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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】1章 だれもとなりに立てはしない。

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96話 悪くない。

 高く上る太陽が照らすガルデラ山の奥地。


 あたりを地獄絵図と化していた黒い炎が【死霊将軍(デスジェネラル)】の消滅によって、死霊系(アンデッド)魔物の残骸とともにかき消える。


「……終わった、な」


 残心――槍斧(ハルバード)を振り終えた態勢のままで止まっていたニーベリージュがようやく安堵したかのように、そうつぶやいた。


 ふっ、と全身を覆っていた青い炎が消える。腰につけた指輪の亜空間収納へ槍斧(ハルバード)を納め、ガシャリと独特の金属音を立ててニーベリージュが振り向いた。


「ふ。どうやらみな、大きな怪我はなさそうだな。安心した」


「あ……」


 ――知らず、息がこぼれた。


 目に映るのは、耳もとまでの紫の髪。眉間に垂らされた髪と、左右色違いの切れ長な紫と赤の瞳。


 そして、雪のように真っ白な肌をほんのりと赤く色づかせた女性がまだ少し幼さを残したような表情で、微笑む。


「う、うん。僕たちは大丈夫。ありがとう、ニーベリージュ。助か――」


「うわぁぁん! 怖かったぁ! 黒い炎にいっぱい囲まれたときは、生きた心地がしなかったよ! 【クロちゃん】に新しい魔法を刻むのには時間がかっちゃうし、どうしようかと思っちゃったぁ! ありがとう、ニーベさん! すっごくかっこよかったよ!」


「うん。ニーベは、すごい。かっこいい」


 思わず見惚れてしまい、しどろもどろになった僕をよそに、ディシーとロココがニーベリージュに駆けより、じゃれつく。


「っ……! べ、別に大したことは、していない……!」


 真っ白な肌をそこだけはっきりとわかるくらいに頬を赤くさせたニーベリージュがそっぽを向いた。


 あ、もしかして褒められ慣れてないのかな?


 ……あれ? ていうか、ひょっとして?


「ねえ。ディシー、ロココ。ふたりとも、ニーベリージュの前に立って平気なの?」


 追いついた僕がうしろから声をかけると、3人はそろって顔を見あわせた。


「あれ? そういえばなんか、平気?」


「うん。平気」


「え……!? まさか、そんなことが……! いや、これはもしや……!?」


 すっ、と僕自身もニーベリージュの前に立ってたしかめてから、口を開く。


「どうやら、ニーベリージュから感じる【威圧】がすごく薄れてるみたいだね。いや、正確にはむしろ強くなってるみたいなんだけど、それをむやみやたらに垂れ流してないっていうのかな?」


 暗殺者として鍛えた僕の目から見た分析に、ニーベリージュがこっくりとうなずいた。


「ああ。たぶんノエルのいうとおりだ。前よりも【威圧】、つまりは【霊力場(フィールド)】を制御できている。まさかこうなるとは思わなかったが……これも私の心から、迷いが消えたからかもしれないな」


 たぶんそういうことなんだろう。もちろん戦闘中ならこうはいかないだろうけど。


 とてもじゃないけど、あの青い霊火をまとったニーべリージュの前やとなりに立てる気なんて、僕はしないし。


「しかし、これは助かったな。【霊力場(フィールド)】をおさえる【霊死の黒鎧(アニメート・コプス)】を失ったからには、これからは私ひとり街に入れず野宿することも覚悟していたのだが」


「えー! そんなのだめだよ! ニーベさん! 前にロココちゃんとしたみたいに、いっしょにお風呂に入って洗いっことかしたいのに!」


「うん。ニーベもいっしょ」


「あ、洗いっこ……!?」


 なにを想像したのか。自分よりも小さなふたりにつめよられ、真っ白な肌を耳もとまで真っ赤にするニーベリージュ。


「あはは。みんな仲よくなれそうでよかったよ。あ。そういえばさ、さっきから少し気になってるんだけど、ロココはともかく、なんでディシーまで【ニーベ】って呼んでるの?」


 僕のその指摘に、ディシーはわかりやすくビクッと肩を震わせる。


「もしかして、まだ名前覚えてないんじゃ……? さっきもふみゃふみゃさんとかいってたし……」


「ち、違うよ!? そりゃ、さっきはあれだけど……もうちゃんと覚えたってば! ニーベリージュさん! ニーベリージュさん!」


 覚えてることを強調するためなのか、わざわざ2回名前を口にしたディシーは、それからしどろもどろになりながら、たゆんと揺れる胸の前で指遊びを始める。


「うう……! だって、ロココちゃんがそう呼んでるのを聞いて、いいなって思っちゃったんだもん……! あたし、いままで友だちいなかったから、愛称って使ったことないし……」


 そんなディシーの様子を静かに見つめていたニーベリージュは一度目を閉じてうなずくと、こう口を開いた。


「いや、ロココ、ディシー。そのままでいい。私のことは、ぜひ【ニーベ】と呼んでくれ。できれば、ノエルも」


「え? いいけど……なんで?」


 僕の問いかけに、ニーベリージュはまるでなにかを懐かしむように左右色違いの切れ長の紫と赤の目を細める。


「私の家族が……私を愛し、私が愛したひとたちが、かつてそう呼んでくれていた。これから先、ともに命を預けあう大切な仲間たちにそう呼ばれるのも……悪くない」


 そして、最後にふっと微笑んだ。


 それは、なにかをふっきったようなさわやかな笑みで――とても綺麗だと僕は思った。

お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。 


ブクマまだの方、更新してブクマや評価が増えるのが作者の唯一の燃料です。

どうか切によろしくお願いいたします。


そのお礼として、作者は精いっぱい更新をがんばっていきます。


あたたかい感想もお待ちしています。



※というわけで、ニーベリージュが素顔でも日常生活を送れるようになりました。多少は威圧してしまうことになりますが。


次回、「最高の仲間」。次で第2部1章は最後となります。引き続き2章を更新しますので、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何話か前からちょくちょく思ってたけどニーベリージュのニが漢字の二に見えることがたまにある……目の錯覚ならいいけど
[気になる点] 続きが気になります!今日はここまでですかね?
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