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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】1章 だれもとなりに立てはしない。

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80話 だれもとなりに立てはしない。

「単刀直入にいうね。ニーベリージュ。あなたに僕のパーティー【輝く月(ルミナス)】に入ってほしい」


 【魔物大行軍(スタンピード)】への対応で湧き立つ冒険者ギルドの中。


 僕はそれには呼応せず、受付のフェアさんに別れを告げ、きびすを返した細身の黒い全身鎧を身に着けた冒険者の女性、ニーベリージュの前に立ちふさがった。


 少しの沈黙のあと、ニーベリージュが顔まで完全に覆った兜の中で反響する声で話しだす。


『……不躾だな。ノエルとやら。この鎧をまとって抑えられているとはいえ、この私に恐怖せず、相対するその精神力自体は褒めてやらんでもないが、君のパーティー……【輝く月(ルミナス)】だったか、それに加入して私になんの利がある?』


「あなたがこれからいく戦場に僕たちがついていける。自分でいうのもなんだけど、僕たちは強いからね」


 すっ、と手で後ろに立つロココとディシーを示した。ロココは平然と、ディシーは一度びくりと身を震わせてから、背筋をピン、と立たせたのがわかった。


 顔まで完全に覆った兜の奥からニーベリージュが見定めるようにふたりを見つめる。


『……ほう。【闇】属性希少クラスの呪紋使い(カースメーカー)に、まさか【闇】属性最高位魔法使いの黒元の精霊魔女(ダークエレメンテス)とはな。それにノエル、リーダーの君も暗殺者として相当の手練れだな。見ればわかる。いいだろう。認めよう。たしかに君たちは相応の強者だ』


「なら……!」


 認められたと思ったのもつかの間、ニーベリージュはゆっくりと首を振った。


『だが私には必要ない』


 ガシャンッ。


 同時に、ニーベリージュの兜のその面の部分が上下に口を開いた。黒い全身鎧に覆われたその素顔が一部分だけあらわになる。


 目を引くのは、雪のように真っ白な肌。眉間に垂らされたわずかにのぞく紫の髪。


 そして、左右色違いの切れ長な紫と赤の瞳。紅を引いたように赤い唇がゆっくりと動かされた。


退()け」


「なっ……!?」


「んっ……!?」


「ひぅっ……!?」


 ぞわり、と全身を悪寒が走った。その言葉とともにニーベリージュから発する見えないなにかが、圧力が、文字どおり物理的に僕を押しのける。


 とてもそこに立ち続けてはいられなかった。ロココとディシーをかばいながら横にずれ、下がる僕をニーベリージュが静かな目で見下ろす。


「これでわかっただろう? だれも私のとなりに立てはしない。だがノエル、こんな私に声をかけてくれたせめてもの礼に、最後にだれにも告げるつもりはなかった私の真実(ほんとう)を教えておこう。私はニーベリージュ・ブラッドスライン。王陛下に認められし貴族の一席にして、代々続いたブラッドスライン家最後のひとり。敵を、そして味方をも恐れさせる恐慌騎士(テラーナイト)。ただ独りで戦い、戦場に恐怖と戦慄、栄光と勝利をもたらす【英雄】の血脈」


 ……その家名は知っていた。


 そして、貴族である以上、冒険者としてここにいるなどという可能性は()()()()()()()()はずだった。


 それは【闇】属性でありながら、唯一かつての戦争で残したその絶大なる功績から貴族に名を連ねることを王家に認められた【英雄】の一族。


 そして、恐慌騎士(テラーナイト)は唯一彼らの一族のみに発現したクラス。


 ガシャッ。

 

 ふたたび黒い兜の面を閉じ、ニーベリージュが特徴的な金属音を響かせ歩き去っていく。


『孤高なる【英雄】の戦場にだれもとなりに立てはしない』


 【闇】属性唯一の表舞台に立つ【英雄】。


 だが彼らは人々から畏怖とともにこう呼ばれていた――恐怖卿【血染めのブラッドスライン】と。

お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。 


ブクマまだの方、更新してブクマ、評価が増えることが作者の唯一の燃料です。

どうかよろしくお願いいたします。


そのお礼として、作者は精いっぱい更新をがんばっていきます。


あたたかい感想もお待ちしています。



※ひとまず、またも勧誘失敗となった章タイトル回収回? でした。


次回、【英雄】。混乱をもたらしたニーベリージュが去ったあとのギルドでは。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「英雄」とは、期待と畏怖を兼ね合わせている「称号」。 世界を守る為に戦う「英雄」は、人々から期待をされる。 また、他の冒険者から見ると、恐怖の目で見られるのも「英雄」。 「英雄」というの…
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