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第8話「レアアイテム」

「……軍事、衛星??」




 ……なんだそれ??

 顔中に疑問符を張り付けたカールであったが、


 ───ぶぅん……!


 ステータスを起動し、【通信】のスキルを確認する。


 ※ ※ ※


 スキル【通信】Lv3 ←ピコン♪


 ※ ※ ※


 ●拡張機能:固定通信ポイントの追加


  〇通信ポイント1【雷の弾丸】

  〇通信ポイント2【軍事衛星No.335】(NEW!)

  〇通信ポイント3【なし】



「…………やっぱ、これだよな?」


 ⇒冒険者ギルド辺境支部(候補消滅まで00:12)

 ⇒軍事衛星No.335(・・・・・・・・・・) (候補消滅まで09:48)


 さっきレベルが上がった時に、チラッと見えた───『●通信ポイント固定候補』。

 そこに新しい通信候補先が追加されていたから、思わず設定してしまったのだが……。


「俺のスキルは、直近で呼び出した通話者を固定化することができるんだけど───」


 さっき会話したのは、「くそイアン」と、「クソマスター率いる冒険者ギルド辺境支部」の二つ。

 そして、オーガロードに殺される寸前に繋がった何か……。



 ……いや、「何か」っていうか───軍事衛星No.335だ。



  『軍事衛星No335』




「……軍事──衛星?………………衛星。えい、星」



 星



 え?

 まさか───……。


「お、お星様??」


 ……はは、まさかね。

 ありえない、ありえない。


「あはははー」


 それよりも、


 シュウシュウウ、と湯気を立てる地面。

 ドロドロと解けた先には大穴があいている。


 ようやく湯気が収まったところで、戦果を確認するカール。


「うわ……。これ、本当にオーガロードの腕だ」


 その赤黒い皮膚と、凶悪な爪は見間違うはずもない。

 埃が収まった後にデーン! と巨大な腕がでてきたのだ!!


「……と、とりあえず、素材を回収しておこう───」


 オーガロードの爪×5

 オーガロードの腕×1


「え~~っと……あとは、」

 

 そーっと、覗き込んだ真円の中には何もなく、底がキラキラと輝くようにガラス結晶化している。

 ここにオーガロードの巨体があったはずだが、欠片も残っていない。


 この様子も見ると、相当な高温の何かが空から降り注いできたらしい。


「ひぇ~……すっげぇ、威力! ほんと、なんだったんだ、さっきのは? ぐ、グルジアの魔法?……なわけないか」


 ……少しでもズレていればカールもオーガロードのように消滅していたに違いない。


 ポィン♪


「ん? あれって……底に何かあるぞ?」


 大穴の底にはオーガロードの身体こそなかったけど、代わりに小さなものが落ちている。

 どうやらドロップアイテムらしい。


 これは───……。


 穴の底から拾い上げたもの。

 小さな指輪のようなものだが、

「これ……まさか?」


 どうやらマジックアイテムらしいもの。

 呪いの類がかかっているようにも見えないので、試しにはめてみると。


※ ※ ※


鑑定の指輪(レア度:SSS)

備考:装備品

   装着している間は、触れたものの鑑定が可能。


※ ※ ※


「う、うそ?! これ、ちょ、超レアアイテムじゃん!?」


 鑑定の指輪自身の効果で、それ自体の鑑定までできてしまった。

 普通ならギルドに持ち込んで鑑定器で鑑定するんだけど、これがあればその場で鑑定可能。


 しかも、魔法の効果や呪いの有無。ある程度の価値までわかる、冒険者垂涎の品!!


「マジかよ……。Sランク以上の魔物が稀に落とすって聞いてたけど、……ここで出るか」


 希少なうえ、Sランクの魔物が落とすだけのレアアイテム。世界中探しても10個もないんじゃないだろうか?

 SSランクのモンスターが落とすにしてはちょっとショボい気もするけど、それでもカールには十分すぎる。


「やべぇ……。イアンに裏切られてから、ろくでもないことばかりだと思ってたけど、なんか急に運が向いてきてないか?」


 ───人の幸せの総量は等分だという。

 ならば、裏切られた不幸の分、ここで取り戻しているのかもしれない。


「……にしては、ツキ過ぎな気もするな。へへ、これ持って帰ったら、イアンの奴度肝抜かれるだろうな」


 生還しただけでもビビるだろうし、

 ましてや、レアアイテムにオーガロードの討伐証明だ。


「よ~し。そうなったら何としてでも生還してやる!」

 せっかく拾った命だ。

 お星様のお陰かどうかは知らないけど……。運が向いてきた!!



 そう思った直後だ。



 自分で言っててアレれだけど。

 幸せの総量が等分だとして、レアアテムとSSランクのモンスターの討伐証明をGETした不幸はどこで帳尻があうのだろうか?


 それはもちろん…………。



 ズシン、ズシン、ズシン……。


「え? 何この振動? え? あ、あれ?」


 そういえば、ここってまだダンジョンの奥地だったっけ。

 しかも、イアン達の援護がない中こんなとこからどうやって帰えればいいんだろう……。


 カールがそう思った時だ。


 当然、ダンジョンの奥地で、安全地帯でもなんでもない場所。

 そんなとこでドカン! とか、キュバァッァアン! な~んて、大きな音を出して無事なはずもない。

 

 ズシンズシンズジン…………!


「な、なんか、結構な振動なんだけど、す、すごい数がここに向かってない?」


 そーっと、中庭入口の方を見やるカール。

 その先には、爛々と光る眼が……。


「ひぃぃぃぃいいいいいいいい!!」


 悪鬼の牙城の雑魚モンスター。


 上級のオーガがいっぱい……。


「そ、そりゃそうだよなーーーーーーーー!!」


 や、やべぇぇええ!!

 

 さっきまではオーガロードが獲物の所有権を主張していたのだが、そのオーガロードがきえればどうだ?

 ……当然、



『『『グルァァァァッァアアアアアアアアアアアアア!!』』』



「ぎゃあああああああああああああ!!」


 中庭入口から一斉に走り出した大量のオーガ!

 当然、人肉大好きな人食いどもだ!






 カール………………!




 逃走開始!!


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