*30 迷いの遺跡
閲覧ありがとうございます!
これからジン達はあのチート過ぎる魔王に対抗するための力を手に入れていく事になります
「落ち着きましたか……?ジン様」
「……ありがとう……アイリ……落ち着いたよ」
俺はこれまでの人生で初めて、心から泣いたかもしれない。
そう思うくらいにはアイリちゃんに抱かれながら泣きまくった。……でも、何だかスッキリした
「……あ……もう……いいよ……?」
俺はアイリちゃんにもう大丈夫だからという旨を伝えるが
……更に抱きしめる強さが増した
(なんで!?)
「ジン様……その……もう少しだけ抱きしめさせてもらえないでしょうか……!」
アイリちゃんの表情は見えないけど、到底人に見せられない表情になっていると思う。
……なんで?(純粋な疑問)
まさか母性が目覚めたとか言わないよね……?
「そ……その、今のアイリは、もっとジン様を抱きしめたいのです……これが、母性でしょうか……?」
(なんてこったい)
――母性に目覚めてしまったか……
それにしても、いい年した男性が自分よりも一回り小さい女の子に抱かれている……この絵面だけで通報されても可笑しくないな……
そんなことを考えていると朝日が見えてきた
「……あ……あの……流石に……そろそろ……」
「はっ!……すみません!つい夢中になってしまいました」
(末恐ろしい子!)
危うく母性に(精神的に)殺されかけたところで、俺とアイリちゃんは朝御飯の支度をすることにした。
(……やばかった)
(初めてだ……女の子にここまでドキドキするのは……)
抱きしめられている際に感じた心地よい暖かさと匂いに夢中になりかけていた事実に俺は少し驚いた
……これがバブみか
◆◆◆
あれから暫く経ち、いよいよ明日【赤色の業火】探索を控えていたジン達は、明日に備えて危険な任務ではなく、比較的軽い依頼を受けることにした。
明日に重要な任務が控えている以上ここで大けがでもしたら明日に響くと考えての事だった。
今日までジン達が受けてきた依頼は、護衛任務や魔物討伐等を中心としていた為、今回はこれまでの依頼とは異なるものを受けたのである
それは【遺跡調査】という依頼であった
「ここが依頼の遺跡……」
「何だか……静かだね……」
(厳かだな……)
依頼の内容はこうだ『この遺跡に魔物が夜な夜な入り込んでおり、何やら嫌な予感がするので魔物の討伐と遺跡内部の調査を依頼したい』というものであった。
遺跡自体はまるで途方もない時間が流れていてあちこちに植物が侵食しているといった印象を受ける。
しかしそれに不釣り合いなように確かに複数の魔物の痕跡がそこかしこに見受けられた
「魔物達は一体何をしているのでしょうか?」
「……痕跡からして、何かを探している……?」
(確かに……明らかに何かを探しているっていう感じだ……)
グレイの『鑑定』で魔物達の足取りを知ることが出来たが、いずれもこの遺跡周辺で何かを探しているようだった。
中には魔物が徘徊したであろう痕跡や何かを掘り当てようとした痕跡がそこかしこに見受けられるのもここで魔物が何かを探していることの決定的な証拠となった。
「うーん……もう少し、散策してみましょうか?」
「私もそれに賛成かな……」
(俺も……そうだな)
一通り遺跡を散策したジン達はもう一度この入り組んだ遺跡を散策してみることにした。
暫く進むと一行の前に二つの分かれ道が出現した。
「……あれ?」
「どうしたのですか?グレイちゃん?」
「ここ、通ったことあったっけ?」
(あれ……?言われてみれば……確かに……?)
「そもそも……分かれ道ってありましたっけ!?」
ふとグレイが違和感に気づき、辺りを見渡してみると一回目に通った道とは明らかに違う道に迷い込んでいることに気づいた。
ジンもふと後ろを見てみると……
「……なっ?!」
「……?ジン様どうし……え!?」
「あれ?どうしたの二人とも……ッ?!道が塞がれている!?」
先程まで自分たちが通ってきた所がまるで最初から壁があったかのように塞がれていたのだ。
グレイが急いで《鑑定》を行うも、特に魔物が関与している痕跡は無かった
「ジン!さっきまであった筈のわかれ道が……一つしかないよ!!」
「!!分かれ道があった筈なのに!?」
(どういうことだ……?!グレイちゃんの《鑑定》でも何も探知されないなんて!?)
一行は次々に起こる不可思議な現象に戸惑いを見せるが、進める場所も他にないと判断して一先ず考えることにした
「……出口がない以上、あの一本道を辿るしか……ないのでしょうか?」
「うーん……さっきから全然悪意は感じられないし……行くしかないのかな……」
(不気味だな……)
ジン達は一先ず残された道を進むことにした。
だが、しばらく歩いている内にその一本道の異常性にすぐに気づかされた。
「お……おかしい!こんなに遺跡は広くなかった筈……!!」
「……これだけ歩いたら、遺跡の近くの村に着くはずですが……!?」
(どうなってるんだ!?後ろを見ても……確実に俺たちは進んでいるけど……!?)
ジン達は明らかに遺跡の大きさに不釣り合いな程の長さの一本道に驚愕していた。ジンが後ろを振り向いても、確かに自分たちはあの場所から進んでいることが分かるのだが、それでもまだ先があるこの一本道に驚きを隠せないでいた
「でも……行くしかないのですね……?」
「うん……相変わらず『鑑定』でも……何も見えない……」
(……進むか)
そして歩き始めてから暫く経ち変わらぬ景色であった一本道の先に何かが見え始めた
「あれは……魔法陣……でしょうか?」
「……あれから《転移》の魔力を感じるよ」
(《転移》……ヘファイトスのことを思い出すな……)
小さな空間の中にあったのは、青白色に光る魔法陣だった。
その様子を見てジンはあのヘファイトスのことを思い出していた。
(と……すれば……この先に待っているのは……)
「ど……どうしましょう……?」
「……悪意は感じないから大丈夫だと思うんだけど……」
「……行くか」
ジンの声に合わせて二人も魔法陣に入った。その瞬間彼らを光が包み込んだ。
《転移》の魔法が発動したのだ。
「うわっ!?」「これは……!」(当たり……か)
光が収まると、彼らの姿は消えていた。そして彼らがいた場所がまるで霧のように消えていった




