*58 新たな気づきと【黄色の雷鳴】
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「じゃあ、出発するとしますかね!」
「はーい!」
(まずは、シニアーク王国か……)
翌朝ジン達はセーラス国の正門前で馬車に荷物を詰め込んでいた。といっても詰め込んであるのはフラムの手荷物ぐらいであり、ジン達はジンの《収納》によってほぼ手ぶらな状態である。
……それを知ったフラムが若干羨ましそうな表情を浮かべていたが、それはさておいて
そしてフラムが荷物を積み終え、いよいよ出発することになった。ジン達は馬車に乗り込み馬を走らせた。フラムはシニアーク王国までだが、ジン達は雷霆国までの長旅になるため、予め多くの食料や日用品などを《収納》したのだった。
その話を聞いたフラムがますます羨ましがっていたが、無い物をねだっても仕方ないということで素直に諦めたという。
――馬車を走らせて数時間後
「……うん?なんだ……この感じ……」
(なんだろう……何かに引っ張られるような……)
「どうしましたか?お二方」
セーラス国を出て数時間が経過したころ、ジン達はとある遺跡の周辺を通り過ぎようとしていた。そこは前にシニアーク王国に来た時も通った道であるが、何故かジンとフラムは何かに引っ張られるような感覚に襲われたのだった。
辺りはうっそうとした森林であるのだが、馬車が通る道の脇道の空間に木々に紛れるような遺跡があったのだ。ジンとフラムはそこに引き寄せられる感覚に同時に陥っていた。不思議に思ったアイリとグレイが二人を心配するもフラムもジンも何処か落ち着かない様子だった。
「……あー、多分ジンも気になるよな?あの遺跡……」
(何だあれ……?前に来た時は……こんな感じはしなかったのに……)
ジンは内心驚愕しながらもコクリと頷いた。それを見たフラムは少し考え、アイリ達に提案した。
「……なぁアイリの嬢ちゃん」
「はい?何でしょう?」
「この近くに村ってあるか?」
「はい、この先の森林を抜けた先にあります」
「……なるほど」
それから暫くしてフラムは何かを考え付いたようでジン達に答えを聞こうとした。その内容は、この先の村に馬車を止めてここに徒歩で来て、この遺跡を見ることであった。
ジンはこの提案に即賛成の意思を示した。ジンもこの引き寄せられるような感覚が気になって仕方なかったのだ。
アイリはジンとフラムのただならぬ様子にあの遺跡の調査には賛成だった。それに時間的にも正午を回っていたため拠点を確保するという意味でも最寄りの村に寄ること自体は得策であると考えたのである。グレイは言わずもがなジンやアイリが良ければいいという考えであった。
「決まりだ。じゃあ、一旦この森を抜けて村を目指すぞ!」
「はーい!」
「行きましょう」
(何があるのやら……あ、そうだ調理器具とか用意しなきゃな)
◆◆◆
「おお、旅の御方。こんな辺鄙な村になんの用ですかな?」
「あー……実はな……」
森林を抜けた先の村『セウブ村』と呼ばれているのどかな自然に囲まれた正に田舎といった村に着いたジン達は村の長である『ゲルト・ローゼン』に事の顛末を話していた。
するとゲルトは、宿屋にジン達を案内をして部屋を取ってくれたのだった。そしてその宿の一室、会議室であの遺跡についての情報をゲルトより聞こうとしていた。
するとゲルトは何かを思い出したかのように宿屋に備え付けられた簡易的な図書室からとある資料を持ってきて机に広げたのだった。
「ゲルト爺さん、これは?」
「えぇっ……と、どれじゃったけの……おっ、これじゃこれじゃ」
「……?これは、地図でしょうか?」
(あれ……?この模様どっかで……)
ゲルトが一枚の写本のような資料を机の上に広げるとジン達はそれを覗き込んだ。そこには遺跡の入り口らしきものと、その周りに浮かぶ4つの宝玉のような物が描かれていたのだった。その宝玉のようなものにジンは心当たりがあった。そしてそれに気づいたのは……グレイだった。
「あっ!この丸いやつ!ビアンカおねぇちゃんの所で見たやつだ!!」
「ビアンカの……所……?……あっ!」
「……これは!」
(……はっ!!)
グレイの言う通り、この宝玉のようなものはビアンカの所……セイクリッド王国でジン達が鑑賞していた絵に描かれていた球体と同じものだったのだ。それに気づくと更にフラムがあることに気づいた。
「……ということは、あの遺跡に入るには……4つの【色付き】の力が必要だってことか!?」
「……今この場にはフラム様と2つの【色付き】を継承したジン様が……!」
「……なるほど、道理で以前のジン達が反応しない訳だ!!」
(確かに……あの頃は【黒】と【青】そして【緑】しかいなかったからな……)
ジン達は得た情報をまとめて、早速荷物を整え遺跡に向かって行ったのだった。
「ありがとうよ!ゲルト爺さん!!」
「ほっほっほっ……お気を付けくだされ」
「行きましょう!皆さん!!」
「……あれが例の【黒色の武装】と【赤色の業火】か……」
そう呟いて席を立った男の身なりは、アイリやフラムのような服装とは違い、独自に改造された袴を身に纏っていたのだった。
黒を基調として黄色い雷のような模様が施されたその袴にはフードのような物と背中には雷と竜が混ざり合ったような意匠が施されており、腰には二本の刀が納められていた。また、フードの下からはまるで稲妻のように荒々しい色をした長髪が現れた。
「……彼らが、我が国を襲う危機を救えるほどの逸材か否かを……しかと見定めさせてもらうぞヴィクター殿」
――男の名は『龍誠・R・雷電』
彼こそ【雷霆国】が誇る最強の剣士にして当代の【黄色の雷鳴】であった




