*59 生命を持つ機械と落雷の剣士
「さーて、着いたぞ……」
「近くで見ると……思ったより綺麗ですね……」
「……確かに、思ったよりも汚れてないな……で……これか」
遺跡の前に着いたジン達の前にはあの資料に載っていたものと同じ模様のある扉らしきものを見つけた。その扉はまるで地中から飛び出してきたかのようになっていた。そして、その扉にジンが触れると緑色の光が扉全体に行き渡った。
「うおっ!なんだ!?急に光り出したぞ!?」
「扉に彫られていた球に……色がついていきます!」
(……はえー、こんなに綺麗に光るもんなのか……)
ジンが触れてからすぐ後、扉に彫られていた球の模様に次々と青、白、黒、そして赤の色が発光したかと思うと扉が重苦しい音を立てながら徐々に開いていった。
扉の中は薄暗い一本道であった。しかし中はどういう仕組みか不明だが、一本道の奥まで見えるほどの明るさであり、恐らく魔法によるものだと判断し、一行はゆっくりと足を踏み入れていったのだった。
「で、では行きますよ……?」
(よし、行こう)
「行こう!」
「行きますかね……」
こうしてジン達は扉の奥へ奥へと進んでいったのだった。
――しかしそれから数分後
「……行くか」
ジン達が遺跡の中に入ったのを見届けていた男……龍誠・R・雷電……以降雷電も空きっぱなしの遺跡の扉の中に入っていった。
◆◆◆
――数十分後
遺跡の中に入っていったジン達を待ち構えていたのは、まるで木そのものである魔物『トレント』やラフレシアのような大きさの花に大きな口と触手がついた魔物『イビルプラント』等植物や木で構成された魔物がジン達を襲った。
「だー!もう!!俺まともに攻撃出来ねぇえええええええ!!」
「その為のっ!私達ですから!!」
「《真空刃》!ここは私たちが頑張るから!!」
(《黒き剣》……!……数が多い……それに階層も割と深くまで来たはずだが……)
フラムはここで自身が炎を出してしまうと、遺跡が大惨事なことになることを悟り、必死に大槌で魔物たちを叩き潰していった。
アイリがこちらに伸びてくる触手を斬り裂き、グレイが風の刃で的確に魔物を両断して、ジンが《黒き剣》で全体的に魔物を斬りつけていった。一方フラムも悪態はついているが、その強力な腕力からもたらされる強烈な一撃は魔物を苦しめていた。
かれこれ数十分はこれを繰り返しており、ジンは前にも同じようなことがあったなと内心思いつつ十回目の階段を下りていった。
「……うん?なんだ?ここが最下層なのか?」
「あれは……木の根……でしょうか?」
最下層らしき場所についたジン達だったが、そこに待ち受けていた光景は、何やら大きな木の根らしきものが張り巡らされた空間だった。天井は高く、明るさは先程とは変わらないもののこれまでの階層よりもほんの少しだけ明るいという印象が伝わってくるようだった。
(……ん?なんだあれ?……随分大きな物が木の根の中に閉じ込められている?)
そしてジンはふとその木の根の中に何か大きな物が閉じ込められているのが見えた。更にジンがその物体を観察していると
「うおっ!?なんだ!?木の根が……?!」
「フラム様!?ってきゃあああああ!?」
「アイリっ!?……私も……!?」
(一体何が……ッ!?)
フラムが仰天した声を出したかと思いジンが振り返るとそこには、木の根に手足を拘束されたフラムの姿があった。更にアイリとグレイも木の根に拘束され、ジンは突然の状況に驚いていたが、ジンはふとさっきまで自分が見ていた木の根の中の物体に意識が向いた。
『……訪問者よ』
(……!何だ、これは!!)
『我が試練を受けよ』
(不味いッ!?……離れなくては……!!)
突然謎の物体から声がしたかと思うと、緑色の光を放ちながら動き始めた。そして今にもそこから飛び出しそうな気配を察知したジンは即座に飛びのき、アイリ達の傍に着地した。
ジンがアイリ達の傍に来たと同時に木の根を突き破る様に謎の物体が木の根を突き破りながらジン達の前に躍り出た。
「な……なんだあれ!?」
「ゴ、ゴーレムでしょうか……?」
(あれは……まさか、ロボット……?!)
独特の駆動音を鳴らしながら全身に緑色の線を行き渡らせながらジン達を見下ろす謎のロボットのような物にジンは心底驚かされていた。というのも、その見た目がまるで機械と木が融合したような見た目になっており科学の叡智の象徴であるロボットとは似つかわしくない存在であったのだ。
更に付け加えるなら、そのロボットはジンの良く知る二足歩行型の双眼タイプのロボットであった。そして白を基調として全身のいたるところに薄緑に発光している線がまるで血管のように全身に張り巡らされており、その手にはカルメンの持っていた槍よりも少し大きく、より尖った槍が握られていた。
『我こそは【生命の化身 ライフ】 汝らが【黒色の武装】と【赤色の業火】と見受ける。しかし我が試練を受けるのは【黒色の武装】だけである。我の力を継承するにふさわしいか試練を与える』
(……!来るッ!!)
