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沈黙の黒騎士→ただ話すのが苦手なだけ  作者: @novel
第一章 黒騎士の始まり→未だに死因に納得できない
2/100

*2 異世界転生

閲覧ありがとうございます!


今回は黒騎士くんの転生前の話です

話は遡り……この黒騎士がこの世界に来るまでの出来事……



「という訳でお前は死んだ、理解おけ?」

「?????(おけくないんだが?)」


目の前の光景に言葉が思い浮かばない……さっきまで自分は何をしてたんだったか……?目の前のいかにも神様みたいなお爺さんが死んだと言ってるが、まだ理解が追い付かないといった感じだった……


「え?理解できてない?お前さんは運が悪すぎたのか、隕石に衝突して死んだんじゃよ」

「え?俺そんな予測不可能回避不可能なもので死んだの?」

「そうなんじゃよ、で、えー、確認するがお主の名前は橘 仁……読み方は、たちばな じんであっているかの?」

「あっ、はい」


そういうと神様らしき老人が一枚の紙切れに目を通した。察するにあれに俺の情報が書いてあるんだろう。ネット小説で見たから俺には分かる


「お主のデータを見る限り…………割と善人じゃな、コミュ障な部分はあるけど」

「えっ?なんで死んですぐにコミュ障だって言われなきゃならんの?て、いうかなんで俺こんなにすらすら口に出して話せるんだ?」

「そりゃ、儂神だから、ここにいる間お主がまともにしゃべれるようにすることなぞ、朝飯前よ」


こんなあっさりと自分が神だって認めるもんなのか…………でもこれはこれで良いけども…………


「深くは考えないようにします…………ていうか、もしかして……?」

「うん、そのもしかしてじゃな」

「お主には転生してもらう」


…………マジで?マジでマジでマジで???


「まじすかぁああああ!!やったぁああああああ!!!!」

「すごいよなーお主、心の中そんなに騒がしくしてて顔に殆ど出さないもんな~」


さらっと俺の前世について触れた神様だが、そんなことは関係ねぇ!!オタクたちが夢見る転生が出来ると聞いて俺はもう…………この嬉しさを言葉に表すことが出来ない!!


「転生ということは……特典にも期待して良いんですよね!?神様ぁ!」

「欲望に満ち溢れているのう、だが嫌いではないぞその強欲さ…………まぁいいわい、転生特典の件じゃが…………」


そう言って何やら神様が指を鳴らすと、地面から円形状の何かが飛び出してきた。…………その形状はまるで…………


「家ではルーレット方式なんじゃ」

「へ……?」

「だからルーレット方式なんじゃ」

「なんでだよぉ!!!!」


まさか自分で転生特典を選べないとは…………そう考え、神様に疑問をぶつけようとした矢先


「そりゃ、下手に強い特典あげて世界を滅亡させました~ってなったら儂クビになるし」

「正論…………かと思ったら保身じゃねぇか!!!」


前半部分だけ聞くと確かに…………と納得したが、後半部分で本音を漏らした神様に対して俺は思わず声を荒げてしまう。

…………いつ振りだろう、こんだけでかい声で人に話しかけたのは…………


そして神様が何やら大きく角張った物体を持ってきて俺に手渡してきた。…………何これ?


「じゃあこのスイッチ持って」

「うおっ!いきなり…………ってなんかでかくね!?俺の手よりもかなりでかいんだけど!?」

「気にするな、ただの設計ミスじゃ」

「なんで!?そこは頑張って修正しろよ!?つーか台の大きさに見合わないボタンの小ささなんですけど!?こっちは俺の人差し指でギリギリ押せるぐらいの小ささなの絶対直したほうがいいって!!」


そのスイッチと呼んでいいのか分からない物体は、俺の片手でギリギリ持てるくらいの大きさなのにも関わらず、肝心のボタンの部分がまるで目覚まし時計のリセットボタン並に小さくて非常に押しずらいというアンバランスの化身であったのだ。


「まぁつべこべ言わずさっさと押さんかい」

「あぁ、分かったよ…………ちょっと待って!?良く見たらルーレット円じゃなくて四角なの珍しいなおい!こういうの円形でやるモンじゃないの!?」


よくよく観察してみたら丸く見えていたのは只の飾りで、肝心の本体はまさかの四角いというもう突っ込みきれない状況に俺は死んだはずなのに疲れを感じていた。


「ほらほら、さっさと押さないと特典が『1度口内炎になると3週間必ず続く』になるからの」

「なにその地味に嫌な呪いは!?あぁ、分かったよ、おらぁ!!」


ルルルルルルルルル…………ピッ!…………ピッ!…………ピッ!テッテレー!!


ボタンを押すとルーレット特有の電子音と共に数ある特典の項目に光が点滅し始める。そして暫くしてとある3つの項目に光が灯り、若干チープな効果音と共に特典が選ばれたのだった。


「《沈黙》に《適応》《収納》か…………ま、そうなったか…………」

「《沈黙》に《適応》《収納》だって?説明求む」


なんだその特典は…………と考え、神様に説明を求めようとしたが、おもむろに神様が懐からテレビリモコンのような黒いボタンを取り出した。


「それはあっちに行ったら分かる……まぁつべこべ言わず……行って来いやぁ!!」ポチッ


そう言って神が手元にあったボタンを押したかと思うと突然俺の床に穴が空いた…………


「ファアアアアアアアアアア!?」

「……頑張れよ……■■■の息子よ」


え?今なんて?!


