表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/277

139話 【闇】の勇者。

燃料をありがとうございました。

お待たせしました。どうかお楽しみください。




「うむ……! よくぞいった……! ならば、触れるがよい……! ノエル……! この王国のはじまりより伝わりし至宝、【闇】の聖剣に……! 幾星霜を経て現れし、新たなる継承者よ……!」


 厳かに老王の声が響く中、壁も床も見えなくなったまばゆく輝く聖剣の間を一歩一歩たしかめるように踏みしめながら、僕は歩みを進める。


 目指すは、この【光】に満ちた聖剣の間の中で、そこだけ僕の目に道しるべのように鮮明に浮かび上がる【闇】。


 床に突き刺さる青く黒い【光】を放つひと振りの刃――【闇】の聖剣。


「さあ……! ノエル・レイスよ……! 新たなる継承者よ……! いま我らに王家代々待ち続けたその至宝の姿を……! 自らが勇者たるあかしを示せ……!」


 歓喜、期待、疲労、哀惜。そのすべてがない混ぜになった老王の言葉が響く中――


「うおおおおぉぉぉ!」


 ――僕は、ただひとつの思いを胸に、雄たけびとともにその刃を引き抜く。


 そう。自らの望む未来をつかみとるために。



「おぉ……おぉぉ……! これが……! 王家代々、待ち望んだ……!」


「王陛下……! 大願の成就、謹んでお祝い申し上げます……!」


「これが……! ノエルの……!」


「すっごく、きれい……! やったね……! ノエル……!」


「ノエル……! 私は、いまこの場に立ち合えたことを心より誇りに思う……!」


「本当は私に、そんな資格なんてないけど……! それでも、おめでとうございます……! ノエルさん……! 【闇】の勇者さま……!」


 黄金にまばゆく輝く聖剣の間の中。


 僕が握り高々と掲げる、青く黒い【光】を放つひと振りの刃――幾星霜の時を経て、ふたたびその姿をみんなの前に現した【闇】の聖剣。


 万感の思いを胸に老王が、黄金騎士が。ただ純粋な喜びを胸にロココが、ディシーが、ニーべリージュが、そしてステアが。


 だれもがその鮮烈な姿に目を奪われていた。そして口々に自らの思いを、僕という新たな勇者の誕生を言祝ぐ。




 だから、反応が遅れた。


聖剣(それ)をよこせぇぇぇっ!」


 狂気に目を血走らせたその男がただ一本残った左腕をかざした。空間がゆがみ、その手に刃が握られる。


「おおぉぉああぁぁぁぁっ!」


 そして一瞬で肉薄し、僕の――【闇】の聖剣の間合いの内側へとつめた。


 ブレン。元――いや、堕ちた勇者が。






お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、いいね! などいただきました方、深く感謝申し上げます。あたたかい感想をいただけたら、うれしいです。


そして、まだまだ切実にお願いいたします。どうか燃料をください……!



ということで、【闇】の勇者が誕生。そしてブレンが乱心です。


次回「決別」


今回は疲労等もあり更新が遅くなってしまい、申しわけありませんでした。

書ききりますので、これからもどうかよろしくお願いいたします……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 資格あるものしか扱えなさそうな代物奪って大丈夫か
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