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私はメス豚に転生しました  作者: 元二
第四章 亜人の守護者編
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その99 メス豚、亜人の守護者を標榜する

 ここは亜人の村の入り口前の広場。

 しんと静まり返ったこの広場で、全員の視線が私に集まっていた。

 てか、つい咄嗟に声を掛けてしまったけど、これからどうすりゃいいんだ?


 最初に我に返ったのはショタ坊だった。

 彼はイケメン王子様の使者として、この旧亜人村までやって来ていた。


「あの・・・ あなたはどういったお立場の方なのでしょうか?」


 ショタ坊の言葉と共に、村に隠れた騎士達が私の方に弓の狙いを向けたのを感じる。

 ファッ〇。一方的に銃口を向けられているようで不愉快なんだけど。

 まあ、村の男達が狙われているよりはまだマシか。


 私は小声でピンククラゲ水母(すいぼ)に頼んだ。


「(もしも矢が飛んで来ても防いでくれる?)」

当然(いいよ)


 水母(すいぼ)は魔力操作で物を動かしたり、見えない障壁を張る事が出来る。

 人間の放った弓矢を防ぐ事などは造作も無いのだ。

 これで一安心。

 私は一先ず胸をなでおろした。

 

「あの?」


 おっと、いかんいかん。ショタ坊が私の返事がない事で訝しんでいる。

 とはいえどう答えればいいものか・・・


 私が迷っている間に、村の男達が私の背後のモーナとウンタに気が付いた。


「モ、モーナ! お前達、俺達の跡を付けて来たのか?!」

「モーナ?」


 自分の名を呼ばれた事で、モーナは仕方なく前に出た。


「私はこの村の村長代理のモーナです。あなたが私達との対話を望んでいるという人間の使者ですか?」

「はい。私はルベリオ・ラリエール。男爵家の当主です。我が主、イサロ殿下の名代としてやって来ました」


 男爵家当主だと? ショタ坊はいつからそんな立場になったんだ?


 ・・・・・・


 全員の視線が再び私に集中した。

 あ。次は私の番なのね。ハイハイ。


「私はクロ子――」

「えっ?! クロ子?!」


 私の名前を聞いてギョッと目を見開くショタ坊。

 やべっ!


「――パトラ。わ、妾の名は女王クロコパトラじゃ。い、以後見知りおくが良い」


 あぶねーっ! 危うく本名を名乗ってしまう所だったわい!

 咄嗟に誤魔化したけど、どうかな? ・・・よし。大丈夫そうだ。

 焦ったせいか、変なキャラ付けをしてしまった気もするけど、オーケーオーケー。セーフセーフ。


「あの、クロコパトラ様は女王なんですか? あなたは人間ですよね? なのに亜人達の女王なんですか?」


 おっと、そこに食いつきますか。まあ気になるよな。

 そもそも、女王ってのは勢いで言っただけで意味なんて無いから。

 村の男達も「何だアイツ?」といった目で私の方を見ている。

 モーナが慌ててフォローを入れた。


「こ・・・この方は、えと、わ、私達の村の、そう、守護者です。そういった意味での女王です」


 そういった意味での女王ってどういった意味?

 そんな疑問を込めて私はモーナをチラ見したが、ものの見事に睨み返されてしまった。

 お前がそんな目で見るなって? ごもっとも。元は私の失言だからな。


「そう。妾は亜人達を守護する者。女王クロコパトラじゃ」


 一先ずそういう事にしておこう。

 村の男達の、「だからお前は何なんだよ」って視線が痛い。

 そして一人称の「妾」だの、語尾の「のじゃ」だのの喋りが、自分でも言っててムズムズする。

 今からでもキャラ付けの変更が効かないだろうか? ダメ?


