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43.説明回・上

説明回は一話では終わらない模様

 さて、何から聞こうか。


「そうだな、先ずはここにいる者たちのことだ。アイツらは一体何者なんだ?」


 執事もメイドさんも、あの貴族みたいな人たちも、俺は一人たりとも見たことがない。


「まぁ、当然の疑問ね。アレらは全て私たちの部下よ」

「部下?」

「給仕の子たちがクロの部下で、それ以外の子が私の部下」

「ちなみにどれくらいの数が?」

「んークロのと合わせて大体二百くらいかなぁ」

「にひゃ……っ!?」


 この半年でそんなに集めたのか!?俺なんてパルとミリアを含めても三人だぞ?


「驚くほどじゃないよ。ルーちゃんが少な過ぎるの」

「うぐっ……」

「そもそも、ルーちゃんは人を選び過ぎなんだよ」

「……だって信頼は必要だろ?」

「バカだなぁルーちゃんは。何事にも限度があるでしょ?信頼も忠誠も、全てはあとから着いてくるものなんだから、ある程度妥協しなくちゃ」

「……そうか。参考にはさせてもらうよ」


 質問の答えは得られた。次は何を聞こうか。


「次の質問だ。自然エネルギー──って言っても分からないか。ともかく、魂に干渉できる力を知っているか?」

「魂に干渉……ああ。多分ルーちゃんが言ってるのは魂力ね」

「魂力?」

「そ。魂に関与する力だから魂力。世界はあらゆる力の集合体で、その主な構成要素三つを三大構世要素って呼ぶんだけど、その内の一つである魂力は、主に世界に存在する生物の繋がりを構築する要素ね」

「その三大構世要素とやらの残り二つはなんだ?」

「それは勿論、魔力と妖力でしょ」


 勿論とか言われても知るわけがない。明らかにトップシークレットじゃないか。


「簡単に三大構世要素を説明するなら、魔力、妖力、魂力はそれぞれ、存在の起源、概念の起源、生命の起源ってところかしら」

「起源、か……あそうだ。魔力から魂力を作ったことがあるが、全ての力は魔力から派生したものなのか?」

「えっとね、ルーちゃんのやったそれはフィクションの錬金術みたいなものなの」

「どういうことだ?」

「例えば、銅と金は同じ物質?」

「違うな」

「でも十グラムの金と同等の価値を持つ銅の塊があれば、その塊を十グラムの金に変えることができる。そう、フィクション錬金術ならね!」

「でもその錬金術を可能にするには素が魔力でなくてはならない、か?」

「そういうこと。冴えてるねぇ」


 なるほど。存在の起源というだけあって対象が存在しているのなら何だって作れるわけか。だが作るにはそれに見合った量の魔力を必要とする、と。


「じゃあ魔力で人を創ったりもできるのか?」

「理論上は可能なんだけどねぇ……」

「そんな上手い話はないか」

「いや、できはするんだよ?」

「?」

「ただ、作れるのはガワだけなのよ。生物として正常に動かすには魂の代わりになるモノを作らなくちゃいけないし、それを作れた者は今までであの子だけだし……」

「魂の代替品が必要なのか?そもそも魂って何なんだ?」

「うーん、とても複雑で言語化するのは難しいわ……強いて言うのであれば、〝こころのかたち〟かな」


 ふむ。俺の知っているものと違いはなさそうかな。


「なんで代替品なんだ?脳を作れれば動くんじゃないのか?」

「う〜んと、脳は魂の入れ物に過ぎないの。容器だけじゃ何の役にも立たないわ。それこそ、あの子の世界で使われてる脳じゃないと不可能よ……」


 言い終わるや否や、カゲツは目を大きく見開いて、右手で口を塞ぐ。

 一見考え込んでいるようにも見える動作だが、俺の目には余計な事を言った口を封じているようにも見える。


「どうかしたか?」

「……いえ、なんでもないわ。で、他に質問は?」


 先程までの鬼気迫る様な雰囲気は何処へやら、百八十度切り替わって朗らかな雰囲気でそう聞いてくる。

 勘違い……か……?

 まだ疑問残るが、他の質問を聞いてくる以上、彼女に答えられることはもう無いのだろう。それか答えたくないかだが。


「そうだな……」


 カゲツの顔色を探るが、ニコニコ笑顔である。何処までも自然な笑顔。らしくもない。

 ……まぁ言いたくないのなら深くは聞くまい。


「んー、あとは……あ、そうだ。そういえば、何かと繋がったような感じがして、そんでか細い糸の様な何かを手繰り寄せるような感覚を感じたことってあるか?」

「ん?んん?んー。あ(理解)うん。それは多分因果律に干渉したんだね」

「……ん?」

「ほら、前にクロが言ってた運命に干渉できる力ってやつ」


 ……あ、あぁ〜!あったねそんな話。確かネームドがどうたらこうたらってやつだ。


「んでルーちゃんはか細い糸を手繰り寄せたんだよね」

「そうだな」

「それはつまり、ルーちゃんが手繰り寄せたものは本来、その程度の確率でしか起こりえない様なものということになるね」

「そうなのか?」

「そうなんです。感じ方は人それぞれだけど、その時必要としている未来が有り得ないものであればあるほど、感じるものは弱く、細くなっていく」


 つまりあの局面はかなり際どい状況だったってことか?


「いつそれが起こったの?」

「シヴェリーを殺した時だ」

「あぁ、あなたの言ってた異形の子ね。でも話を聞く限りだとそんなに有り得ないものでるとは言い難い。何か思い当たることは他にないかしら?例えば……目新しい事、珍しい事象、新たな力、とか」


 新しい力……あぁ、あったな。そういえばカゲツには言ってなかったっけ。


「新しい力と言っていいのか分からんが、明確な変化はあったな」

「明確な変化?」


 カゲツの問に答えるように俺は適当な魔法陣を展開する。

 ……相変わらず禍々しい色してんな。


「こんな感じで魔法陣の色が変わったんだ」

「うそ……いくら何でも早すぎる……」

「大丈夫か?」


 カゲツは驚愕の表情を浮かべたまま固まってしまった。


「おーい。戻ってこーい」

「……はっ!ル、ルルルルルルーちゃん!」


 カゲツは勢いよく身を乗り出す。


「な、なんだよ……」

「謎が解けたわ!」

「はぁ?謎ってなんの」

「今さっきの疑問のこと!ルーちゃんは、起源魔術を獲得していたんだよ!!」


 ……起源魔術って、なんだ?

次回は起源魔術とは何かについて。

その内おりをみてキャラ紹介とか書いてみようかなぁ……。

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