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守り守られ


7歳になった。


今俺はオルバに剣術を教えられている。


魔法は4属性を上級まで覚えた。


無詠唱で出来るのは、


広範囲に嵐を巻き起こし、破壊の風で殲滅するトルネード


トルネードにファイアストームを合わせ。爆炎の嵐を巻き起こす。


オーガを倒したオリジナル技。 エンプレスト。


水の中級で水をポンプのように照射する アクアバレット


それを水龍の形に変形させ相手に質量の水を叩き付ける。 


アクアブラスター。


ちなみに龍なのはカッコイイからである。


さらにその水龍にフロストノヴァで凍らせて


氷龍にする事も出来る。見た目は完全に大○蓮氷輪○である


上級魔法を覚えてみて分かったのは。


ほとんどが中級の組み合わせ技か、その威力を増加させた物


そして範囲がデカイ為。これは戦争とか集団での戦い向きな所。


なので対人や魔物との小数戦の場合。


中級の魔法で事足りるのである。 


上級でこれなら超級とかどんな規模になるのやら…


魔法を上級まで覚えた所でオルバが剣術を教えてやると言ってきた。


前々から教えたいと思ってたらしい。


俺も剣術は覚えたかったので渡りに船だ。


そうして今はオルバに教わっている。


師匠は今ユイに魔法を教えている最中だ。


ユイは風と回復魔法に長けているらしい。


エルフの種族が元来得意とされる魔法で有り。


魔王大戦の際は癒しの風で前線の兵士達の活力となり。


風の魔法は並み居る魔物を殲滅したと言われている。


ユイも絶賛訓練中である。


時折うぇ~とかたすけて~って声が聞こえるが幻聴だろう。


師匠は優しいからな。


そんなユイをはために見つつ 俺は素振りを再開する。


剣術の訓練と言っても。俺は剣は素人だ。 


オルバに練習用と渡された。鉛入りの刃が入ってない棒切れ。


実際の剣と同じ重さらしいがかなり重い。


持つだけで精いっぱいであり。


基本の型である上段からの振りおろしを行ったが。


へにょへにょと剣に振られ転んでしまう。


これでは剣術を教わるレベルですらない為。


最初は筋力トレーニングと素振りだけの日々だった。 


流石に一年もすれば振れるようにはなってきた。


だが振りの軌道がぶれたり。まだ体を使って触れてなかったりと、


基本の型がこれほど難しいとは思わなかった。


オルバ曰く、剣術で究めるには相当長い年月がかかるとの事。


オルバですら上級の剣術しかできてない。 それより上の連中は全員化け物揃いだという。


音を置き去りにし。斬られた実感がないまま殺す技や。


一振りで魔物の軍勢を全員切断する剣士もいるらしい。


中には空を飛んでいるワイバーンを 地上から剣閃をたたきこみ 翼を落とした奴もいるという。


恐ろしいなこの世界。


そんなこんなで今日もまた。 筋トレと素振り。 そして最後にオルバと組手を行う。


「さぁ ヒロ 何処からでもかかってきて良いぞ」


剣を構える。 オルバは中段に構え 俺の出方をうかがっている。


どんな攻撃も弾き飛ばすという意思を感じる。 


なれば、基本に忠実に、一撃を加えいれる。


俺は上段に構える。一番練習してる。 剣士としての基本の型だ。


スゥ~ 深呼吸をし、勢い良くオルバに切りかかる。


ガキィン。 容易くガードをされ、はじかれる。


後ろにステップし、体制を整えて再度切りかかる。


キィン キィン 何度目かのつばぜり合い。 再度上段に構え右斜めより振り下ろす。


オルバが対応し。剣を合わせる。 その動作に合わせ。体を反転させる。


反転させた体の遠心力を使い左から胴を狙う。


オルバが即座に反応し。 またもはじく、


間髪入れず。俺はオルバの袈裟を狙い剣をはらう


すかさず後方に飛び跳ねるオルバ。 今だとばかりに踏み込み着地際に突きを放つ。


当たるかと思った矢先。


オルバは剣の腹を使い 突きの一撃を払う。 そのまま流れるように懐に潜り込む。


突きで決める気でいた俺は体制を立て直せず、前のめりになる。


オルバは体制を崩した俺を足払いして 転ばせる。


起き上がろうとした俺に剣を突き付ける。


「ほいっと 俺の勝ち。お疲れさんよ。」


「はぁ… はぁ… ありがとうございました。」


息が乱れ。疲労感が全身を襲う。 対してオルバは疲れなど微塵もないようだ。


「着地際に対し突きを撃つのは良かったが踏み込みすぎたな。 

 相手がよける事も考えてやらないと。攻撃をする前に何通りかの予測を立てておいた方がいいぞ。」


