22話 生まれ変わったみたいに。
「お、お待たせ……。ノエル……」
「あ、ロココ。どう? さっぱりし、た……?」
ロココを連れて入った高級娼館の一階。
テーブルとソファーのある談話スペースで女主人のリスティさんといっしょにまったりとお茶とお菓子を楽しんでいた僕の目が真ん丸に広がり、そのまま固まった。
「うん、すっごく。なんだか生まれ変わったみたい」
生まれ変わった。本当にその言葉がしっくりとくる。それくらいに今までとは見違えるように綺麗な女の子がそこに立っていた。
手入れされず跳ね放題だった髪は磨き油と櫛を通され、まるで輝く銀色の糸のように。褐色の肌はすっかりと汚れを落とされ、その玉のような艶めきをとり戻していた。
むしろその体に刻まれた赤い呪紋も相まって一種神秘的な美しさすらたたえている。
そして――
「ロ、ロココ……? ど、どうしたの、それ……?」
「……変?」
「い、いや変じゃない! すっごく似合ってて可愛いよ!」
「あ、ありがとう……」
――そんな生まれ変わった女の子を彩るのは、ロココの小柄な体にぴったりの子供用のピンク色のミニドレス。ノースリーブのそのミニドレスの上に薄い同じ色のショールを羽織っているその姿は、まるでどこかのお嬢さまのようだった。
「あはは! 大成功みたいね~!」
「本当ね。ふふ。昔の服、捨てずに取っておいてよかったわ」
「うんうん! やっぱり〜女の子は可愛い服着てないとね~!」
頬をほんのりと赤く染めてもじもじとするロココの後ろから、お姉さんたちが3人連れ立ってぞろぞろとやってきた。みな一様に笑顔ですごく楽しそうだ。
そんなお姉さんたちに向けて僕は思いきり頭を下げる。
「みなさん、ロココを洗って、綺麗にしていただいて本当にありがとうございました! それにこんな上等な服まで……! あの、この服のお金はちゃんと払いますので!」
そんな僕を見てお姉さんたちは、一度目を丸くしてから、くすくすと笑った。
「ふふ。気にしなくていいのよ。どうせもう私じゃ着れない服だし」
「そうそう! それに正直女の子ひとり洗ってあたしたち3人分の料金はちょっとぼったくりすぎかな? って思ってたしね!」
「うんうん! なんだったら、わたしたちのもう着れない服全部あげちゃってもいいくらいだよね~!」
「あ! それいいわね! ねえ、そうしましょうよ!」
「そうね。捨てるのもなんだし、もらってくれるならすごくうれしいわ」
「よ~し! それじゃあロココちゃん、わたしたちのお部屋へお洋服見に行こ~!」
「う、うん」
「え!? ちょ、ちょっと待っ――」
きゃあきゃあと盛り上がるお姉さんたちは、僕が止める間もなく急かすようにしてロココの背を押して娼館の2階へと連れ立って上がって行ってしまったのだった。
お読みいただきありがとうございます。





