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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第五章 白き祝福と青き深海→いよいよ【色付き】が揃いつつある
49/100

*49 不穏な気配

閲覧ありがとうございます!

次回から本格的に探索開始です

 『セイクリッド王国』より遥か南八十キロの地点に【ブレイブ墳墓】の入り口は存在している。墳墓なだけあってその周りには死者を弔う為に設置された巨大な十字架や女神像が静かに佇んでいた。そして【ブレイブ墳墓】には半透明なベールに包まれており、害ある者の侵入を防ぐという目的で貼られた結界であることをリヒトより聞かされていたのだった。


 【ブレイブ墳墓】は、嘗ての英雄……【色付き】がその最奥で埋葬されているとされ、『セイクリッド王国』だけでなく多くの国々が【ブレイブ墳墓】を聖地として認めていることからもその存在の大きさが計り知れるだろう。また【ブレイブ墳墓】の周辺には嘗ての魔王との闘いで散っていった戦士たちが眠っているとされており、それもこの地を聖地として名を馳せている要因の1つになっているのである。



 道中多くのアンデットに遭遇しながらもフラムが焼き払い、ヒュドールが浄化の力でアンデット達を祓い、ジンとアイリはグレイの《聖なる剣》によるエンチャントを受けながら襲い来るアンデットをなぎ倒していった。


 そして一行が【ブレイブ墳墓】攻略を開始して2時間が経過したころ、


「ここが……【ブレイブ墳墓】の入り口……」

「さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返ってやがるぜ」

「この地に貼られた結界の効力だろうね。この結界から浄化の力を感じれるし、アンデットや亡霊の類が湧かないようになっているんだろうね」


 一行は【ブレイブ墳墓】の入り口の結界前に到達したのだった。そこは、先ほどまでのアンデット達との戦闘のような喧騒は無く、静まり返っていた。


「でだ。俺たちはこの結界の中に入れるんだよな?まさか俺たちが入れませんでしたーってなるわけないよな?」

「君が悪意ある感情を持ってなければの話だけどね」

「あ゛あ゛ん!?」

「落ち着いてください……」


 皮肉気味にフラムに言葉を返したヒュドールにキレるフラムをアイリが宥めた。……しかしとある二名は固まっていた。


「……あれ?グレイちゃんどうしました?」

「……本当に、ここに行くの?……本当に?」

「ん?どうした?グレイの嬢ちゃん」


 グレイの足は少し震えており、少し涙目を浮かべていた。その理由をアイリは尋ねてみると


「えっ、とね……その……私……実は……お化けが怖いの!!」

「あー……成程……確かにここら辺アンデットや幽霊の類が出るかもって言ったのを聞いて想像しちゃったのか……」

「……年相応の反応だね。で、ジンは何処を見てるんだい?」

「あれ?……ジン様?」

「……」


 ジンは【ブレイブ墳墓】ではなく後方のある一点を凝視していた。ヒュドール達もそこに何かがいるのかと疑問に思っているが……


(ゆ……幽霊が出るって……マジ……??)


――この男も幽霊の類が苦手であったのだ


 実はジンは前世から極度の幽霊嫌いで、夜中のトイレの際には廊下の明かりを全部つけなくては歩けなかったり、暗くなった夜道では怪談や心霊特集の事を思い出して常に全力ダッシュで帰宅するくらいには幽霊が嫌いだった。


 要するにこの男は、あからさまに幽霊が出ても可笑しくない【ブレイブ墳墓】に入ることをためらっていたのだった。現実逃避だった。


「……どうでもいいけど、早くいかないと第二王子が心配だ」

「そうだな……あー、大丈夫かい?グレイの嬢ちゃん?」

「ビクッ。う……うん……大丈夫……」

「大丈夫ですよグレイちゃん。ここには私たちが何よりジン様が着いてるではありませんか」

「う……うん、頑張る……」

(……行きたくねぇええええええ!!誰かぁああああああ!!)


 ジンの心の叫びが聞こえるはずもなく、一行は足を運び始めた。ヒュドールはちらりと目だけ動かしてジンの見ていた箇所を一瞥しながら、【ブレイブ墳墓】の結界内に入っていった。また、フラムはジンの《黒騎士の武具》で創られた大槌を肩に乗せながら同じく結界の中に入っていった


 暫くしてふとヒュドールが気になったことを投げかけた。


「……そういえば何でアンデットは大丈夫で幽霊はダメなんだい?」

「……アンデットは魔法を受けるから」

(……アンデットは物理的に殴れるから)

そういう問題(物理的な問題)!?……あれ?待てよ……?確かに幽霊に物理は効かねぇな……」

「……その為に聖水があることをお忘れかい?」

「そうか!それ使えば殴れるようになるんだったな!!」

「そうなの!?だったらいける……やっぱり怖いかも……」

「……頭が痛い……」


 まさかの物理的な解決が出来ないという半ば脳筋染みた理由とフラムの完全なる脳筋思考にヒュドールが頭を抱えながらも一行は【ブレイブ墳墓】の結界の中に突入していった



――その様子を見ていた邪悪な存在がいたことに気づくことは無かった



◆◆◆


 ジン達が【ブレイブ墳墓】に入ってからしばらくして突如おどろおどろしい魔力が集まり始めた。そして


ズルリ

「マサカ……私ヲ感知シテイタトハナ……流石ハ【黒色の武装】ダケハアルカ……」


 ジンがたまたま見ていた視線の先からまるで泥から這い上がるように地面から黒く淀んだ魔法陣と共に邪悪な存在……テラが出てきた。


 一行が【ブレイブ墳墓】に入る寸前にあの灰髪の少女を人質にしてジン達を己の持つスキルである《死霊傀儡術ネクロマンス・パペティア》で傀儡にし、あの結界を突破しようと行動に移そうとした瞬間、ジンの視線を感じ取ったのだ。


 あれは確実に自分を見ている。見られているとなればこちらから行動を起こすのは不味いと判断したテラは一行が見えなくなるまで傍観することにしたのだった。


「ヤレヤレ……仕方ナイ、次ノ策ヲ打ツトスルカ……」


 そう言って再び地面に消えていったテラ。ジンは図らずもテラの野望を阻止できたのだった。なお当の本人は【ブレイブ墳墓】の入り口前の墓場を通る際に内心超がつく程ビクビクしていたとか

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