*67 赤き闘士
ドグォオオオン!!
「ジン様!!」「ジン!!」
(こ、これが反逆者レオ……!?)
闘技場が揺れるほどに大きな振動と爆音が鳴り響くと同時にジンは壁に叩きつけられた。胴体から伝わったレオの剛力による大槌の猛烈な衝撃はジンの内臓を揺らし、明確に大きなダメージを受けた思わずジンは冑の中で吐血する。
甲冑を着けているのにも関わらず、体の芯にまで伝わる衝撃は骨身まで伝わり、ジンは意識を失いかけたが襲い来る強烈な痛みと持ち前の根性で耐えきった。
そしてそんな凄まじい速度で飛ばされたジンに対してアイリとグレイは悲鳴を上げ、雷電は神話の英雄の力を目の当たりにして冷や汗を流していた。
しかしその瞬間
ズガガガガガガガガガッ!!
『ほう……!』
(お返しだ……ッ!射出!!)
噴煙の向こうからジンが《黒騎士の武具》を始めとした《黒騎士の白剣》《黒騎士の緑槍》等をレオに向けて射出した。そして当のジンも右手に大鎌を左手に大剣を持って突っ込んできた。
しかし、迫りくる武具に対してレオは手にした大槌を振りかぶった。その一撃によって巻き起こった衝撃波によって射出された武具の軌道がずらされ、互いに衝突したり地面や壁に突き刺さった。
そしてジンが右手の大鎌を振り下ろすが、これはレオの裏拳で弾かれるようにして叩き落とされた。ジンは即座に左手の大剣を横薙ぎに振りかぶるが、レオはその場から跳びあがって回避した。
それからひたすらにレオは怒涛の猛攻を繰り出していった。ジンもひたすらに武器を手元に呼び出してレオに攻撃する。その過程でジンの武具がレオによって弾かれ、ひしゃげたりするため、その都度ジンは手元に武具を出し続けた。
ジンが大剣を振るう、レオの大槌とぶつかるも、レオの筋力に負け大剣が弾き飛ばされる。そして新たに《黒騎士の白剣》を展開してレオにぶつけるが、剛腕から振るわれるその大槌と拳と脚の連撃でものの見事にことごとくが粉砕された。
(マジかよ……!?)
『まだまだぁ!!!!』
「ッ!!」
咄嗟に右手に《黒騎士の緑槍》を呼び出し、そのまま地面に突き立ててレオの足元から無数の《黒騎士の緑槍》を顕現するが
『我を……舐めるでないッ!!』
(まずいッ!?こっちに飛んできた!!)
レオを貫かんとしたその瞬間、レオはジンの方向へ大きく跳躍して大槌を振りかぶった。ここでジンは『このまま自分の前に槍の壁を作る』か『《黒騎士の緑槍》から手を離して回避するか』の二択を迫られ、結果として本能が回避を選択した為、ジンは槍から手を離してその場から跳び去り回避した。
しかしその行動は正解でもあり不正解であったことをジンは知った。
『シャアアアアアアアアアア!!!!』
(俺の槍を……踏み台にして、更に加速した!!?)
――実際槍の壁を作った所でレオの勢いは止められず、ジンはそのまま手痛い打撃を受けていた所であった。
かと言って今のように回避したところでレオはジンが突き立てたままの槍を思いっきり蹴り、勢いを強めたままジンに迫ってきたのだった。
ジンはまるで砲弾のように向かってくるレオに対して漆黒の大槌を構えお返しと言わんばかりにレオの身体に真っ正面からぶつけた。しかしレオは身をよじらせながらジンの大槌の一撃を体全体で受け流すようにして回避しそのままの勢いで拳を振りかぶり……
ガキン!
(……危なッ!!)
『防いだか……』
眼前に迫った拳の間に向けて《黒騎士の蒼盾》を射出して勢いを殺したことによってジンはその拳を間一髪回避することに成功し、無防備なレオの胴体に武器を射出して空に打ち出したのだった。
『ほう!これは……!』
(もう……一発!!)
レオが真上に吹き飛ばされた後更にジンが武器を射出し、追撃を与えた。それらを受けたレオは被弾を最小限にしながら空中で体勢を立て直した。
しかしレオは決して少なくないダメージを受けていた為に地に膝をついていた。だがレオに有効打を与えた筈のジンだが、その顔色は余りすぐれなかった。それはジンが最初に貰ったダメージがじわじわと追い詰めていたことが原因だった。
(きちぃな……)
『……中々やるではないか……さぁ、もっと我に力を示すがよい!!』
(……!望む所……!!)
そして彼らは獰猛な笑みを浮かべながら、ジンの武器とレオの武器がぶつかり合うたびに金属がぶつかり合うような音と衝撃波を観客席にいるアイリ達も感じることが出来た。さらに闘技場の地面は2人の衝突で亀裂が走った。
それからはひたすらジンが武器を破壊される度に付近に突き刺さった武器を即座に拾い上げ、レオに襲い掛かった。そしてそれをレオが迎撃するという流れがしばらく続いた後……
(オラァ!!)
『ぐうぅ……!喰らえ!!』
(ガッハァア!……まだまだぁ!!)
レオが武器に意識を取られている隙をついてジンは本気の拳でレオを殴った。ジンは武器ではあまり有効打を見いだせないと考え、咄嗟に殴った。
その一撃を喰らったレオは獰猛な笑みを浮かべながらジンの冑を思いっ切りぶん殴った。冑があってもかなりのダメージを貰って仰け反ったジンだったが、拳を握りしめ、足を踏み込み、勢いをつけてレオを殴ったのだった。
『くはははははははは!良いぞ!良いぞ!!このような泥臭い殴り合いは久方ぶりだぁ!!』
(はぁ……はぁ……)
『さぁ!行くぞぉおおおおおおおおお!!!!』
――次第にレオもジンも武器を捨て拳で殴り合う泥臭い戦いになっていった。ジンの戦い方は防御面を甲冑に任せて被弾してでも殴りに行くという大変危険な戦い方だが、その戦い方がレオの琴線に触れたのか、凶暴な笑いをしながら数分間ノーガードで殴り合うのだった。
そして……遂に終わりの時が来たのだった
『喰らえぇええええええい!!』
(オラアアアアアアアアア!!!!)
ドグゥオ!!
そして互いのクロスカウンターが決まり、ジンがぶっ倒れたのだった。しかしレオも同時に仰向けに倒れたのだった。その表情は満足げだった。
『は、ははははははは!!……良き戦いであった……!まこと久方ぶりの、熱き殴り合いであったぞ……!!』
「はぁ……はぁ……」
『宜しい!燃え上がる我が魂の力……【赤色の業火】の力を受け取るがよい!!』
そういうとレオは赤く輝く宝玉を出現させると、そのまま宝玉がジンの下へ向かった。そして《黒騎士の武具》の大槌に宝玉が嵌り、新たに赤の力《黒騎士の赤槌》を授けたのだった。
(はぁ……はぁ……や、やった……)
「ジン様!!ご無事ですか!!」
「ジン!!《回復》!!」
(や……やべ……意識が……)
「ジン殿!」
ジンの意識は暗闇に沈んだ。
《黒騎士の赤槌》……全体的に赤い亀裂のような線が走り、叩きつける部分は真っ赤に変色しており、叩きつけらた衝撃の強さに応じた爆発が生じる。
瞬間的な火力はピカ一でリーチも長く、遠心力の力で振り回してもかなりの威力を望める。