◆◆◆
『小手調べだ。まずはこれを捌いて見せよ』
そういってライフが槍を掲げると部屋中に張り巡らされた木の根から次々と尖った枝のような物が飛び出し、まるでマシンガンの弾丸のようにジンに襲い掛かった。
(なんのッ!!)
ジンは《縮地》と《超感覚》を駆使しながら一切無駄な動きをすることなく適切に木の槍を回避し、的確に《黒騎士の白剣》で撃ち落とし、小回りの利く《黒騎士の白剣》の1つを手に持ち、片手には《黒騎士の蒼盾》を持ち降り注ぐ槍を防いでいた。その様子からは嘗てのジンとは比べ物にならない成長を感じられる。
『では、次だ』
(……ッ!今度はお前もか!!)
再び木の槍が飛び出したかと思うとライフが槍を持ってジンに襲い掛かってきた。ここからジンは雑念の一切を払い、飛んでくる槍の対処、そしてライフの攻撃を掻い潜りながら一撃を与えるという常人では到底不可能である試練を乗り越えなければならないのだ。
(《黒騎士の白剣》展開!……標的は飛んでくる槍だ!射出!!)
ライフの繰り出す正確無比な槍の連撃を《黒騎士の蒼盾》で受け流しながら、《黒騎士の白剣》を射出して飛んでくる槍を撃ち落としていった。しかし間を縫うようにジン目掛けて降り注いでくる槍は鎧が防いでいるが、その衝撃でジンの体幹が乱れ危うくライフの攻撃に当たりかけることが続発した。
(不味い!このままじゃあジリ貧だ……!《黒騎士の白剣》だけじゃあ足りなねぇ!!今ある分も全部出さねぇと!!)
今度は咄嗟に生成して飛ばすことが出来る《黒騎士の白剣》だけでは捌き切れないと判断したジンは《収納》にあるありったけの《黒騎士の武具》を射出して自分の被弾を極限まで減らし、一刻も早くライフに一撃を与えることに全神経を置いた。
辺りの壁や床には、完全にへし折れた木の槍やそのまま突き刺さったジンの武器が突き刺さっていたり無造作に打ち捨てられていた。
『ふむ……成程……!』
(これで……どうだッ《黒き剣》!!)
『これは……!』
絶え間なく繰り出されるライフの攻撃を受け流しては、いなし、回避しては、攻撃を繰り返していたジンだったが、ライフから繰り出された正面の一撃を《黒騎士の蒼盾》を器用に使って槍の勢いを利用してライフの態勢を崩した。所謂『パリィ』である。
そしてその隙を逃さず、ジンは《黒き剣》を発動した《黒騎士の白剣》で斬りつけた。機械であるライフはそれこそ人間の可動域を超えた動きを出来るため、咄嗟に態勢を立て直してジンの攻撃を防ごうとするが、《黒き剣》によって発生した複数の斬撃を受けきることが出来ず、大きく吹き飛ばされた。
(はぁ……はぁ……どうだ……?!)
『良きかな。素晴らしい』
(……!《黒き剣》の傷が修復されてやがる!!)
大きく吹き飛ばされたのにも関わらず何事も無く立ち上がったライフの身体からは既に先程の《黒き剣》の傷は消えていた。そしてライフはジンを称賛するような声を上げると、ジンに近づいていった。その手には緑色に輝く宝玉が握られていた。
『我の力を受け取るがいい』
(……《色の融合》!!)
すると《黒騎士の武具》の大槍が、飛び出して、穂の部分の窪みに緑色の宝玉が嵌ったかと思うとそこを起点に柄の部分まで螺旋を描くように木々が巻き付き、元々あった刃先の根元から木の槍が飛び出し三叉槍のような形状になった。……《黒騎士の緑槍》の誕生である。
「……では、次は私の番だな」
「「「!?」」」
『ほう……お主は』
(ッ!?《黒騎士の蒼盾》!!)
ガキン!
「……防ぐか」
(こいつは一体……!このッ……!!)
突然襲い掛かってきた謎の男の攻撃を咄嗟にガードしたジンだが、あと一瞬でも遅かったら斬られていたことを実感すると背筋が凍った。
そして盾を構えながらジンが斬り掛ると、男は種間移動にも等しい程の速さで既にジンの間合いの外に出ていたのだった。
(速い……!)
「お初にお目にかかる。私の名は『龍誠・R・雷電』……雷電でいい。今度は私が貴公を試す番だ」
(無茶苦茶言いやがって……!)
第二ラウンドが始まったと同時に落雷のような足音と共にジンに斬り掛った雷電であった。
《黒騎士の緑槍》……黒い大槍の先端部位の穂の部分に嵌められた宝玉から緑色の線が走り、先端部位から二つの部位が飛び出し三又槍のような形状に。
地面に突き刺すことで無数の《黒騎士の緑槍》が飛び出し対象を追尾する。また直接相手に突き刺すことで相手の魔力や体力を消費して体内から《黒騎士の緑槍》が飛び出す




