14話 仲間。
「ありがとう、ロココ。よく核をつかまえてくれたね」
「あ……!? ノエル、だめ……!」
最後のとどめとして【大妖樹】の核を呪紋でつかまえてくれたロココを褒めようと僕は何気なくその頭の上へと手を伸ばした。
けれど、強い拒絶感とともに僕の手はロココにはねのけられる。
「あ……ごめんね、ロココ。子ども扱いしちゃって。それとも、やっぱり馴れ馴れしかったかな?」
「ち、違うの……。そ、そうじゃなくて……。だって、ロココ……くさい、から……。汚い……から……。だから、さわると……ノエルまで――ひゃっ!?」
反省しつつも拒絶されたことに内心ショックを受けていた僕に、うつむきながらロココが漏らした言葉。
それは、僕に次の行動を起こさせるのには十分だった。
「ロココ。臭くなんてないよ。汚くなんてない。だから、そんなふうに自分を卑下しなくてもいいんだ」
「ノ、ノエル……」
嘘じゃなかった。少なくとも僕にとっては。
衝動的に抱きしめてしまった僕よりも幼く小さなロココの体。
たとえその褐色の肌から発せられる香りを百人中百人が臭いといおうとも汚いといおうとも、僕だけはそれを認めるつもりはない。
それが僕の思う、運命を共にするパーティーの――仲間としての在り方だから。
それに、そもそもロココがこうなったのは――
「でも本当にありがとう、ロココ。まさか【大妖樹】の核を完全な形で手に入れられるなんて思わなかった。これは結構いい値段で売れるんだ。だから、奮発して今日の夜はいっしょにごちそうを食べよう。パーティーの結成祝いも兼ねてさ」
「ごちそう……!」
「はは。ほら、よだれ垂れちゃってるよ、ロココ」
ごちそうと聞いて青い月のような瞳をらんらんと輝かせるロココの口もとをハンカチで優しく拭いてあげる。
「ブフォォォ……!? 痛い、痛いぃ……!? お前、お前ぇぇっ……! 我輩たちに、いや我輩にこんな狼藉をしてぇ……! ただで済むと思うなぁ……!?」
――ああ。そうだよ。そもそも【猟友会】がいけないんだ。ロココを、女の子をまるで野良犬のように扱って虐げるなんて。
聞こえてきたのは、地の底から響くような怨嗟の声。
僕に片方の足を砕かれたせいで立っていることすらできず、いまは無残に地面に這いつくばっている【猟友会】のリーダー、ブッフォンからだった。
「ああ。まだいたんだ。っていうかただで済むと思うなって、むしろこっちの台詞だよ。ロココのついでとはいえ【大妖樹】から助けてやったんだからさ」
「ブブッフォォォォォッ……!? お、お、お前ぇぇぇっ!」
「だから、その報酬はきっちりいただくよ?」
豚のように鼻息を荒くして地べたからにらみ上げてくるブッフォンを完全に無視して、取り立てを始めるべく僕は次の行動を開始した。
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