表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第一章 黒騎士の始まり→未だに死因に納得できない
3/100

*3 スキル確認と食糧確保

閲覧ありがとうございます!


今回で黒騎士くん、もといジンくんの転生前の話は終わりです。

それに伴い1人称から3人称に変化致します

「えーっと、《沈黙》って……どう発動すればいいんだ?」

そもそも《沈黙》ってなんだ?隠密系の特典なのか?そんなことを考えながら、廃墟から抜け出した


「うおっ!」

思わず手で兜越しでも手で覆い隠す。暗い所に長時間いたせいか、空から照らしてくる太陽が眩しい!

《適応》が発動しているのか、眩しいと思った瞬間から目が慣れてきた、前世にいたころはもっと時間がかかったのにな


「さて、どうするかな……」

見た感じ、森の中に佇んでいる廃墟といった感じだった。周囲の状況を見てふと気づく


「ここ、どうやって作られているんだ?」

周りを見渡しても木でどこもかしこも覆われており、唯一覆われていないのは太陽が照らす空間だけだった


「とにかく……人里に行って肉調理したいな」

さっきから腹が減っているため一刻も早く飯にありつきたいという考えで頭が一杯になる


「でも《沈黙》の発動条件がわからないな……《適応》みたいに常時発動型か……?」

この他にも様々な考えを巡らせながら、廃墟付近を歩き始める

そしてふと考える


「そういえば……あのモンスター、どこから来たんだ?」

そうしてふと俺は足元に視線が向いた。そこには地面に続く赤い点が見える


「あそこか……」

血はぱっと見多くの木々で隠されている場所から続いていたのだ

あの部分だけ明らかに不自然な形で血が途切れていた。どうもあの場所からあのモンスターは、来たようだった。


そして目の前の景色をよく観察してみるとなにやら違和感を感じた。

どうやらこの風景は、魔法のようなもので作られた偽の木々のように感じられた。


「忘れ物は……ないな!よし!!……いくか!」

廃墟にもう一度戻り、何か取り忘れたものはないか確認した。俺は生粋のゲーマーで、アイテムの取り逃しはしない主義が活きたのかもしれない。

そう思いながら、俺は廃墟を後にした


◆◆◆


「で、ここか」

俺は血が不自然に途切れている所まで来た

……ほんとにこの先に行けるのか、疑問が尽きないが……

まぁ、何とかなるはずだ そう考えながら俺はゆっくりと手を伸ばした


「うおッ!手が!!」

右手を伸ばしたら、水の中に手を入れたような感覚と共に向こう側に行けたと確信する

それから俺はゆっくりとそれに体を沈めていく

そして視界に映ったのは、辺りが岩でできていて、奥に光が見える……どうやら洞窟の中のようだ


「あの場所からここに繋がっていたのか……?あれ、俺が出てきた所がこっちでは岩の壁のようになってたんだな、あっちでは木々が生い茂っているような感じだったのに」

俺はこれまで見たことない異世界特有のものに興奮を覚えつつも光の先に向かって行った。


外に出た時、どこか田舎のような澄み渡った空気と甲冑の隙間からでもわかる心地よい風に心躍らせながら俺はふと立ち止まり周囲を確認……人がいないことを確認してから思わず叫んだ


勢いよく空気を吸ってから

「異世界きたぁああああああああああああああ!」

さらに続けて

「今度こそ彼女作るぞぉおおおおおおおおお!!!」


……到底向こうにいた時は叫べるような内容ではなかったが、それでも叫び終わった時には、どこかスッキリした

「今なら大声を出せばストレスがなくなる!って言ってた人の気持ちが分かるなぁ~。叫ぶことがこんなに気持ちいいとは……」

「まだ《沈黙》についてわからないが、これから検証していけばいいか!」


それからしばらく歩いて


「おっ、あれは村かな?異世界といったらまずは村だよな!そうと決まったら行くか!!」

張り切りながら街に向かうが足が止まる


「……そういや俺人と話すのが苦手だったわ、どうしよう……」

そう、俺は前世でも屈指のコミュ障だったのだ、人前に出るともうまるでダメで周りからは、


『何とか言えよ!お前!!』とか

『黙ってないで自分の口から言いなさいよ!!』とか

『頼むからもっとしゃべってくれ(泣』と言われていた記憶があるのだ……


いや、違くはないんですよ、親しい家族や同類とみなした人物に対してだけは話せるんですよ

決して周りを含んだ全ての人物に話せないという訳ではないんですよ

まぁ、自分でも話すのが苦手なことはわかっていたから、いつも行動で示していたからか、悪い評価ではなかったのが救いだったな……


前世の思い出は置いといて、マジでどうしよう……せっかく異世界に来たのに『話しかける』さえも出来ないなんて、お笑いものっていうかそこら辺の会話が出来るNPCよりもダメじゃね?俺


「……とりあえず肉焼くか」

ちょうどここに肉をぶっ刺せる剣があることだし、近くの枝を使って火を起こして肉を焼くことにした。

この剣の持ち主に殴られても何も言えんぞ、俺

幸いにも火を起こせる方法は前世で学んだからその技術を活用するとするか……



◆◆◆


「ま、まさかここまで手古摺るとは……」

俺の後ろには枝やらを探す際に襲い掛かってきたウサギのモンスターやイノシシのモンスター、クマのモンスター等々の死体が積みあがっていた


「しかもこいつらやたら強かったしな……」

ウサギのモンスターは、えげつないほどの威力を誇る跳び蹴りをしてきたから驚いたものだ

イノシシに至ってはかなりの速度で突撃してくるのはまだしも数の暴力で圧倒してきた時ばかりは死んだかと思った。


クマは……ウサギやイノシシを蹴散らしながらこちらを襲い掛かってきた。

……前世の世界にこのクマが一体でもいたらやばかったな……



そして付近を探索していた際に俺の最後の特典である《沈黙》の効果が判明したのは大きい収穫だ。


《沈黙》は常時発動型の特典で『俺の装備や体の動きに合わせて音が出ない』つまり『無音』になるということだと思われる。


というのも耳が良かったであろうウサギが、俺の接近を易々と許したまま俺に狩られるということが何度もあったのである。


更に付け加えるなら、俺から相手の視界に入った場合を除いて、俺を探知できた奴は居なかったのだ……恐らく最初に遭遇したオオカミは、俺そのものを探知していたわけじゃなく俺が立てた物音……つまりドアを閉めた際の音に反応したのだろう…


「一先ず、こいつらを《収納》するか」

そう思いながら、俺は後ろの死体を残らず《収納》した。

どうやら《収納》したものは時間の経過を受けず、常に新鮮な状態になるようだ


「これで食い扶持には困らないか……」

俺は骨を加工して作った棒に肉を刺して焼いた。流石に剣を使うのは申し訳が立たず、やっとの思いで苦戦しながらも何とか作ったのである


「これを食い終わったらあの村に行くか……」

せめてカタコトでもしゃべれたら良いなぐらいの気持ちだった




――俺がこの先ずっと付き添うことになる美少女と会うまであと少しの出来事だった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