っている何かに向かって体当たりをしていた。
「竜が空中に向かってブレスを……?」
「……あれこそ我が国の防衛壁『竜の鱗』……あれがある限り外からの攻撃を防げる……が、これはもはや時間の問題だ!」
「何……あの数……」
(《黒騎士の武具》を……今俺が持っている【色付き】の力を可能な限り装填しなくては……!!)
雷霆国をドーム状に覆っている半透明のバリヤ『竜の鱗』が竜の攻撃を防いでいるが、質量と物量の暴力によってその防壁に亀裂が入りかけていた。その光景を目の当たりにした雷電は即座にその地点に向かおうとした。
「お待ちを!兄上!こちらをお忘れです!」
「……これは!」
そういって龍我が雷電に手渡したのは、何やら妙な形をした長い棒のような物だった。雷電はそれを見るとハッとしたような表情になったが、それを受け取り……腰に付けた刀を徐に抜刀した。
「……?一体何を……?」
「それ……何?」
(何かの……部品か?……ん?あの棒に持ち手のような物が……?それに、あの先端部位に何か嵌るのか?)
アイリとグレイが疑問に思う中、ジンはふと雷電の手に握られた棒のような物を観察していた。
その棒のような物には刀の持ち手のようなパーツがあり、更に棒の先端部位には竜の顎を模したような謎のパーツがあった。それだけでは武器にしてはどこか頼りなく思えた。しかし、雷電は刀を抜刀し……それを力強く握り始めると、刀に異変が起こった。
バチッ バチチ
「刀から雷が!?それに……形状が?!」
(刃が……!?)
雷が雷電を刀諸共覆いつくすと、刀の形状が変化した。そして鞘と柄が外れ始め……雷電はその刃を竜の顎のようなパーツに突き刺した。すると、その顎が閉じて刃が固定された。
その形状はまさしく、『大鎌』と形容するにふさわしかった。
「か、鎌!?」
「か、かっこいい!!」
(すっげぇ……!)
雷電が握っていた棒は、【黄色の雷鳴】の伝承でもあった鎌の持ち手であり、彼が普段から扱っていた刀こそその刃であったのだ。
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