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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第五章 白き祝福と青き深海→いよいよ【色付き】が揃いつつある
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*47 『白聖堂』と代理の法王

「お待たせ致しました……『白聖堂』にて法王代理様がお待ちです」

()()だって……?」

「……それも含めて『白聖堂』にてお話をするそうです……」

「おっけー。場所はどこ?」

「『白聖堂』は……あそこに見える巨大な時計がある建物が、『白聖堂』となっております」


 番兵が言っている方向に目を向けると確かに遠くからでも見えるほどに大きく荘厳な雰囲気に包まれた時計が見えた。

 また、その時計は『セイクリッド王国』のシンボルの1つであり、創られて以来正確に時刻を刻み続けているその時計は決して揺らぐことのない信念と自然の摂理を表しているとされている。


 そして一行は王国内の一角に馬車を止め、『白聖堂』まで歩くことにしたのである。


「大陸一の宗教国家なだけあってとても神聖な雰囲気がありますね……」

「でも、この住民は物静かなだけであってちゃんと話せば言葉を返してくれる親切な人が多いのも特徴だけどね」

「そうなんですか」


 辺りの建造物は白を基調とした建物ばかりではあるが、道端にごみが殆ど落ちていなかったり道行く人々の服装も白等を基調とした無地の服装であったりとどこか清潔感を感じさせるのだった。


 しかし道行く人々はジン達に……いや主にジンに対して驚愕の視線を向けていた。もっと正確に言えばその真っ黒な鎧に視線が行っていたのである。


「……なーんか、さっきからジンばかり見られてるような気がするな……」

(……何かデジャブを感じるな)


「まぁ……こんだけ白がある中で1人だけ黒、しかも全身真っ黒な騎士が着たらそりゃあ誰だって二度見をするさ」

(……解せぬ)

「……確かに周りにいる憲兵や、この国も騎士の方々が身に着けている装備は基本的に白や黄色ですもんね……」

(なんでや!)


 道行く人々からしたら自分たちの知っている騎士の色とは全くの真逆の色をした騎士が傍に少女を連れているという光景な為、思わず二度見をするのは至極当然といった所だろう。


 追い打ちをかけるかの如くフラムが現実を突きつけ、更にアイリの悪意の無い一撃がジンの心を抉ったのだった。


 しかし、そこで近くの憲兵に通報したり陰口を叩こうとしない辺りこの国の人々の内面が見えてくるようだったとジンは後に語った。(心の中で)


(……前々から思ってたが、強さと引き換えに不審者度(デバフ)がついた気がするんだが)


 ジンがそんなことを思いながらも一行は徐々に『白聖堂』に近づいていったのだった。



◆◆◆


「ようこそおいで下さいました。あなた達が【色付き】の継承者御一行様ですね?法王代理様がお待ちです」


 厳かな雰囲気に包まれた『白聖堂』の入り口前に着いたジン達を迎えたのは教皇を守る護衛兵であった。そして護衛兵の案内により『白聖堂』に入ったジン達だが彼らはその内装を見て驚愕したのだった。


『白聖堂』内にはステンドグラスのような装飾であったり天井には赤、青、黄、緑、白、そして黒の6つの色の球体らしきものが円を囲むようにして描かれており、その中心には恐ろしい形相をした化け物が描かれていた。


(あれは……一体……?)


 ジンがふと天井の絵を眺めているとそれにつられてグレイが、やがてアイリ、フラムそしてヒュドールが見上げていた。


「これは……何でしょう……?」

「あの6つの玉の色は……【色付き】の色で……その中心にいるのが……」

「魔王だよね……多分」

「ふーん……」


 それぞれの視点はあるものの天井に描かれている絵についての内容は、想像に難くなかった。【色付き】の6つの色の玉とその中心に描かれた存在が魔王であることから分かることは、この絵が嘗ての激戦を表していることが分かるのであった。


「……眺めるのも良いけど待たせるのも失礼だし早くいくよ」

「あっ……すみません。見取れてました……」

「俺もちょっと見入ってたな……わりぃ」

「そうだね!待たせるのは駄目だからね!」

(それもそうか……)



 それから暫く歩き、1つの大きな扉の前に立ったジン達だった。扉越しにも伝わってくるのはこの先に法王代理が既に待っていることであった。ジン達に緊張が走る中フラムがふと気になったことを呟いた


「しかし……何で代理なんだ?」

「……さぁね……もしかして女教皇の身に何かあったのかもね。いずれにせよこの先にいるのは、この国のトップだということ」

「それもそうだな」


「……準備はよろしいですかな?」


 扉の前に佇む護衛騎士がジン達に確認の意思を取り、一行はそれに対して了承の頷きをした。


「では……失礼のないように……これより法王代理様との謁見を行う!神の意志が在らんことを!」


 ギギギギ……

 重苦しい音と共に扉が開かれる。その先に待ち受けているであろう法王代理がどのような人物なのかと思いを巡らせていた一行だったが……


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!仕事が終わらないよぉ!!早く戻ってきてくださいよ!!法皇さ゛ま゛ぁああああああ!!!!」


 バタン

 フラムが一瞬にして扉を閉めた


 ジン達の間に微妙な空気が流れ始める。普段は冷静なヒュドールでさえも頭に?が浮かんでいた。グレイとアイリは何が何だか分からない様子でフラムはまるで宇宙をみた猫のような表情をしていた。ジンは思考停止していた。


「……何だ今の」

「……【色付き】の方々、現実逃避したくなる気持ちは分かります……しかしあの書類の海に溺れているのが現在我が国のトップの法王代理様でございます……」

「……ボクの目に狂いが無ければ、あれは法王代理というよりただ書類に追われて泣きじゃくっている女の人にしか見えなかったけど?」

「……あのお方こそが法王代理様でございます……」

「……開けるぞ」


 ギイィイイ……

「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!どぼじでごんなごとずるのぉお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」

「……見間違いであってほしかった……部屋の間違いであってほしかった……」

「うわぁ……(ドン引き)」

「……(絶句)」

「あの人……何で泣いてるの?」

(グレイちゃんにも……その内分かるよ……)


 フラムは目の前の現実が夢であってくれと思いながら顔を手で覆った。ヒュドールは、それこそ養豚所の豚を見るかのような目をしながら書類の多さと年甲斐もなく泣きじゃくる法王代理様らしき人物にドン引きしていた。

 アイリは、自分の思い描いていた法王のイメージとかけ離れていることに脳の処理が追い付かず、言葉を失った。グレイはなぜ法王代理が泣いているのか分からなかったが、その書類仕事(現代の地獄)について知っていたジンはグレイに今は知らなくても良いことを伝えた。


「……あぁ……帰りたい……」

(それには……俺も同意です……)


 帰りたいと漏らしたヒュドールに全力で同意するジンだった。法王代理が正気を取り戻すまで数分かかったという……

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