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使用人を担当名で呼ぶ屋敷  作者: 山本 タケシ
8/17

医療担当が登場します

「お嬢様の体調が急に悪化しました!早くポリマーさんを呼びなさい!」


サービス担当は取り乱し声を強く放った。いつも綺麗に掛けられているメガネが少し下目にズレていた。


「俺が行こう」


先程まで私と同じように床に腰を屈めていた力担当がゆっくりと立ち上がった。


「お前はいつも通りに仕事をしていろ」


「はい!」


彼は私にやるべきことを伝えると急いで厨房から出ていった。行先は屋敷から東へさほど遠くない場所にあるサロン村という小さな村だ。そこには医療担当であるポリマーさんという方が住んでいる。


「私はお嬢様の元へ戻ります」


サービス担当も彼に続いて厨房から出ていった。


「では私も仕事に戻ります」


「あ、、、はいっ!」


私は料理担当に別れを告げて仕事に向かった。エグリカさんが居ないと仕事効率が格段に落ちるからな。急いで頑張らなければ。




「うわあぁぁぁん!」


ロビーから外へ出る途中で子供の鳴き声が聞こえた。お嬢様なのだろう。私は拳をグッと握りしめて庭へ向かった。




私の予想どおり午後の仕事は大変だった。力仕事はほとんどエグリカさんに任せていたので腕の筋が切れそうになるほど動く羽目になった。別に弱音を吐くほどではなかったが。今だけは泣き言なんて言っていられなかった。




3時間ほどすれば力さんが背が高い男を連れてきた。その男は長身ではあるものの体は細く、私と同じように執事服を身につけていた。そしてかなりの美形であった。


「こっちです」


「流石に場所ぐらい忘れていませんよ」


エグリカさんに案内されようとした男は屋敷の中に入っていった。彼がポリマーさんなのか、と私は理解した。


「遅くなった」


やけに落ち着いた表情でエグリカは私の方へやってきた。


「あの、私は今日は帰らない方がいいですか?」


エグリカさんの後ろから髭面の老人が遅れてやってきた。彼が御者担当のマナジさんだ。


「ああ、今日は泊まっていってくれ」


「分かりました」


マナジさんは頷き馬を連れて馬小屋へ戻しにいった。


私とエグリカさんは仕事に戻り残りの作業を済ませにいった。やはり彼がいると作業が捗る。私は今日1日を通して彼の力担当としての有能さを知った。




5時


使用人の仕事が終了する時間だ。まだ働いていたかったが明日に差し支えるといけないと思い、自身の体の為に休まなければならなかった。今日は本当に疲れた。


その後、サービス担当さんの連絡によりお嬢様が今日中に入院することが決まった事を聞いた。容態が想像以上に悪くこの度すぐにバリエルという国へ向かうらしい。そこは医療大国と言われ医療が発展している国だ。バリエルに行けばまず一安心だろう。


ポリマーさん、それにサービス担当さんが同行するということなので彼女がいなくなったあとの屋敷のあれこれなどに着いて聞かされた。色々と考えた結果私に責任を持たせるのが良いと判断したらしい。





暫くして彼らはバリエルに向かっていった。私は不安を感じた。これから屋敷がどうなってしまうのか心配で仕方なかった。


しかし、心配しているだけではなんの解決にもならないと思い。何か別の事をして気を紛らわせようという結論に至った。


(お嬢様が体調を悪くしたのはこの国で薬が売られていなくなっていつも飲んでいる薬が無くなってしまった事がきっと関係しているはずだ。ということは今は薬をどう確保していくかを考えるのが良いのか。まずレンドリー領以外の領にいって、、、 )


私はウロウロしながら考えているとふと自身の机にある本に目がいった。そういえば先日新しい本を借りてそのままにしておいたのを思い出した。


折角今は時間があるので資本を勉強するのも一つの手だな。


私は机に座り本を手に取った。理由は分からないが本を読んでいる時は心が落ち着くものだ。根拠はこれを読んでいれば何か事態が良くなるような気がした。

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