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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第三章 魔王の脅威と伝説の邂逅→色々ありすぎだろ……
29/100

*29 トラウマスイッチ

閲覧ありがとうございます!


投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした!!


それではどうぞ

「はぁ~♡ジン♡やっぱり君は凄いや!私よりも()()()()()とはいえ四天王を倒せるレベルまで到達した何て♡」


 魔王城にて四天王イーツの討伐の報告を聞いた魔王(グレイ)は、ジンの成長振りに感激していた。

 そしてやがて一頻り光悦の表情をしながら悶えた後、突然表情が無になった。


「でもね……まさか私も想像してなかったよ」

「ジンがあの数百年前の忌まわしき【黒色の武装】の息子だったなんてね……!」


 魔王(グレイ)の周囲に強大な魔力が集中する。それはまるで癇癪のようであった


「あぁ!忌まわしい!!私に唯一傷をつけたお前が!!私の愛するジンの肉親なぞ、腹立たしい腹立たしい!!!!」


 付近の物は全てはじけ飛び、窓のガラスも全て崩れた。凄まじい力で掴んだ玉座は既にボロボロになっていた


「ふぅ……まぁ、いいわ。あの男とジンの母親は死んだ。もう奴らが干渉することは出来ない」

「はぁ……全く持って、忌々しい……」


 そう言いながらも魔王(グレイ)は指を鳴らすと、何事も無かったかのように周囲が元に戻った


「ま、それとこれとは話が別なんだけどね!」

「さて……?ジンは私と同じレベルまでこれるかな?」

「じゃないと……何も出来ずに私に殺されちゃうよ?」


 ――魔王(グレイ)の手に握られた禍々しいオーラを放つステータスプレートには……

 ============= [ステータス] ================

 グレイ

 レベル 10000

 生命力 100000

 筋力 10000

 技量 10000

 魔力 ∞

 敏捷 10000

 精神力 10000

 頑強 10000


 [スキル]

《魔王権限》《無限魔力》《魔法創造》《魔物創造》《眷属化》……

 =====================================


 現在最高戦力であるジンですら歯が立たないと言わしめるほどのステータスの暴力があった。

 そのレベルは既に変動することは無く、生まれついてのものであった……最も、そのステータスは今後成長することはないのだが。


「楽しみだな……♡ジンが私と同じになれるのが……♡」


 ◆◆◆


(な……なんだ?!身に覚えのある寒気が……?!)


 先程アイリとグレイの尊い場面を見ながら決意を固めていたジンは、得体の知れない寒気に襲われ夜中に目を覚ました。


(……まだ夜じゃん)


 だが一度目が覚めると中々寝付けないジンは夜風に当たることにした。ジンの足は屋敷のバルコニーに向かっていた。


(あ^~いい風だわ……)


 僅かに生暖かい風がジンは好きだった。体を刺すような冷たい風や体を焦がしにくる熱風はあまり好きではなかった。

 そんなことを考えているとジンの横に誰かが寄ってきた。アイリだ


「ジン様良い夜風ですね……」

(そうだねぇ……)

「ジン様。私の話をしても……よろしいでしょうか?」


 ジンがこくりと頷くとアイリはゆっくりと話し始めた


「――私はジン様のご存知の通り、あの村で育った田舎娘でございます」

「幼き日より私はあの村を出て冒険をすることをなにより心待ちにしておりました」


 ……アイリはこれまでの日々を思い出すかのように語り続ける。その声には懐かしさとどことなく哀愁が漂っていた。

 それからアイリは意を決したかのように話し始めた


「……私は貴方様の足手まといになっていないでしょうか……?」

「……どうか……失礼を承知ですが……お声を聴かせてはもらえないでしょうか……?」


(……アイリちゃん…………)


 未だジンはアイリやグレイでさえまともに言葉を話すことが出来ずにいた。

 それは前世からのトラウマか或いは言葉を上手く紡げない自分に対する嫌悪感によるものか、既にジン自身でも判らなくなっていた。


 だからこそジンは悟る。アイリやグレイは、己が信頼するに値すると……自分のありのままを受け入れてくれるかもしれないと


 ジンは兜を取り、アイリを見つめて自分の考えを語った。


「……足手纏いじゃない」


「ジン様……!」

「……俺は……アイリや……グレイに……そしてみんなに……助けられている」

「……アイリ……俺は……お前に……感謝している……ありがとう」


 その言葉はたどたどしかった。だがアイリはその言葉がジンの心からの本心であることを感じ、静かに涙を流した。


 ジンが、アイリの涙を手で拭い言葉を続けた


「……まだ……俺は……未熟だけど……それでも……俺に……着いてきてくれるか……?」


「えぇ!!勿論です!!私も、グレイちゃんも!貴方様についていきますとも!!」

「……ありがとう……俺に……優しくしてくれて……」


 ふとアイリがジンの異変に気付く


「ジン様……?涙が……!?」

「……えっ……?なんで……俺……」


 ジンは自らの顔に手を当てるとそこには己の涙が着いていた。どうやら自分自身でも知らぬ間に涙を流していたようだ。その涙は止まらなかった


 涙が止まらず困惑しているその様子はまるで、知らない場所に一人取り残された子供のそれだった。ジンが狼狽えているとアイリは静かに微笑みながらジンを抱きしめた


「……アイリ……?」

「……ジン様。私は貴方様の出自について知りません……」

「ですがそれは、とても苦しく、辛く、悲しい出自であること……それだけは分かります……」


 それからアイリは、ゆっくりと迷い子に手を指し伸ばすように優しく告げる


「私は、貴方を受け入れます」

「あ……あぁ……」

「とても苦しそうで……悲しそうで……これまで……よく頑張ってきました」

「あ……あぁあああ……」

「……ジン様あなたは一人ではありません。私達が居ます」


 だからとアイリは続ける。ジンの表情が更に歪む。気づけばジンの目から涙がとめどなく流れていた。


 まるでこれまで流せなかった分の涙が流れていくようだった


「だから……どうか私たちを信じてください」

「う……うぅっ……グスッ……」


 ――ジンは限界を迎えていた

 前世での己の境遇も去ることながら、異世界に訪れてから当たり前のように行われる命のやり取りにジンの精神は自分でも気づかなかったが、相当のガタが来ていた。


 幾ら自身に最強の力を与える鎧に身を包んだところで、既に刻まれた傷を癒すことは出来ないのだから


 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!


 ジンは初めて……心から泣いたのだった。ジンの慟哭に似たその泣き声は、とても悲痛に満ち溢れていた

 前世では誰にも見せられなかった己の弱さを漸く打ち明けられたのだ。アイリは静かに抱きしめながらジンの頭を撫でていた。


 いつもジンがしてくれたように……優しく、慈しむ様に……

明かされていくジンの黒い内面……ジンは周りの大人に迷惑を掛けないようにと涙を流すのを、弱音を吐くのを辞めていました。


そしていつしかそれは心に大きな罅を入れていたのでした

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