表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】1章 だれもとなりに立てはしない。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/277

83話 独りにはしない。

「ね、ねえ……! ノエルくん……!」


 決意を固める僕の背にフェアさんの声がかかった。そして、僕が振り返るのを待つことなく、次の声がかかってくる。


「お、お願いがあるの……! ニーべリージュさんを仲間にするんなら……! ニーべリージュさんのことが気になるなら、いますぐ追ってほしいの……!」


「フェアさん……?」


 ようやく振り返って見たフェアさんの顔は、一目でわかるほどに青ざめていた。


「だって、おかしいの……! ニーべリージュさん、さっき私に()()()()()()()()()って、どうかこれからも息災でって、それって……!」


 僕の脳裏にふっ、とさっき見た黒い兜の奥に隠された、ニーべリージュの素顔がよぎる。


 雪のように真っ白な肌とそこだけ紅を引いたように赤い唇。紫の髪。そして、左右色違いの切れ長な紫と赤の瞳。


 怖気のするほどに美しく、そして恐ろしかった。


 そう。まるであたかも――死者と相対しているかのようで。



『こんな私に声をかけてくれた礼に、()()()だれにも告げるつもりはなかった私の真実(ほんとう)を教えておこう』


 ニーべリージュの声が頭のなかにこだまする。


 なんで彼女はいま偶然出会っただけの僕にそんなことをいった? だれにもいうつもりがなかったのなら、なぜ? 


 残したかったんじゃないのか? 自分の生きたあかしを。知っていてほしかったんじゃないのか? だれかに。自分がたしかにここにいたことを。



「ノエル」


「ね、ねえ……! ノエル……!」


「……ロココ? ディシー?」


 考えに沈む僕のコートの両方の袖をロココとディシーがそれぞれに引っぱる。左右からそれぞれに僕を見上げるふたりの顔は、一様にあせりを浮かべていた。


「ロココ、追いたい。いますぐ。ニーベ……泣いてた」


「ノエル! あ、あたしも追いかけたい! だって、あの女性(ひと)……! とってもさびしそうな目をしてた……! いまにも消えちゃいそうなみたいに……! おばあちゃんがいなくなって、ノエルとロココちゃんに救ってもらう前のあたしとおんなじ目……!」 

 

 脳裏に、最後に見たニーべリージュの静かな目がよぎる。


 彼女から発する見えない圧力に耐えかねて、前に立ち続けていることができなくて、横にそれた僕に向けられたあの左右色違いの紫と赤の目。


 ……あの目は見たことがある。そしてそう。僕自身がいやになるほど実感してきた。


 他人(ひと)になにかを期待して、それが叶わなくて、そっとあきらめた目だ。自分自身をあきらめた目だ。


 ……ギリっと奥歯を噛みしめ、こぶしを握った。


「ロココ、ディシー。いくよ……! フェアさん、【死霊行軍(デススタンピード)】の対応クエストへの【輝く月(ルミナス)】の参加申請をよろしく……!」


「ノエルくん……! うん……! わかった……! 気をつけてね……! ニーべリージュさんを……お願い……!」


 

 もう細かいことはどうでもいい。【光】の勇者ブレンも、そのパーティー【黎明の陽(デイブレイク)】もいまはどうでもいい。


 …… ニーべリージュ。あなたに伝えたいことがある。もう一度届かせたい言葉がある。だから、あなたを独りにはしない。



 そして、僕たち【輝く月(ルミナス)】は【リライゼン】をあとにして、ガルデラ山へ、ニーべリージュが向かった戦場へと赴いた――そう。【死霊行軍(デススタンピード)】の真っただ中へと。

お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。 


ブクマまだの方、更新してブクマ、評価が増えることが作者の唯一の燃料です。

どうかよろしくお願いいたします。


そのお礼として、作者は精いっぱい更新をがんばっていきます。


あたたかい感想もお待ちしています。



※冒険者ギルドでのくだりはこれで終了です。


 次回、「恐怖卿」。別視点でお送りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