ギルド。絡まれ
「シルクっ!ハッ…」
気が付くと朝になっていた。俺は気怠い体を起こし魔法で水を出して顔を洗う。
すっきりとした気分になり、少し片づけをして部屋を出る。
1階の大広間へ向かうとフェルが身支度を終えた後だった。
「おはようございます。」
「あぁ、おはよう。ところで、昨日は随分うなされてたようだが大丈夫だったか?」
何やらブツブツと言っていたのがフェルの耳に聞こえたらしい。
昨日はシルクと話してたからそのせいかもしれない。
「昨日は3日ぶりに天使様とお話しする事が出来ましたよ。多分そのせいですね。」
「それは、この前お前が言っていた奴か…」
「ハイ、それで一つ助言を頂きました。デルビニクパンダの討伐依頼をしろってね。」
「良いのか?、いきなり魔物退治なんて、確かにデルビニクパンダは一度経験はしてるが、油断出来る魔物ではないぞ。」
「フェルも。最初から魔物退治の依頼を受けるつもりだったじゃないですか。それに危険な魔物だったら遠慮しておきます。俺にはどの魔物が危険なのか判断はつきませんので教えていただきたいです。流石にクラウドドラゴンの様な奴とは二度と戦いたくないですけどね。」
あんな奴とは二度と戦いたくはないな。
「分かった、じゃあギルドに向かうぞ。」
宿屋を出て道なりに進んでいくと、町の中心の広場に躍り出る。
そこの一角の所に、大きな茨の看板が目立つ建物を見つけた。
「ここがザイーラの冒険者ギルドですか?」
「そうだ。英雄になろうと奮起し、冒険者全てが活用する場所だ」
中に入ると活気あふれる冒険者達が大勢いるのが分かった。
こっちはやはり魔族が多いらしい。人族の姿は余り見かけない。
奥側の方では魔族同士が取っ組み合いをしているのが見える。
それを見てる他の奴らが煽りたて盛り上がってるようだ。
そんな騒がしいのを横目に見つつ俺達は受付の方へと移動する。
「いらっしゃ、ザイーラのギルドへ。あら、フェルじゃない。アンタがここに来るなんて珍しいね。 今日はどうしたんだい?」
その受付は魔族だった。妖艶な体付きをしている。時折鼻孔をくすぐる匂いはあの魔族から発せられて
つい発情を催しそうになる。
「今日は新しく登録をしにきたんだ、ここにいるヒロ・トリスターナの受付をしてもらいたい。」
「その子、人族じゃないの!?しかもこんなに小さくて。子供に戦わせないのが信条のあんたがどういう風の吹き回しだい?」
「こいつはなりは子供だが凄い魔道士だ、俺が保障する、デビルニクパンダを一撃で倒したのを見たからな。」
「あの凶暴なパンダをかい。君も見かけによらずなかなかやるんだねぇ。」
「アタシの名前はエル・グラシェル エルって呼んで構わないよ」
「エルさんですね。改めまして、ヒロ・トリスターナです。」
「よろしくヒロ。じゃあ早速登録を済ませようじゃない。
アル!カード持ってきて。」
そう言っておくから出てきたのは全身が紫色の皮膚に覆われ、2本の角が雄々しく生えている男だった。
「紹介するよ、こいつはアル・グラシェル。あたしの弟さ、」
「…よろしく」
ペコリと小さくお辞儀をするアル。見るからに寡黙そうな性格をしている。
「こいつはなりと腕は良いんだけどねぇ 気が小さくてよぉ、今はあたしと一緒にギルドを管理してるんだ。じゃあさっそく情報登録をするわね。」
アルが持ってきたカードを手に取り魔法陣を浮かべる。カードに何やら情報が浮かび記載されてくのが見える。
「よしっと、後はお前の血を一滴垂らしてもらうよ、それで登録は完了だ。」
俺は短剣を取り出し指先にチクッと突き刺し血を一滴垂らす。
垂らした血はカードに吸い込まれ、その中に俺のこれまでの情報が載っていた。
「へぇ~7歳にして上級魔法を全部使えて、クラウドドラゴンを倒しただって??
