62話 暴食者(グラトニー)。
「ぎゃあああああっ!?」
「や、やめろ!?」
「ゲ、ゲスリーさん!? た、助けっ!?」
『『『ピィィィィィッ!』』』
僕の思考を中断して、さらなる異変が起きる。
まぶしいくらいに照らされた倉庫の中、その外周で僕とロココに手足を折られて這いつくばっていた【はき違えた自由】の男たちが次々とあちこちで黒色粘体たちに襲われ始めたのだ。
「ゲハハハハハァッ! 無様だなぁ! だがちょうどいい! このクズで無能で役立たずな人間どもめ! そのまま俺の可愛い下僕たちの養分になるがいい!」
「そ、そんな!? あ、あ……!? や、やめぐぶぎゃあっ!?」
「うぶぶぶべぐごっ!?」
絶望に暮れる男たちへと黒色粘体たちは口の中から侵入し、または全身に覆いかぶさり、体の中から外から、次々と捕食し始めた。
「ぎゃばべばぼべっ!?」
「ゲハハハハハァッ! いいぞぉ! 最高だぁ!」
目を覆いたくなるよう阿鼻叫喚の地獄絵図。ゲスリーの高笑いが響く中、僕は嫌な汗が止まらなかった。
おかしい……! 僕の知るかぎり、粘体はこんな異様なまでの攻撃性は持ち合わせていないはず……! いくら魔物使いの支配下にあるからって、これは――
『『『ピィィッ!』』』
――そのとき、ゲスリーのまわりを何体もの黒色粘体がとり囲んだ。
「おぉ! どうした? 俺の可愛い下僕たぢぼがべばっ!?」
そして、両手両足に群がり全身をおさえつけ、耳、口、鼻。ありとあらゆる穴から体内へと潜りこんでいく。
あ、ありえない……!? 大きなダメージを負って深く消耗したわけでもないのに、魔物使いが支配下においた魔物に襲われるなんて……!? ま、まさか……!?
『見ろぉ! すっかりと魔薬漬けになった俺の可愛い下僕たちを! 失った体内の魔薬成分を求めて結びつくさまを!』
さっき、ゲスリーはそういった……!
でも、そもそも大した知能のない、たかが粘体なんかに自分たちとそれ以外の区別なんてつくのか……!? もしもいま、目の前で起きている光景がその答えだとしたら……!?
「げばぼっ!? ぷばっ!? や、やめっ!? ご、ごどもだぢっ!? お、おれがわがらなびぼがぐべっ!?」
そして、魔物使いゲスリーは自らの下僕たちへとその全身を飲みこまれた。
『『『ピィィィィィッ!』』』
自らの主を食らい、歓喜に身を震わせる黒色粘体たちを見て僕は確信する。
……これはもう、粘体なんてものじゃない。魔薬中毒者。
それも際限なく求め、際限なく肥大化する最低最悪の暴食者だ……!
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※というわけで魔物使いのあわれな末路でした。より凶悪になった敵にどう立ち向かうか……!?





