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使用人を担当名で呼ぶ屋敷  作者: 山本 タケシ
2/17

遊戯担当と買い出しを担当します

眠い、、、。


もう6時半か。


早くベッドから抜け出して1時間後の仕事に間に合わせなければ、、、。


私はベッドから起き上がり寝間着から執事服へと着替えた。


「失礼します。お食事を持ってまいりました」


ドアをノックして料理担当が朝食を運んできた。


「ありがとうございます」


私はさっとそれを食べ終えて力担当さんに会いに使用人棟を出て屋敷へ向かった。


「おはようございます」


私は遅れてきた力担当さんに挨拶をした。


「おはようございます。早速ですが今日は買い出しをお願いします」


買い物か。屋敷以外のレンドリー領を出歩くのはこれが初めてだな。


「分かりました。どこで何を買うのでしょうか」


「この紙に書いてあるとおりです。行く場所はキャロリム街。分からなくても遊戯担当が案内するので問題ありません」


彼は白いメモ用紙を私に預けた。


「ということは力担当さんは行かないと言うことですね」


「はい。噂をすれば来ましたよ」


ホールの入口から遊戯担当がやってきた。


寝癖は目立ち、執事服はシワが寄りすぎているという最悪の状態であった。


まともじゃないな。


「おはようございます。じゃ、行きましょうか」


遊戯担当は手招きをした。


「今日は早起きですね。呼び起こす手間が省けて良かった」


「どうしてか目が冴えて来ましてね」


力担当の言葉になにか良いことがあったのか笑顔で返した。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ。それじゃあ行きましょうか」


私達は屋敷を出てキャロリムへ向かった。


徒歩での移動中は特に何もなかった。必要も無いので会話もしなかった。


やたら広い庭を抜けると大きな街が目の前に広がってきた。


「こっちだよ!」


周りを見回していると遊戯担当が呼びかけてきた。


屋敷外なのでやはり敬語は使わないのか。


「ちょっとここで待っててね」


彼は古びた店の前で立ち止まった。


頼まれたのは食材なのでこんな所には用はないと思うのだが。


「寄り道をね。買いたいものがあるんだ」


「仕事中ですよ」


「大丈夫。僕の仕事に使う道具だから」


まあ、仕事に必要なら問題はないな。


彼は直ぐに戻ってきた。


「一体何を買ったんですか」


「塗料だよ」


私達は再び目的の店へ向かった。街の様子はまずまず栄えているという感じだった。辺りには色々な店が並んでいて思わず目移りしてしまう。


「遊戯担当というのはどういう仕事をするのですか」


「遊戯担当というのはね、絵を描くのが仕事なんだ」


彼はそれらが入った袋を見せると見せると大事そうに抱え込んだ。


気にはなっていたのだが使用人らしからぬ仕事内容だな。


「屋敷ではあまり見かけませんが普段どこにいるのですか」


「男子寮にいるよ。用があれば来て。セ、、、なんだっけ。君の部屋の隣だから。でも寝てたら流石に出れないかな」


「セリウス・ユージュア・バージンです。というか暇なんですね」


主人が子供だからといって自由すぎる。屋敷が酷い状態だと言うのに。


「暇?別にそういう訳じゃないんだけど、、、。説明が難しいなぁ」


彼は考え込むように目を瞑り、腕を組んだ。


「わかんなくなっちゃったんだよね。遊戯担当というものが」


「そんな悩みがあって動こうにも動けないと?」


「そうなんだ。担当ってなんなんだろうね」


確かにどうして使用人を担当名で呼ぶのが屋敷のルールなのかとか色々気になるところがある。


「入ってきたばかりなので詳しいことは分かりませんが、悩みなら聞いてあげますよ」


「本当に?誰に相談しても手伝え手伝え言われてさ。相手にしてくれなかったんだ。早速なんだけど、、、」


「今は無理ですよ。仕事中なので」


「真面目だなー」


私達は肉屋で買い物を済まし薬屋へ向かった。




「ふざけんじゃねぇ!!」


近くから市民の怒鳴り声が聞こえてきた。


何事だろうか。


人々をかき分けて中に入るとそこでは薬屋と男性が揉めていた。


「ですからここにある商品が全てです」


「そんなふざけたものじゃなくて薬がどうしても必要なんだよ!」


「あなたは私達を見殺しにするつもりですか?!」


どうやら薬を売ろうとしない薬剤師に彼らは腹を立てたようだ。薬がないならまだしも売らないとはどういう状況なんだ。事情は分からないが薬が買えないなら今日は諦めて引き替えそう。


私達は屋敷に戻った。

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