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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第2部 死霊行軍】1章 だれもとなりに立てはしない。

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74話 プレゼント。

「えっへへ~! お待たせ、ノエル! どう? どう? 似合うかな? あたしのこれ!」


 サーシィさんが店長をつとめる服飾店【戦乙女】の店の奥。


 そこで僕を待ち受けていたのは、すっかりと衣装を様変わりしたディシーの姿だった。


 あのいかにも魔法使い然とした薄紫の全身を覆うローブでも、【最高に自由(マックスフリー)】にだまされて着せられた露出過多の白いドレスでもない格好のディシーを見るのは初めてで、思わず僕は見惚れてしまっていた。


 胸元をしっかりと覆った、けれど強調する結果になっている袖のないクリーム色の上衣。それと合わせるようにしてつけられたコルセットつきの紺のワンピース。そこからはしなやかな足がすっと伸びて、足もとには黒のロングブーツ。


 その上に羽織るのは、袖がだぼだぼなタイプの丈の長い薄紫のロングコート。それは、魔法使い然としながらも【戦乙女】らしくとても洗練されたデザインで、ディシーの魅力を何倍にも高めていた。


 これでもう、だれもディシーを田舎者などとは呼ばないだろう。


「え~っと……ノエル? そ、そんなに全身じろじろと見られると、ちょっと恥ずかしいんだけど……」


「え? ……あっ!? ご、ごめん!」


 いつのまにか我を忘れるくらいに見入ってしまっていたらしい。例の【はき違えた自由(ノーアウト・フリー)】の事件で、ディシーが自分の体をそういった目で見られるのに強く抵抗があるのはよく知っている。


 だから、頬を赤く染めるディシーに僕はあわてて謝った。


「あ……! えっと、謝らなくても、いいよ……? ノエルに見られるのは、別にいやじゃ……ないし……」


「え? それ、どういう……?」


「もうしわけありませんが、そういった甘酢っぱいやりとりは、宿の部屋でふたりっきりのときにお願いいたします」


「うわっ!?」


「って、サーシィさん!? あ、あたしたち、別にそんなんじゃ……!」


「そ、そうだよ! で、でもディシー! すっごく似合ってて可愛いよ! ディシーの薄いピンク色の髪にもよくあってるし!」


「あ、ありがと……! そ、そんなに褒められるとちょっと照れちゃうな? えへへ、思いきって買っちゃってよかった! あたし、いままでおばあちゃんやお母さんのお下がりとかを自分でジョキジョキしたりアレンジして着てたから、こういうお洒落にずっとあこがれてたんだぁ……!」


 緑色の瞳を細ませて本当にうれしそうに微笑むディシー。


 それを見ていると、なんだか僕までうれしく、幸せな気持ちになってきて、気がついたらそう口にしていた。


「ねえ、ディシー。その服、僕にプレゼントさせてくれないかな?」


「え……? えぇっ!? そ、そんな悪いよ! こんな一式買っちゃったから、正直けっこうなお値段するし……! ロココちゃんと違って、あたしはおばあちゃんが遺してくれたお金でなんとかなるし……!」


 あわてた様子で両手を前にだしてぶんぶんと首を振るディシーに、僕はゆっくりと語りかける。


「ううん。ぜひそうさせてほしいんだ。僕だって、前のパーティーにいたときに貯めてたお金がまだけっこうあるし。それを大切な仲間のために、仲間になった記念にぜひ使わせてほしい」


「仲間……! 記念かぁ……! えへへ! うん! わかった! そこまでいうなら、ノエルの優しさに甘えちゃう……ね?」 


「う、うん……! ありがとう、ディシー……!」


 肩までの薄いピンク色の髪がさらりと揺れる。小首を傾げるあどけない顔、緑色の瞳が僕を見上げていた。それは、思わずドキッとするほど綺麗で――


 しゅっ。


「先ほどももうしあげましたが、そういった甘酢っぱいやりとりは、くれぐれも宿の部屋でふたりっきりのときにお願いいたします」


「うわぁぁぁっ!?」


「わぴゃぁっ!?」


 ――突如、僕とディシーのあいだに下から物理的に割って入ったサーシィさんによって、さらにドキドキさせられることになった。というか心臓の動悸で。



「はあ、びっくりしたぁ……! き、気をとりなおして……じゃ、じゃあノエル! あらためてありがと! 大事にするね! じゃあ、今度はロココちゃんの番だよ! あたしとサーシィさんでつくった自信作! この部屋でロココちゃん待ってるから、開けてあげて! きっとノエルも気にいってくれると思う!」


「う、うん! あらためて僕こそありがとう、ディシー。……じゃあ開けるよ、ロココ?」


「……どうぞ、ノエル」


 そうしてディシーは扉の前から下がり、僕はロココが待つ部屋のドアノブに手をかけた。



「……本当に大事にするね? 生まれて初めて、男の子に――あたしの救世主さまにもらった大切なプレゼント」


 そんな、かすかなつぶやきを耳にしながら。

お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価などいただきました方、深く感謝申し上げます。 


ブクマまだの方、更新してブクマ、評価が増えることが作者の唯一の燃料です。

どうかよろしくお願いいたします。


そのお礼として、作者は精いっぱい更新をがんばっていきます。


あたたかい感想もお待ちしています。



※次回、「息をするのも忘れて」

 まだ【戦乙女】内です。

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