◆◆◆

これが俺の新たなスタートだった……


気が付くと俺は、薄暗い建物の中にいた


「さて……ここは……?」


俺は辺りに人がいないことを感じ、声を出した……俺は周りに他人がいたりすると思ったよりも口が回らなくなるから、神の所は割と気に入っていたんだがな……


「……ここは廃墟か……?辺りの壁に植物が張っている所や全体の朽ちかけ具合から察するに……だいぶ古い建物だな……」


俺は周りを観察し、状況を把握する……これに関しては前世から得意としていたことだ

そしてふと建物の暗闇にある物に気づいた……


「これは……うわっ!!甲冑……?も、もしかして……死体!?」


思わず後ずさるが、徐々に近づいていく……どうやら白骨化しているようだ


「それにしても……かっこいいな……建物の影にあるからあまりわからないけど……黒い、騎士?それによく見たら剣もある……かっこいいな……」


前世オタクだった俺から見ても……とてもかっこいいと感じざるを得ない装備だった……特にこの全体を黒で統一していながらも、ところどころに金色のディティールが施されている所がこの甲冑のカッコよさに貢献しているだろう……


俺はその甲冑に心惹かれて、暫く眺めていた。……そして次第にこの甲冑が欲しいと感じるようになってきた。


「……いやでも流石に死体から甲冑をはぎ取るわけにはいかんよな」

そう言って俺は立ち上がろうとすると……何か聞こえてきた……


「グルルルル……」


「!?なんか来る!!」バタン!!

俺は咄嗟に近くの扉を閉めて、木の板を立てかけて扉を塞いだ……そしてすぐに


バンバンバン!!


「ガルルルルル!!!!」


(やばいやばいやばい!!転生して速攻で死ぬとか、勘弁だわ!!)

今は扉を封鎖しているが突破されるのは時間の問題だろう……このまま何もせずに終わるのか……

(……そんなのはごめんだ!!)


ふと俺は近くの黒い騎士の装備を見る……防具もつけてない状況で頼りになるのは……あれしかない……!俺は急いで甲冑に手を掛けた……




バリン!!


「グォオオオオオオ!!」


どうやらドアが破られたようだ……そしてゆっくりと入ってくるのは、全身が黒い毛で覆われた狼のようなモンスターだった……しかしその時には既に俺は甲冑を身に着けていた


「絶対に生き伸びてやる……!!」

俺はどこかぎこちない動きで狼のようなモンスターと対峙する……いやほんとにこの甲冑というか装備一式重いのなんの……剣を構えているだけで腕が攣りそうなんだが……?


「グルゥアアア!!!!」

「!」

モンスターが飛び掛かってきた……俺は咄嗟に剣を横にして防御する……手がプルプルしてきた


「こ……この!」

俺は必死に振り払おうとしたが……だいぶ如何せん相手側の力が強くてなかなか振り払えない……

こうした状態がしばらく続いた……


(くそっ!!このままじゃあジリ貧だ!!なにか行動を起こさなければ!!!)

相も変わらず俺は対峙していたが……次第に気づく


「……な、なんか甲冑が軽くなったような……?剣も持つのが楽に……?」


その時俺はふと思い出した……あの時神からもらった特典のことを……


(たしか……《沈黙》に《適応》、《収納》だったか……?この状況を鑑みるに……《適応》が今発動しているのか……?)


俺の推測だが、この《適応》によって俺は今、装備の重さに《適応》しているのか……?だとすれば今の状況に当てはまっている……!


(要するに……こいつはチュートリアルモンスターか……!神もなかなか粋な計らいをしてくれるッ!)

そうと決まれば、話は早い……後はこいつを倒すだけだ……


「うりゃぁああああああああ!!!」

俺はすっかりちょうどよい重さになった剣を振り回して襲い掛かってきたモンスターに切りかかった

バシュッ!ブシャアアアア!!!


「グルゥオオオオオオオオオオ!!」

俺の振りかぶった剣は襲い掛かってきたモンスターを勢いのまま半分に切り裂いた……血が付着して少し気分が悪くなった……


「はぁ、はぁ、はぁ、何とかなった……」

俺は初めての戦闘で心も体も疲れ果てていた……そして

グゥ~

「…………お腹すいたな」

腹の音がなり空腹であることを悟る……何か食料はないものかとあたりを見渡していたところ……


「……このモンスター食えるかな……?」

俺は先程のモンスターの死体を見て思った……それと同時にふと考える


(先の戦闘では、《適応》が発動してくれていた……そして今もおそらく発動している所を見るに《適応》は常時発動型の特典と考えてもいいだろう……じゃあ他のを試してみるか……)


そうしてまず俺は《収納》を試してみることにした……対象はこのモンスターの死体だ……


「えーと、どうすればいいんだ……?とりあえず《収納》!」

シーン……

「あ、あれ?じゃあ触りながらかな……?《収納》!」

シュバッ!

「うおっ!消えた!」

《収納》と唱えた途端触れていた死体が消えた……


「そしたら……出すときは……えーっと……《収納》の反対だから……《展開》……?」

バッ!

「おっ!出た!」

その後さらに検証したところ……以下の事が分かった……


(まず《収納》の発動条件は、触れることが条件だ…………次に《収納》したものを出すには《展開》)


(そして2つ以上の物を《展開》する時は中身を全部出すのと出したいものを頭に浮かべることで出せるようになる、の2つがあることがわかったぞ……}

特典の便利さと奥深さを目の当たりにして俺は思わず笑顔で溢れる


「いいね、いいね!面白いね!!こういうのだよ!!こういうの!!異世界ってやつはさぁ!」

俺はワクワクしながら《沈黙》の検証を行うことにした

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