表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第1部 輝く月】2章 初めての仲間と。 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/277

33話 冒険者ギルド受付にて。

「だめです! あなたたちの登録は受けつけられません!」


 開口一番にそう告げられ、僕は心底うんざりとした気分になった。


 ここは冒険者ギルド内にある受付のひとつ。


 いくつかあるうちから少しでもいいひとそうだと思ったお姉さんを選んだんだけど、どうやら無駄だったようだ。


 僕とロココがギルド内に入ってきたときからずっと胡乱うろんな視線を送ってきていたほかの冒険者たちが「それ見たことか」とでもいいたげにニヤニヤと口もとを歪める。


 きっと【闇】属性である僕たちが困っていることがよっぽど愉しいのだろう。


 常日頃から戦いに身を置き続けている冒険者たちが魔物と同じ属性においを持つ僕たちを嗅ぎ分けられないはずがないのだから。


 でも、別に冒険者はそれでいい。どう思おうがどう振る舞おうが、守られないかわりに基本的に自由なのだから。けど、ギルド職員はそうじゃないはずだ。


「あの。それって僕とロココが【闇】属性だからですか? たしかに【闇】属性はいわれのない差別や嫌がらせを受けたりするけど、いくらなんでも登録すらできないなんて――」


「【闇】属性だから? なに馬鹿なこといってるんですか! そういうことじゃありません!」


「――え?」


 そう思い食ってかかる僕に受付のお姉さんが三つ編みにした茶色のおさげ髪をぶんぶんと振り乱しながら、それ以上の勢いで声を荒げた。


 その予想外の反応に、僕は思わず間の抜けた声を上げてしまう。

 

「あなたたちどう見てもまだ子供じゃないですか! 確かに冒険者には本来、誰でもなれます! それこそ子どもでも……! でも、だからこそです! たとえほかのギルド職員が素通りさせても、むざむざ死なせるために子どもを冒険者になんて私はさせません! あなたたちに働き口がいるなら、もっと安全なお仕事を私が紹介してあげます!」


 興奮気味に頬を紅潮させ、懇願するようにまくしたてる受付のお姉さん。


 真剣に僕たちを見つめるその琥珀色の瞳には一点の曇りもなく、本当にただ心配しているだけなんだということが僕にもわかった。


 こんなひとが、このギルドにはいるんだ……。


 蔑まれるのがあたりまえの【闇】属性である僕が数えるほどしか経験したことのない混じりっけなしの善意。


 思わず目の前の純朴そうなお姉さんがまぶしい光を放っているような錯覚さえ覚える。


 ただそれはそれとして、ギルドに登録できないのは困る。あんまり騒ぎにはなりたくなかったから、あとでこっそりって思ってたけど、しかたない。


「わかりました。お姉さん。なら――」


「フェアです! 私の名前はフェア・セルン! あなたたちみたいな子どもにお姉さんって呼ばれて情が移ったりすると困りますから、ちゃんと名前で呼んでください!」


「――わ、わかりました。フェアさん」


「それと、子どもなのに無理してそんなに言葉をとり繕うのもやめてください! もっと乱暴な言葉づかいの冒険者さんなんていっぱいいるんですから! 壁をつくられてるみたいで正直ちょっと悲しいです!」


「う、うん。わかったよ。フェアさん。えっと、じゃあちょっと落ちついて、僕の言い分を聞いてくれるかな?」


「はい、なんですか?」


 情が移ると困るとか壁をつくられて悲しいとか、正直語るに落ちてない? と思わなくもない受付のお姉さんフェアさんの言い分を全面的に受け入れたところ、ようやく興奮状態がおさまったようだ。


 これでようやく本題に入れると、僕は一気にたたみかける。


「フェアさんがまだ子どもの僕たちを心配する気持ちは十分わかったよ。でも、裏を返せばさ。もし僕とロココにすぐに死んだりしないっていう十分な実力があるってわかれば、登録を受けつけてもらえるってことだよね?」


「そ、それはまぁ……そう……ですけど……?」


「じゃぁ、これを見てくれる?」


 その言葉とともに僕は左手につけた腕輪の魔力式を展開。亜空間収納から目あてのものをとり出した。


「え!? い、いまのは亜空間収納!? 一流の冒険者クラスでやっと手が届く代物をこんな子どもが!? そ、それにこれって――ギ、【大妖樹ギガントトレント】の核!? そ、それも全く傷が入っていない完全な状態の!? こんなの、いままで一度も見たことが……!?」



「はあぁぁっ!? ギ、【大妖樹ギガントトレント】の核だとっ!?」


「あ、あんな劣等【闇】属性のガキがっ!?」


「ありえねぇ!? なんの冗談だよ!?」



 途端に色めきだちガヤガヤと騒ぎ立てるその他大勢の冒険者たちを完全に無視して、僕はフェアさんに向けてにっこりと微笑んだ。ついでとなりのロココもぺこりと頭を下げる。


「どう? これで僕とロココののこと、認めてくれるよね? フェアさん」


「おねがい」


「は、はいっ!? も、もちろんっ!?」


 フェアさんは上ずった声をあげて、こくこくと何度もうなずいて無事に了承してくれた。


 そのくりくりとした琥珀色の瞳を驚きで真ん丸にして。

お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