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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第一章 黒騎士の始まり→未だに死因に納得できない
4/100

*4 盗賊団の壊滅

閲覧ありがとうございます!

一人称を三人称に変更いたしました

「へっへっへっへ、食料もたんまりあるじゃねぇか」

「……」


 ジンの目の前には、明らかに盗賊の下っ端であろう人物が家を物色している。

 この村にたどり着いてから何やらこの村の様子が怪しいと思ってたらまさか村が盗賊に占領されていたとは、ジンは思いもしなかったのである。


(しかし……ここまで近くにいるのに気づかれないとは、《沈黙》が凄いのか、こいつが馬鹿なだけか)


 ジンは考えた。村が占領されている以上、こいつらをどうにかした方がいいのは間違いない、とりあえず拘束するか……?と


 だが下っ端が口にした一言でジンは思わず声を出してしまった

 、

「ゲヒッ、これを持ってったら女で楽しむとするかぁw」

「は?」


 ジンは思わず声が出てしまい、何もない空間から声が聞こえた下っ端が驚いて飛び上がる


「な、なんだお前!」

(やっべ……殺るしかない!)


 ジンは相手の体勢が整う前に、目の前の下っ端の首を掴み剣を構えた。下っ端は動揺したままでまともに回避できず首を掴まれジンに拘束された。


「う、うぎゃあ助けt「黙ってろ」!!?」


 拘束が甘かったのか、下っ端が大声を出そうとしたため、ジンは下っ端ののど元を切り裂いて黙らせたのだった。


(……やってしまった、いつか人を殺すことになるかもしれないと覚悟はしていたが、まさかここで殺すことになるとは……)


「おい!どうした!?」


 下っ端の一体が異変を察知してジンのいる家に入り込もうとしてきた。それを察知したジンは相手から見て死角になる、壁の向かい側に隠れた。


「これは、血!?おい!どうした!!なんかいたのか!?」

(ふん!!)


 ジンは相手が気づいていない間に背後から斬りかかったのだ。卑怯と言われるような戦い方だが、ジンからすれば村を襲って少女を穢そうとしている時点で有罪(ギルティ)であると割り切って剣を振るった。


「ガアッ!!?」


……結果として盗賊はジンに何があったかわからないまま死ぬことになった。ジンの甲冑に返り血がついた。


(俺がここまで機敏に動けるようになった要因はやはり《適応》が絡んでいるんだろう)


 実際にジンは《適応》によって甲冑と剣の重さに《適応》しておりそれによってジンは特に重さを感じることなく、甲冑を纏ったまま剣を軽々と扱えているのだった。更に《適応》により体の動きもそれに合わせられるようになっており、常にジンはあらゆる環境下においても最適な状態で動けるのだった。


 そんなことを考えているとジンは家を取り囲むような盗賊たちの気配を感じた。


(……どうやらまだ他にもいるようだ)


 ジンは剣を構え、盗賊の殲滅に向かった。


 ◆◆◆


 ジンは盗賊たちをあらかた殲滅した後、村の中央までやってきた。そこでは、村人たちが縄で縛れており、ジンは憤慨した。


(あいつら……!)


 更にジンは、そこで今にも乱暴されそうになっている金髪の美少女を目の当たりにした。


「お、おい!お前!!何ボーっとしてんだ!!早く人質を…」


 どうやら盗賊のリーダーがジンの存在に気付いたらしく、近くにいたであろう盗賊の仲間に声を掛けるが、既にジンはその下っ端の後ろに佇んでいたのだった。


(まずは俺の前にいるこいつを殺るか……)


 それからジンは目の前の下っ端の背後から剣を突き刺し、すぐに剣を抜き取りそのままの勢いで隣の下っ端の後ろを取る……そして背後から心臓を刺したのだった。ここまでの動作に一切の音は無かった。


(まだ1人いるか……見られてしまったか……?)


