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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第1部 輝く月】2章 初めての仲間と。 

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41話 最初から決めていた。

 女性冒険者御用達の服飾店【戦乙女】の店内。


 なおも、店長のサーシィさんは続ける。


「わたくし、ひとを見ると、つい頭の中で自分のつくった服を着せちゃう悪い癖がありまして……。あ、もちろん大人の男性にはいたしませんが」


 一瞬冷めたような真顔に戻ったサーシィさんだったが、またすぐになにかに陶酔したように、頬を紅潮させて語りだした。


「わたくし、常々思っているのです……! わたくしの服なら、女の子だけじゃなくて、男の子だって、とっても可愛くできるのに、って……!」


 眼鏡の奥で赤い瞳が獲物を見つけたようにギラリと光った。


「ど、どうですか? ノエルさま? ひとつ試してみる気はありませんか? と、特別にお安くいたしますし、あ、新しい扉が開けるかもしれませんよ?」


 手にひらひらとしたフリルのついたワンピースを広げながら、張りつけたような笑顔のまま僕にゆっくりとにじり寄るサーシィさん。


「ひぇっ!?」


 その姿に覚えたのは、かつて感じたことのない種類の恐怖。


 思わず僕は、指をさしながら反射的に答えていた。



「あ、あのっ! こ、これ買いますっ! い、いますぐ着て帰りますからっ!」


「ノエル……! いいの……?」


 僕の指の先にあったのは、ロココがずっと広げながら熱心に見ていた、さっきサーシィさんが勧めてきた純白のケープマント。


 まだ値段も聞いていなかったそれを、だが僕は購入することに即決する。


 はっきりといえば、もう一秒たりともここに長くいたくなかった。


 でも、それだけじゃなくて――


「こんな綺麗なマント……! ロココ、初めて……! ノエル……! 本当にありがとう……!」


 本当にうれしそうに半分に細められた青い月の様な瞳が僕を見上げる。


 ――この笑顔のためなら、僕はなんでもするって最初から決めていたから。



「わかりました。では、こちらでお着替えください。ご案内いたします」


「うわっ!?」


「うん。お願い、サーシィ」


 さっきまでの異様な雰囲気はどこへやら。すっかり真顔に戻ったサーシィさんがさっとロココを店の奥へと案内し始める。



 ……あれ? そんなあっさり? もしかして僕、サーシィさんにのせられただけなのかな?


 なんてそんなことを思っていると――



「はあ……。どうしてみんな着てくれないんでしょう……。絶対可愛いのに……」



 ――暗殺者として鍛えた僕の耳が、そんな深々としたため息と実感のこもったつぶやきをそっと拾い上げたのだった。


 ……うん。やっぱり聞かなかったことにしようっと。

お読みいただきありがとうございます。

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