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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第六章 最後の【色】と顕現する悪意→凄まじく面倒になるのは確か
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*65 再びの氷の女王

 それからジン達は、『魔王崇拝』の残党を憲兵に引き渡した後、アイリ達と合流したのである。その際に少年に化けていた女性がフラムの怒髪天の怒りの形相を見て失神した後、こちらも憲兵に引き渡されたのである。


 なお、その女性の両手両足は元通りに治療された後《契約》によって『暴力行為の一切を禁ずる』及び『スキルの消失』という枷を付けられ牢獄に入れられたのである。そしてこれはその女性に限ったものではなく、生き残った残党も同じ枷を付けられ牢獄に送り込まれたのである。そしてジン達は一晩をフリーレン村で過ごし、翌朝には村を出立したのである。


 シニアーク王国に向かう馬車の中でジン達は、シニアーク王国までの道のりで思わぬ形で足止めを食らっていたため、本来であればもっと早くたどり着けたかもしれないなと軽い小話をしながら朝ご飯を済ませている内に遂にジン達はシニアーク王国に着いたのだった。


「やっと着きましたね……」

「特に……変わりは無いみたいだな……!あちこちに魔物の死体やら痕跡はあるが……」


 フラムがシニアーク王国の周辺を見渡しながら安堵したような表情を見せた。ここに来るまでフラムはずっとシニアーク王国のことと何より妹の安否を心配しており、その表情はここに来るまでどこか薄暗い影が差していたのだ。


 周辺には氷漬けになった魔物姿が多々見られ、中には氷で構成されていた筈の魔物でさえも分厚い氷に閉じ込められており、図らずも氷漬けにされた魔物たちがまるで新たな壁のように機能しており、分厚い氷の壁に加えて針山のように尖った氷が更に魔物の進行を妨げており、防御面に関しては雷電が素晴らしいと口にするほどに優れていたのだった。


 そしてフラムの顔パスで王国内に入ったジン達は早速ヴィティの待つ王城に向かった。その城は相変わらず雪のように真っ白で、太陽に照らされ白銀の輝きがジン達の目を突き刺した。


(相も変わらず眩しい……)

「あぁ!良かった!こっちも何とも無ぇんだな!」

「……些か眩しい」

「……私もちょっと……」


 城を初めて見た雷電やあまり眩しいモノに耐性が無いグレイは目を手で覆いながら各々の感想を述べていた。それからすぐに城の使用人がやってきて一行は玉座の間に案内されたのである。


「魔物の動きが活発化していると聞いていたが、特に何ともないのか?」

「はい、フラム様。この城の周辺は我らの女王の加護によって守られております」

「あの魔物たちをやったのも?」

「はい。女王様のお力で魔物たちが凍らされた後、女王様のご命令ですぐさま封印術を掛けて魔物の意識を奪い、障壁を完全な物にいたしました」


 フラムが使用人のその言葉に満足げに頷きながらもやがて、見慣れた扉が見え始めた。そこは玉座の間に通じる扉であり、前回ジン達が訪れた際と殆ど変わっていなかった。

 そしてフラムが、実家のようなノリで扉を開けようとしたところを使用人に止められたりしたが、漸くヴィティに謁見することになったのである。


「ようこそいらしました。お久しぶりですね皆さん」

「おう!ただいまぁああああああ!?」

「お兄様、礼節を弁えてください?」

「あだだだだだだだだだだだ!!!!」


 フラムの傍に瞬間移動したヴィティがまるで能面のような笑顔を浮かべながらフラムを締め上げた。その光景を見て雷電は雷霆国にいる自分の兄弟との差異に驚いていた。


 それから暫くしてフラムが解放されると何事も無かったかのようにジン達の方に意識を向けたのだった。


「それで……ありがとうございます。兄を連れて来て下さっただけでなく、周辺を脅かしていた『魔王崇拝』の連中を懲らしめてくださって、本当に幾つもの借りが出来てしまいましたね」

「い、いえ、私達もフラム様に助けてもらったので……」

「それはそれは……それと、貴方が雷霆国の……」

「お初にお目にかかります。龍誠・R・雷電と申します」

「あらあら……わざわざここまで足を運んでくださってありがとうございます」

「此方こそ、フラム殿には世話になりました」


 ふふふ……と上品に笑うヴィティは、ふと真剣な顔つきになった。


「……話はヴィクター様より伺っております。今や各地では魔王軍の動きが活発化し、大変なことになっていると。特にセーラス国に魔物が押し寄せている現状にも関わらず、シニアーク王国の為にお兄様を帰還させていただいたことには感謝しきれません」


 そう言ってヴィティはヴィクターへの感謝を述べながら、シニアーク王国の現状について話し始めた。


「現在の我が国は、他国と比べてもまだそれほどの被害は被っていませんが、恐らくそれも時間の問題でしょう。だからこそここで【赤色の業火】のお兄様が戻ってくることは戦力的にもうれしい限りです。そして何より……」

「何より……?」

「家族が、無事に戻ってこれたことが何よりも嬉しいのです」

「ヴィティ……!」

(……家族愛ねぇ……)


 それからフラムを玉座の間に残してジン達は城の待合室に案内されることになり、一行は待合室でフラムを待つことになった。


「そういえば、雷電様は雷霆国を離れて大丈夫だったのですか?」

「あぁ、それについては弟と信頼できる腹心に任せてある。彼らなら私が戻るまで耐えてくれるだろう」

「信じているんだね!」

「あぁそうだとも」

(信頼できる部下……)


 それからジン達はフラムが戻るまで雷霆国の話を雷電から聞いてたのだった。その内容は雷霆国の気候や雰囲気、そして特産品などについての事であり、ジン達はまだ見ぬ雷霆国とやらに期待を寄せていたのだった。

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