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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】1章 だれもとなりに立てはしない。

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89話 僕は認めない。

 ま、まにあった……!


 レイス流暗殺術の奥義【虚影零(ゼロハイド・)突破(ストライク)】を放った反動で一時的に強い虚脱感に襲われガクガクとうずくまりながら、荒い息を整える。



 まるで屍山血河(しざんけつが)とでもいいいたくなるような、死霊系(アンデッド)魔物の残骸があふれ返る惨憺(さんたん)たるありさまと化したガルデラ山を登り、下り、ようやくたどりついたこの戦場。


 そこで暗殺者として鍛えた僕の目がほかのふたりよりも遠くからとらえたのは、突貫するニーベリージュに、いままさに振るわれんとする魔物の凶刃だった。


「うおおおおおおおっ!」


「……ノエル?」


「え!? ノ、ノエル……!?」


 細かく狙いを定める余裕も、いぶかしむロココとディシーに答えを返す余裕もなく、僕のいま使える手持ちの札の中で最大の威力を持つ技――相手の死角から高速突進の勢いのままに、一点集中させた全力の魔力攻撃をぶちあてる、レイス流暗殺術奥義【虚影零(ゼロハイド・)突破(ストライク)】を慣行――そして、いまにいたるというわけだ。



 ……ふう。ようやく息も整ってきた。そろそろロココやディシーも追いついてくるころだろう。


 というかそうじゃないと、ひとりでこんなに突出しすぎちゃった僕がわりとピンチだし。


 ああ。そういえば【死霊将軍(デスジェネラル)】とかいうんだっけ? あの髑髏のデカブツ。あいつに名前聞かれてたから、名乗らないと。


 それからもちろん、ニーベリージュにもいっておかないとね。


「ノエル・レイス。暗殺者。……ニーベリージュ。あなたは僕が――僕たち【輝く月(ルミナス)】が死なせない」



「ノエル……!」


「ノエル~!」


 油断なく前を見すえながら黒刀をかまえ、ロココとディシーが戦場に追いついてきたのを耳で確認しつつ、僕はそう宣言した。



『死なせない……? なにを、なにをいっている……? いや、そもそもなぜ来た! 私はいったはずだ! 私に君たちは必要ない、と! 孤高なる【英雄】の戦場にだれもとなりに立てはしない、と!」


 僕のすぐうしろで叫ぶニーベリージュの声の調子が途中で変わった。


 思わずうしろを振り返ると、顔を完全に覆っていた黒い兜に亀裂が走り、いままさに地面に割れ落ちていくところだった。


 雪のように白い肌の、耳もとまでの紫の髪。そして、眉間に垂らされた髪のあいだ、左右色違いの切れ長な紫と赤の瞳の女性が僕を見上げていた。


 ぶわり、とあのとき冒険者ギルドの中で感じたのと同じ、血臭と死臭、そして見えない圧力がニーベリージュからあふれだす。だが、あのときのように逃げようとは、退がろうとは、僕は思わなかった。


 それは、僕を見つめるニーベリージュの左右色違いの瞳が涙で濡れていたからかもしれない。それとも――


「……【英雄】か。だったら、ニーベリージュ。僕はあなたを【英雄】とは認めない」


「なっ……!?」


「はっきりいうよ。ニーベリージュ。こんなところで独りで死ぬんなら、あなたはただの犬死にだ」


 ――僕が心の底から、深く深く怒っていたからかもしれない。ニーベリージュに。そして、彼女にその選択を強いた、この世界そのものに。

お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。 


ブクマまだの方、更新してブクマや評価が増えるのが作者の唯一の燃料です。

どうかよろしくお願いいたします。


そのお礼として、作者は精いっぱい更新をがんばっていきます。


あたたかい感想もお待ちしています。



※というわけで、内心ブチギレ状態のノエルでした。奥義についてはまたいずれ詳細に解説します。

 最大効果を発揮するにはある程度の助走距離を必要とするため、森や倉庫内などのいままでのボス戦では出番なし。なお、第1話でノエルがいっているのがこの奥義になります。



次回、「黒い炎」。面子もそろい、戦いはさらに激化。

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