「守護者ですか? でも人間のあなたがどうして?」

「妾はそなた達のような人間に非ず。無論、亜人でもないぞよ」


 メス豚だからな。


 私の言葉に戸惑うショタ坊。どうも話に付いて行けないといった顔だ。

 ショタ坊の気持ちは分かる。今の私はどう見ても人間の超絶美女だからな。

 けど、ここで私が人間である事を否定しとかないと、何故、亜人の守護者を標榜しているのか説明がややこしくなる。


 ・・・そうだな。水母(すいぼ)。ちょっといいかな。


「信じられぬか? ならばその目でしかと見るが良い」


 水母(すいぼ)に合図を送ると、私はイスに座ったままフワリと宙に浮いた。


「「「「「おおおっ!!」」」」」


 驚きの声を上げるショタ坊と彼の護衛の騎士。それと村の男達。そしてなぜかウンタ。

 てか、アンタはここに来るまでに散々見てたでしょうに。

 まさかこの場の雰囲気に呑まれたとか? いやいや、空気読みすぎにもほどがあるでしょ。


「ま・・・まさかこれって魔法? スゴイ。本物だ」


 ショタ坊は驚愕の中、頬を赤らめて呟いている。


 男爵だのなんだのと言ってもまだまだ子供。

 魔法を前にして、目をキラキラと輝かせておるわい。


 それとも、ひょっとして私に惚れたのか?

 残念ながら私はショタは趣味ではないのだよ。

 これでも大人の女なのでね。

 自分がもう大人になっているのを知ったのは、ついさっきなんだけどな。




 一通り互いの自己紹介が終わると、「こんな場所で立ち話も何なんで」といった流れで、話し合いの席を移す事になった。

 立ち話と言っても、私だけはずっとイスに座っていたんだがな。


 ウンタが素早く村の男達の所に駆け寄って何か言っている。

 どうやら今のうちに口裏を合わせるようだ。

 あちらは彼に任せておけば大丈夫だろう。あれで意外と空気が読める男みたいだからな。


 私はモーナを連れて村に入った。

 イスに乗ったままフワフワと移動する私を、人間の騎士が遠巻きに見ている。

 女性をそんなふうにジロジロ見るものじゃなくってよ。


「こちらに」

「モーナ、待つのじゃ」


 隊長風の騎士に勧められるまま家に入ろうとしたモーナを、私は呼び止めた。


「裏口から入った騎士が一人。今は隣の部屋に潜んでおるようじゃな」

「・・・・・・」


 私にズバリ言い当てられて、隊長の表情がサッと硬くなった。

 やれやれ。全く油断も隙もあったもんじゃない。

 お前達の考えそうな事など、このクロコパトラ様にはまるっとお見通しなんだよ!


 ・・・いやまあ、本当は水母(すいぼ)に教えてもらったんだけどね。

 本当に頼もしいピンククラゲ型観測機器だこと。


「隊長。みなさんを下げて下さい」

「・・・分かりました」


 隊長の指示で三人の男達が集まった。


「クロコパトラ様。失礼致しました」


 私だけなら人間の騎士一人くらい気にもしないが、私の隣にはモーナがいる。

 彼女の安全を確保するためには、みすみす相手の思惑に乗る事は出来ない。


 それはそれとして、誰かにクロコパトラと呼ばれる度に、妙にモニョって仕方が無い。

 何で私はこんなダジャレみたいな名前にしてしまったんだろうか?

 咄嗟だったとはいえ、もっとカッコイイ名前を思いつけよ私。


「クロコパトラ様?」

「何でもない」


 私はイスに座ったまま、空中を滑るようにして家の中に入った。



 家の中はどことなく生活感が漂っていた。

 どうやらここはショタ坊達が寝泊まりしている家だったようだ。


 ショタ坊が自然な動きで部屋の奥――上座に先に座った。

 話し合いの場を設けたホストという意味か、互いの置かれた立場を示すためか。

 コンニャロウ。可愛い顔して仕掛けて来るじゃないか。


「私はこの話し合いが双方にとって益のあるものである事を信じています」

「だと良いがの」


 こうして亜人の村の未来を決める話し合いが始まった。

次回「メス豚と実の無い話」

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― 新着の感想 ―
[良い点] パチモンGETだぜ!w [気になる点] 黒子さんは掘り魔だけど ナニを掘るんでしょーね? まあ掘れば当たる子なので なんなりと気が済むまで 掘って掘って掘り当ててくださいな。 15禁、セフ…
[良い点] クレオパトラじゃなくクロコパトラねw まぁ確かに見た目は美女だけどさぁ...なんてパチモンくさい名前だ(´・ω・`)
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