 そしてジンは盗賊団の頭領と相対することになった


 ◆◆◆


(……しばらく戦っているが、なかなか倒せそうにないなこいつ、なんかさっき瞬間移動したような?これが魔法かな?)


 ジンが盗賊団の頭領と戦っていると時折見せる謎の瞬間移動に疑問を持ったものの、ジンはそれが異世界特有の魔法であると片付けて、黒い剣を振りかぶった。


 そして体幹を崩した頭領にジンは一閃し、その左腕を切り落としたのだった。


「ぐぁあああああ!!?」


 頭領は悲鳴をあげ、ジンの甲冑に頭領の左腕から飛び出した鮮血が張り付いた。


(左腕を切り落としたが、まだ戦えるのかこいつ……)


 ジンは左腕を切り落としたことに内心びくびくしながらも目の前の頭領が未だナイフを握っていることに驚愕していた。


(降伏してくれるとありがたいが、は?何?少女ちゃんを人質にした……?)


 しかし、頭領が片手で少女を締め上げ、人質としてきたのだ。


「おいッ!!動くな!!こいつがどうなってもいいのか!?」

(……やっべ。と、取り敢えず恥を投げ捨てて土下座するか?)


 しかしこの時のジンは知る由も無かった、今の状況を客観的にみると返り血を浴びた黒い甲冑を着た騎士が剣を構えたまま近づいてきているというぱっと見ホラーな感じになっていることを……


(え、えっと何て言えばいいのだろうか……?)

「なんだよ…なんなんだよ!!お前は!?」

(え?)


 頭領は恐ろしいモノを見たかのような表情で少女を投げ捨て、逃げ出したのだった。それを見たジンはチャンスと言わんばかりに頭領を追いかけたのだった。


(……行くぞぉおおおお!!!)


 その後ジンは頭領を切り伏せた後、村人たちを解放したのだった


◆◆◆


「ありがとうございます!ありがとうございます!!」


 ジンは助けた村人たちから次々と感謝の言葉を聞かされる。しかし褒め慣れていないジンはこの状況に歯痒い思いで佇んでいたのだった。


(凄くきらきらとした目で見てくるけど、やめて!俺はただの小心者なんですよ!?)


 ジンは顔全体を覆う兜があって良かったと思いつつ、血をふき取ったりして村を出る準備をしていた。自分はなんて臆病なんだろうとジンが考えていたら一人の少女が寄ってきてジンにこう言った。


「私を……私を旅のお供にしてくださいッ!!」

(な、なんだって?旅のお供……えっつまり同伴!?実質彼女も同義では!?やったぜ!!!)


 ジンは興奮して思考が危うくなるが、前世が訳アリの彼にとってこんなきれいな美少女が自分を慕ってくれている事実にジンは歓喜と驚愕の感情を抱いていたのだった。


「すみませぬ…騎士様、迷惑でしたでしょうか……?」


 村長と呼ばれていた人がジンに聞いてくるが、この時のジンはあの美少女……アイリのことで頭が一杯だったのだ。


(まじか!やっぱ異世界に転生して正解だったぜ!!あっでも、ちゃんとしゃべれるようになれるかな……?やば、急に怖くなってきた……ホントに俺で良いのかな……?)


 ジンが、若干の自己嫌悪に陥っていると


「騎士様!これからよろしくお願いします!!」

(あっ、あっ、あっいい匂い、いやマジで可愛いな!!あぁ頼む神様!!俺に!俺に特典《コミュ力増加》をなにとぞ!!)


 アイリの表情は凄いキラキラとしていてジンには眩しく感じたのだった。前世でも殆どいなかった、裏が無いその可憐な様子が更にジンを震わせ、思考が暴走するのだった。


(やべぇえええええ!!!めっちゃ可愛い子が俺を慕ってくるんですけどぉおおおおお!?)


……これがジンの『沈黙の騎士』としての始まりだったのだ

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