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闇属性だけど脚光を浴びてもいいですか―追放された少年暗殺者はワケあり闇美少女たちと真の勇者へ成り上がる  作者: ミオニチ
【第1部 輝く月】2章 初めての仲間と。 

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28話 もう関係ない。

※今回から主人公視点に戻ります。

「ぜぜぜ、絶対にぃ……!! こここ、金輪際ぃ……!! か、かかか、かかわりませぇぇんっ!! ブブフヒュウウゥゥゥォォォォォォッッ……!!」 


 ……ふう。なんとかうまくいったみたいだ。


 高級食事処の店内で物陰に身を隠す僕の視界の中。


 元ロココ所属のパーティー【猟友会ハンターズ】のリーダー、ブッフォンが全身をガクガクと震わせながら、涙と汗と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして、ついでに股間を湿らせながら、僕の発した【声】に向かって宣誓する。


 うーん。正直少しやりすぎたかもしれない。どうもあまりの恐怖にか失禁しちゃったみたいだし、口からもブクブクと泡を吹いてて絵に描いたような恐慌状態だ。あげくに意味不明に豚みたいな叫び声まで上げる始末。


 それにしてもほかのお客さんたち、よっぽどかかわりたくないのかな? 


 僕がかけてる広範囲の【隠形】は時間経過でもうほとんど解けてるはずだし。そうでなくても、あれほど騒いでいれば途中で誰か気づいてもおかしくなかった。正直僕はいつバレるかってドキドキものだったし。


 ひょっとして、逆に見ないように意識されてたりして? それなら辻褄が合うし。



 それにしても冒険者相手にも案外効いたな。レイス流暗殺術のひとつ、標的に助けを呼ばせないための脅迫術。


 その手順はこうだ。まず広範囲の【隠形】で自分のみならず標的自身も周囲から隠ぺいし隔離する。これにより標的は、まるで異空間に迷いこんだような錯覚を起こす。


 次に恐怖を煽り立てる独特のリズムと声色を使った話法。それを【声】に魔力を含ませることで物理的に補強する。


 この【声】を聴いた標的はごくわずかな時間だけど心臓や肺をわしづかみにされたような状態になり、心拍の乱れや呼吸困難などの機能不全を引き起こす。


 ……というと、ものすごく強い技のように聞こえるけど、なんてことはない。


 少しでも気を張っていたり、闘争心のある相手ならたやすく破られてしまうような、魔物はおろか人間相手でも戦闘には使いようがない、あくまで暗殺用の技術だ。


 それどころか常日頃から気を張っているだろう冒険者相手にはもしかしたらまったく通じないかもとすら考えていたけど、まあうまくいったからよしとしておこう――と忘れてた。


『ブッフォンさん、もう用は済みました。いっていいですよ』


「は、はいぃっ! ブフォォォッ!」


 【生霊レイス】として接した僕は完全に【隠形】を解除し、ブッフォンを開放する。


「ブフォッ! ブフォオ!」


 それと同時にブッフォンは矢も楯もなく鼻息を荒くして店の入口へと向かって走りだした。


 あ。そうだ。


 その背中を見送っていた僕は、ふと思いついたひとことを添えることにする。


「ブッフォーン! かかわるなっていったけど、もしロココや【輝く月(ルミナス)】を応援したくなったなら、それだけは許してやるよー!」


 ふう、これでよしと。それにしても、けっこう時間がかかったな。きっとロココ、待ちくたびれちゃってるよ。


 いいたいことをすべていった僕は、くるりと背を向けた。これ以上は僕にはもう関係ない。もし関係してきたら潰すだけだ。



「お客さまっ!? まだお支払いがお済では――げはぁっ!?」


「ううううるさぁいっ! どどど退けぇぇっ! ブフォブフォブフォオッ!」


「くっ、こ、この……!? 警備! いますぐこの男をひっ捕らえなさい!」


「ブフォッ!? は、放せ!? 放さんかぁ!? こうしている間にも後ろから【生霊レイス】が!? 【存在しないもの】がぁっ!? ブブフォォォォォッ!?」


「このっ! おとなしくしろ! いますぐに衛兵に突きだしてやる!」




「本当になんだよ! あの気持ち悪いオッサンは!? ひとりでギャアギャアわめきやがってよ! うわ! しかも、ありえねえ!? アイツ今度は漏らしてやがんぞ!?」


「本っ当、最初っからおかしかったもんね! 頭がいかれてるんじゃない!? 見ないようにして、かかわらないで正解よ! ブフォブフォうるさいったらないし! 豚みたいにさ!」


「ぷっ! ならさ、これからいく場所なんてあのオッサンにピッタリじゃね?」


「え~、それってもしかして……!」



「は、放せぇぇっ!? 我輩はぁっ! 私はぁっ! ブフォオオオオオオオオオオオオオオッッッ!?」



「「豚は牢屋(ブタばこ)に、って? ぷっ! あはははは!」」



 ……うん。僕にはまったく一切微塵も100%関係ないね。


 そして、僕はようやくロココの待つ個室へと足を向けるのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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