これは本当なのかい?」
エルが驚きの声を上げると同時にギルドの連中が一斉に振り向く。
誰もが俺に注目する中、一人の魔族の男が俺達の方へズカズカ歩いてきた。
「お前さんクラウドドラゴンを倒しただって? 嘘言っちゃいけねえな!あいつは俺達クラウダスパイダーズですら倒せなかった大物だぜ?それをこんなガキが倒せるわけねえよなぁ!」
ガハハハハと大声で笑う魔族の男、酒の香りが漂う、こんな朝っぱらから酔っ払いかよ!
体型はお世辞にも良いとは言えない。背は高く力もありそうだが。出っ張ったお腹が目立って格好悪い
「自分ひとりでは倒してませんから。俺含めて上級魔道士3人に上級剣士が居てなんとか倒したって感じです、流石に一人では倒せてませんよ。」
ユイと師匠がいなければ俺のアクアブラスターも当たらなかっただろうしな。余り自惚れてはいないよ。
「上級だぁ?お前がか?ガハハハハそれこそ信用ならねえ!お前みたいなガキがほいほい慣れる程上級は甘くねえんだよ。狼少年も程々にしとかないと痛い目に合うぜ!」
頭をバシバシと叩かれる。むかつくやろうだな
「失礼ですが貴方一体誰なんですか? 先ほどから失礼ですよ。」
「これは失礼したな。俺はクラウダスパイダーズのリーダースラードだ。このあたりじゃ俺達の名を知らねえものはいねえさ!蜘蛛のようにしつこく獲物をとらえる。粘り性のあるクランだ、クラウドドラゴンも俺様達なら倒せるさ。」
そういうと他の連中も立ち上がり集まってくる。 どうやらこいつらがクラウダスパイダーズのようだ。
「僕はヒロ・トリスターナです。何処の誰か知りませんけど。いきなり現れて信用ならないとか言われても、ギルドカードには嘘の情報って乗るんですか?」
エルの方をちらりと見る。エルははぁ~っと溜息をついた。
「ギルドカードに乗ってる情報に嘘偽りなんてないよ。そりゃ素性を隠したい奴にはそれなりの処置は取るけども。この子にはそんな事はしてないし、今出た情報は全部本当の事だろうね。」
「けっ、どうだかなぁおい付き添いの兄ちゃんよぉ、こいつが上級魔道士なのは本当なのかいエエ!?」
「上級かどうかは分からないが、こいつの魔法は一級だ。下手に手を出せば返り討ちにあうぞ。」
フェルは表情一つ変えずに物申す。
「ほうぅ、そいつは面白いな、よし小僧、お前に決闘を申し込む!」
「はぁ、何でですか!?戦う意味なんてないと思うんですけど。」
「フンッ、お前が本当に上級の腕があるか俺様が直々に確かめてやるんだよ!さっさと外に来い!」
そういってギルドから出ていくスラード、ギルドメンバー達が可哀想になぁと言いながら同じく外に出ていく。
「ヒロも災難ねぇ、あいつは別名新人いびりのスラードって言われてるんだよ。
ああやって冒険者なりたての新人に難癖つけてるんだ、そして最後には決闘を申し込んむんだよ。」
「俺今何もしてなかったんですけど…」
「多分あんたの経歴にむかついたんだろうねぇ。クラウドドラゴンを倒すのはあいつの目標でもあるからさ…」
そういわれてもとばっちりである。
「気を付けるんだよ。あんたが上級の魔道士でも、あいつだって上級剣士並の腕はある。むやみに立ち向かっちゃ駄目だよ」
上級剣士というとオルバと同等か、ちょっと自信なくなってきたな。
「フェル。代わりにいってきてよ。」
「お前に向けられた決闘だ、俺は手出しはしない。」
非情である。魔物の時は一切手を出させなかったのにこの差はなんなんだ…
「それに、お前ならあいつ如きに負けはしないだろう。期待してるぞヒロ」
ワシャワシャと頭を撫でられる。そうか、フェルが信じてくれるなら自信が沸いてくるな。
「分かりました。精一杯頑張ります。」
外に出ると既に決闘の舞台は整っていた。周りは野次馬であふれ、広間の中央にスラードが剣を掲げ立っていた。
「よぉ~ 始まったぜ!スラードの洗礼がよおお! 今宵洗礼を受けるのは、なんとあのクラウドドラゴンを倒したと言われている。まだ若い人族の子だあああああ!」
実況がこだまする。もはや恒例行事といわんばかりの騒ぎだ。
良く難癖をつけてると言ってたしな。本当に恒例行事なんだろう。
「さぁ今宵はどうなるか! 新人が勝つかスラードが勝つか!さぁ張った張った!」
「新人に10石銅貨!スラードに20石銀貨!大穴で新人に50石金貨だあああああ!!」
おおおおおっと声が挙がる。
どうやら俺達の決闘に賭け事まで行われているらしい。商売たくましいとはこの事だな…
「よぉ、良く逃げずに来たな。覚悟はできてるんだろうな。」
「覚悟も何も、倒れんのはお前の方だ醜い豚野郎。貴様こそ無様な姿を晒す準備は出来てるんだろうな。」
「ほぅ…てめえ、言ってくれるじゃねえか。後悔しても知らねえぞ。」
チャキっと剣を構える。上級と言われるだけあってかなりさまになっている。
「イクゾッ」
シュンっと一瞬で踏み込んでくるスラード。咄嗟に俺は爆風を展開し後方に下がる。
「オッラアア!!」
「アクセルウィンド!」
スラードが二歩目を踏み込もうとする。俺はアクセルウィンドを展開し、高速で後ろに回り込む。
「何処行きやがった!?」
「後ろだよ!」
そのままの加速で拳を振るう、加速が載った拳はスラードを吹っ飛ばす。
「ガフゥ… なんだあいつの動き!?うらああああああああ!!」
スラードは立ち上がる、再び駆け出し剣を振るうが、アクセルウィンドを纏った俺には届かない。
奴のスピードより速く動き、翻弄していく。
数十回剣を振るうが、俺の所には届かず、やがて肩で息をし始めた。
「クソッこいつめ… ちょろちょろと動きやがってぇ ハァ… ふざけんじゃねえぞ」
(動きは早いがオルバ程ではない、何時もオルバを仮想として訓練してた俺には見切れない速さではないな…)
「ふぅ、もう少し試したいが、そろそろ終わらすか。ディバインフォース!」
俺はスラードの足元から土の蔦をはやす。 足首に絡みついた蔦はそのまま体中を巻き付け身動きを取れなくする。
「がぁぁぁ… なんだこれは…う、動けねええええ!」
もがくスラード、だが蔦はびくともしない。
俺はそのまま魔力を込め、特大の水龍を形成する。
「なッッッ!! なんだその龍は!!」
「これはな、アクアブラスターって言ってな。俺の得意魔法だ、クラウドドラゴンの翼を落とす威力を持ってるんだが、お前にこれが絶えれるかな?」
さらに形をでかくする。実際はみかけだけで、クラウドドラゴンを落とした時の魔力は込めていない。
だが初見の技でかつクラウドドラゴンに傷をつけた技と聞けば、恐怖心は植えつけられる。
みるみる内にスラードの顔が青く染まる。
「やや…やめてくれぇ」
「水よ穿てアクアブラスター!」
巨大な水龍を発射する。水龍はスラードの真横を通り過ぎて行き。後ろの壁を粉砕する。
そのまま水龍は天高く昇り。水しぶきとなってはじけ飛んだ。
スラードはその場にへたり込み。気絶してしまった。
「こいつ、気絶してやがる…これは俺の勝ちで良いですか?」
周りが唖然とする。皆空いた口がふさがらないようだ。
「す、すげえ…」
わああああああああと湧く歓声。
一人また一人と俺の周りを囲みだす。
「すげえよお前、まさかスラードをやっつけちまうなんてな!」
「俺も半信半疑だったけど今の戦いはすげえな、あの水龍やべえな!
「あのスラードがあそこまでこけにされるとは、相当なやり手だなお前!!」
「お前のおかげで借金が払えるよ!賭けといて正解だったぜ!」
わいよわいよと褒めたたえられる。
囲まれて質問攻めにあって動けなくなってしまった。
身動きが取れずどうして良いのか分からない。
誰か助けてくれ~
「ほら! ヒロが困ってるじゃないか。野次馬はさっさと退散しなっ!アルっ、道を空けてやりな!」
エルの声と共にアルが近づいて俺を担いでいく。野次馬達もそれに続き次々と退散していく
ギルドに戻された俺は、そのままエルからギルドカードを受け取った。
「はいよ、君のギルドカードだ。ここには君の個人情報と冒険者ランク、それに今受けているクエストの内容が記載されている。 詳しい使い方はカード内にあるヘルプって所をチェックしてくれ。」
渡されたのは緑のカード。
クラウドスレイヤーヒロ。と称号がつけられていた、なんかこっぱずかしい事である。
「ギルドカードにはランクに応じて色が変わっていくんだ。初級者には緑のカード。そこからランク毎に 青<赤<黄<朱<白<黒<虹となっていく。それぞれにランクが記載されて最初はFランク。そこからE<D<C<B<A<S<SSと区分けされてるからね。色分けが今の君のランクと思ってくれて構わないよ。ランクを上げる条件はクエストポイントを溜めること。ランク毎に受けれるクエストがあるから参考にしといてね。といっても君の実力はさっき見たばかりだ、緑だけど特例として魔物討伐のクエストを解禁させてあげるよ。本来なら黄色、つまりDランクからの受注だけどね。でも君の実力ならもうAクラスはあるよ。あのスラードをやっつけたんだ、誇っていいよ。」
「しかしさっきの戦いは見事だったよ。あんな魔法使えるならだれも君の事を嘘だとは言わないさ。
アタシも君の事少し興味がわいてきたよ。」
じゅるりと舌舐めずりをするエル。背筋がゾワッと震え上がった。
「さてと。これで登録は完了だ。さっそく何かクエストを受けてみるかい?」
そういうとエルは依頼書をパラパラと何枚か取り出してくる。
俺は依頼書を手に取り内容を見る。
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ペットの捜索依頼。 ランクF
愛しのポルちゃんが家から飛び出したきり帰ってきません。どなたか探し出してきてください!
依頼者 ブリトニーア婦人
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配達依頼。 ランクE
俺は農場を営んでる。今年のザイーラの名物、マンドラ人参の収穫を手伝ってほしい。依頼代ははずもう。注意*(マンドラ人参は時折魔物化してるのもあります)
依頼者 アカミラ
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メタルウルフの討伐。 ランクC
この近くの鉱山に希少な鉱石があるとの情報があった、だがそこにはメタルウルフが住み着いてるため中を探索できない。なんとか追い払ってくれ。
依頼者 コルク
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色々な依頼内容がある。迷子の探索から魔物退治まで幅広い依頼がギルドには押し寄せるようだ。
その中で一枚黒塗りに塗られた依頼書が有った。
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黒龍、カオスドラゴンの討伐 ランクSS
カオスドラゴンを倒す冒険者を求めてる。超級剣士と超級魔法使いを求む。
依頼者 力神バルディッシュ
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「カオスドラゴン…こいつはやめておいた方が良い。俺達の手に負える敵じゃない。
しかしこんなやつを相手にするバルディッシュという奴は一体何者なんだ…」
どうやらフェルでも無理な敵らしい、ランクSSだしな。さわらぬ龍にたたりなしってね…
数ある依頼書の中からどれを選ぶか検討する、その時一つの依頼書が目に留まった。
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デルビニクパンダの緊急討伐。 ランクB
ザイーラ周辺でデルビニクパンダの群れが観測されました。
冒険者には周囲の探索とデルビニクパンダの討伐をお願いします。
依頼者 ギルドザイーラ
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これは…シルクが言っていたクエストだな、これを受ければいいのだろうか?
