*66 一頻りの別れと更なる継承の時
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――数十分後
「おう!待たせたな!」
「フラム様!それで……今後は……」
「あぁ、それなんだけどよ……この国に残るわ……済まねぇな」
(まぁ……しゃあないか……)
フラムは一時ジン達に着いていく事も考えていたが、やはり妹が心配とのことでこの国に残る決断をしたようだ。これに対してジン達は特段止めることは無かったが、どこか惜しむような空気が主にグレイとアイリから発せられた。
それを感じたフラムは、申し訳なさそうな表情をしながら頭を掻いた。申し訳なさを感じているようだった。
「アイリ殿、これが今生の別れではない……いずれ見えるときがあるだろう」
(そうそう)
雷電がフラムの言葉を代弁するかのようにアイリ達に声を掛けてジンもそれに続くかのように頷きながらグレイとアイリの頭を撫でていた。撫でられている2人は目を細めながらむぅ……と言葉を漏らしていた。
「まぁ、雷電の言う通り、またいずれ会えるからよ!それに、なんかあったら俺も協力するからよ!その時は言ってくれや!すぐに駆け付けてやるよ!!」
「ふむ、力強く勇ましいな……我が国でもこれ程勇敢で義理堅い男はいないだろう」
「はははッ!お前にそう言ってもらえるとはな!!」
雷電と軽口を叩きながら笑顔で話すフラムの姿を見てジン達は安心していた。それからジン達は次の目的地である雷霆国へ向かう為に今日はヴィティが手配した宿に泊まることになった。
「……ところで、袴は自分で着れるか……?」
「……着れる」
「雷電、この前1時間かけてなかった?それに、髪の毛を乾かすときも『外に行って走ってくる』って言って走って乾かそうとしてたよね?」
「とグレイの嬢ちゃんが言っているが……」
「着れるから問題ない、あと最終的に乾いたから問題なし」
「……やっべ凄い心配になってきた」
◆◆◆
――翌日
「では、私達はこれで」
「バイバーイ!」
「世話になった」
「おうよ!またいつかなぁーッ!!」
ジン達はシニアーク王国の正門を抜けて、雷霆国に向けて出発したのだった。正門にはフラムが出迎えており、ヴィティからの激励の言葉とフラム自身の言葉をジン達に投げかけたのだった。
そして雷霆国への道中にはフラムと初めて会った【グローリー火山】の傍を通る必要があった。と言うのも魔物の動きが活発化したせいか、本来ジン達が通る筈だった道が通れなくなり、もう1つの道である【グローリー火山】の傍を通ることになったのである。
「まさか再びここを通ることになるとは思いもしませんでした……」
「久しぶりだねー!」
(……そういやあれからどうなったんだろうか……?)
――シニアーク王国を出立して【グローリー火山】に差し掛かったころ
「今日は幸いにも晴れているので……火山の全体が見えますね」
馬車の窓からは雪に覆われながらも圧巻と言えるほどにそびえたつ【グローリー火山】が見えていた。以前訪れた際は吹雪が吹いていたので、あまりその大きさを実感できなかったが、今日は雲がほとんど見えない快晴だった為前回よりもその大きさをより実感できるのだった。
アイリとグレイが懐かしさを覚えている中、ジンと雷電は言い様のしれない感覚に襲われていたのだった。
(うーん……なーんかまた引っ張られるような……?)
「ジン?どうしたの?」
(……気の所為、かな?)
「……」
「雷電様もジン様も……どうなさったのでしょう……?」
そして馬車がグローリー火山に一際近づいたその時だった。
突然馬車を中心として真っ赤な幾何学的な模様が描かれた巨大な魔法陣が展開されたのだった。
「こ、これは!?」
「この感覚……!この魔法陣からか……ッ!」
(やっべ……ッこの感覚は確か!!)
それから周囲が光に包まれると、そこにはジン達は疎か馬車すら消えていた。
◆◆◆
ジンが《転移》特有の浮遊感を味わっている最中眩しさに目を閉じていると、暫くして光が収まった。
(こ、ここは……一体……!?)
ジンが目を覚ますとそこは辺り一面がまるで古代ローマの闘技場のような場所であった。ジンが立っている場所は剣闘士が戦うスタジアムのような所であり、周囲を見渡すと観客席のような場所にアイリ達がいることに気づいた。
更に、ふと闘技場の最上部にジンが視線を移すと、そこには真っ赤な火が灯った聖火台の下に甲冑姿の男性が座っていた。その男は遠目からでも分かるほどに筋骨隆々とした肉体に加えて歴戦の戦士の証のような傷痕が体中についていたり、老人のように白い髪の毛はまるで獅子のように逆立っていた。
また、その男性の背後には数多の武具が立てかけられており、その中には少しボロボロになっている旗がはためいていた。
「ジン様!?」
「ジン!?」
「これは……!?」
(……まさか……)
『……【黒色の武装】の継承者よ』
「……ッ!?」
周囲の状況に戸惑っているジン達に向けて闘技場全体に響くような、闘志に満ちた勇ましい声で甲冑姿の男が声を上げた。そしてゆっくりと立ち上がりながら隣に立てかけられたマグマのように煮えたぎっている大槌を手に持ち構え、そしてジンの向かい側に向かって跳び上がった。
ズドン!!
(……ッ!!)
『我が名はレオ かつて魔王軍に反逆し、民を率いた戦士の王である!!』
「レオ?!あの【反逆者レオ】ッ!?」
「……嘗ての英雄……この前のライフと同じ……」
(やっぱりか……!!そして、恐らくこのパターンは……)
レオは闘気を漲らせながら、常人が竦みあがるような視線をジンに向けながら言った。
『【黒色の武装】よ!!お前が果たして力を継承するのに相応しい存在か裁定してくれようぞ!!全力を以て我にそれを示さん!!!!』
(やってやる……!こいつ、いやレオに小細工は通用しない……!!)
そしてレオが姿勢を落としたかと思うと……次の瞬間にはジンの眼前に迫っていた
(……ッ!?速い!!)
『ゆくぞぉおおおおお!!』
(《黒騎士の蒼t……)
レオは爆発的な脚力による暴力的な推進力でジンに迫りその尋常ではない筋力を以て大槌を振り抜いた。ジンが防御する間もなく凄まじい勢いと共にジンは闘技場の壁に吹き飛ばされ、爆音が鳴り響いた