「これにします。」
「あら?デルビニクパンダの討伐、やってくれるのかい?あの魔物は凶暴だよ
あいつらのせいでこの町にも不穏な空気が漂ってるからね。どうにかしようと思ってたんだよ。今は近くにある小さな村を住処にしてるはずさ。」
「そうなんですか?この町に来る前に1匹遭遇しましたけど。動きが遅くて大したことなかったですよ。」
「単体なら問題はないけど、群れで行動してるやつらは凶悪さ、耐久力もあるし力もある、何より数が尋常じゃなくてねぇ。あのスラードにも行ってもらった事はあるが討伐は出来なかったんだよ。」
スラードというと先程倒した奴か。あいつの動きなら単体なら苦労することはないとは思うが。
数で押されれば流石に厳しいか。
「だがあんたは凄い魔法使いだ。あんたの魔法ならあのパンダ野郎もひとまとめで倒せるだろうよ。お願いできるかい?」
「お任せください。」
胸に手をあて自信満々に鼓舞する、
しかしシルクはなんでこの依頼を受けろと言ったのか… う~ん
「あ、そうだ一つ言い忘れてたことがあるよ。」
「この依頼なんだけど、実はあんたが来る前にもう一人女の子がこの依頼を受けててね。もしかしたら遭遇するかもしれないから、協力してやってくれないか?」
「えぇ…良いですけど。女の子ですか?」
あの凶悪な面したパンダに挑む女の子。ムキムキのボディビルダー見たいな人物を想像する。
「その子は君と同じくらいの年の子でね、茶色の短い髪と、丈に合わない長い双剣が特徴さ。
見たらすぐ分かるよ。あの子詳しい話も聞かないで一人でいっちゃったから助けてやってくれよ。」
「さて、準備が出来たらとっとと行くとしよう。幸いその近隣の村は知っている。
馬車で半日もあれば着く距離だ。エル、馬車を一台借りれるか?」
「お安い御用だよ、裏の馬小屋から好きな馬を持っていきな。ただし、必ず返すんだよ。分かったね?」
「あぁ、助かる。」
早速俺達は裏にある馬小屋に到着する、
「おう来たか。話はエルから聞いてる、好きな馬を選んでくれどいつもオススメだぜ。」
馬小屋に入ると獣の臭いが充満している、
ヒヒーンと活力のある声がこだまする、見るとどいつもこいつもギラリとした目つきをしていた。
まるで俺を早く走らせてくれと訴えてるような目つきだ。
その中に1頭、見覚えのある顔をした馬がいた。
ヒヒーン
「お前、ブリストじゃないか!!」
見るとそいつは我が家の荷物持ちでオルバの愛馬、ブリストだった
「なんでブリストがここに…」
「なんだお前?そいつの知り合いか?」
「知り合いも何も、元々我が家で飼っていた馬なんですよ、なんでこんな所に。」
そういやあの光は町全体を覆ったと聞く。ならばブリストだって転移されてても不思議ではなかった。
「そいつは気付いたらこの小屋に居てな。毛並の良い馬でよぉ、ついつい世話してたわけだ。
そうかお前こいつの飼い主だったのか、良かったなお前!飼い主見つかってよ!」
ブルヒヒーンと吠えるブリスト。
「よし、坊主。その馬を使ってけ、もし依頼を完遂出来たらその馬をくれてやるよ。」
「本当ですか!?」
「そいつも嬉しそうだしな、ただしちゃんとデルビニクパンダを討伐してくれな、あいつらが近くにいたんじゃ馬逹も満足に走れやしねえ。」
「ありがとうございます。よしブリスト、また一緒に走ろうな!」
思わぬ再会を果たした俺達は、心を躍らせながらデルビニクパンダの討伐に向かった。
ヒロは普通の冒険者よりははるかに強いです、フェルには勝てません