「そうですね… あれが当たればって思って振ってました。」


「ハハハハ。 まだまだお前の剣じゃ俺には当たらんよ。 後10年は最低でも振り続けろ。

 そうすれば当たるようになるかもな…」


10年か。 剣の道は遠いなぁ。


「さてと帰るか。 ユイとサリーも先に戻ってるみたいだし。

 おう またアレ頼むぞ」


「分かりました。 風よ共鳴せよ。 ダブルレビテーション。」


体に風をまとわせ動きを軽くするレビテーション それを二人分かける。


体を軽くさせ。 道々を駆け抜け帰路を走る。


「やっぱお前の魔法は凄いな。その年で上級を使える魔道士なんて滅多にいないからな…

 天才ってやつだねぇ」


「師匠の教え方が良いんですよ。 ユイももう無詠唱で中級まで出来るようにはなってますし。

 あの人に教われば皆すぐ覚えますよ。」


「まぁ サリーは… そうだな。 あいつはやべえ奴だからな… うん…」


オルバが遠い目をしている。 過去に何かされたのだろう。


息子としてはそっとしておいてやろう…


俺たちは家に戻り。 アイリーンの暖かい夕食を頂いた。


夕食を食べ終える片づけを行う。


「では片づけをお願いしますね。 私は少し掃除を行ってきます。」


はぁ~いと元気よく返事をするのは。


黄色と白を混ぜたエプロンドレスに。

フリフリのスカート 花柄の模様が所々にちりばめており。

レース付きのカチューシャを付け。 ちらりと生足をのぞかせる姿。

所髄メイド服を着飾ったユイである。 


なぜユイがメイド服を着て片づけをしてるのかというと


なんでもサリーが

「良いですか。 貴女は家族ではありますが。同時に一家の淑女です。

淑女足るもの家事の一つや二つは出来ておかねばなりません。

家の中では掃除や奥様の手伝いをお願いしますね。」


と言い出した為である。


それ以来、ユイは家の中では基本的にそのメイド服を着ているのである。


発端は、俺が部屋で。ユイに何を着せたら一番似合うかを考えて。


書きなぐっていたのを後日サリーに見つかり。


「ヒロ様はこういうのがお好きなのですね… フフッ」


と笑われ。その後それと同じ形のメイド服を自作したという。


この師匠凄すぎる。


それと同じ服をサリーの分とアイリーンの分も作り。 今では3着のメイド服が家にあるという。


何故アイリーンのがあるのかというと。 


そのメイド服を来たユイを見たアイリーンが


「キャー! ユイちゃん!! 可愛いいいいい えっ? 何その服!? 可愛すぎる~! 

 ねぇねぇねぇサリー 同じの私にも作ってぇー」


と言い出した為である。 


そのメイド服はというと。 たまに夜中にオルバと情事をする際に使用しているらしい。


オルバめ、コスプレイ等覚えやがって… うらやましい。


俺はというとメイド服を来たユイを見る度に


その可愛さに言葉を失う。 


1回その姿でユイが照れながら


「ヒロちゃん。ユイの事、好きにしても良いよ♡」と言われた事がある。


その言葉を聞いた後の記憶は覚えていない。 気が付いたら自室の部屋で寝かされていた。 


サリー曰くユイがヒロちゃんがぶっ倒れちゃったとあわてて呼んだらしい。


つまり俺は余りの可愛さに意識を持って行かれたのである。 なんてもったいないことを!!


そんなフリフリで天使なユイをじっくり堪能しつつ、 ユイが片づけを終えた時だった。



「ヒロ様。 ユイ、明日は町に出かけましょうか。」


サリーがそんな事を言い出した。 


「町ですか? でもいつもはサリーが一人で言ってましたよね? 急にどうしました?」


「町!? 町に行けるの? ヤッター ユイ お洋服みたいなぁ 

 後々 美味しい物とか! 色々みてみたーい!」


 ユイがはしゃぎだす。 こらこらユイもう少し静かにしなさい


「そろそろ蓄えの食糧が尽きそうなので 買い足しをしておきます。

 それにヒロ様とユイには町の雰囲気を一度味わった方がいいかと思いまして。」


町か… 生まれてこの方。 一度も町に出たことがない… 


町はここから山を一つ越えた先にあり。 往復で二日はかかる。 


今までは山には魔物が生息しており。 俺たちを連れて行くことはしなかったの事


「ヒロ様とユイは 魔法に関してはもう山の魔物たちを余裕で倒せます。 

 問題は実践経験のあるヒロ様に比べユイはまだ魔物と戦ったことがありません。

 ユイも中級までは無詠唱で出来るようになったので… ここらで将来の為に。

 魔物との戦いを経験してもらいます。」


 との事である。 ユイはいつものおちゃらけた感じの返事はせず


 ただ「分かった」とだけ返事をし。 部屋に戻っていった。


 俺はユイの後を追う。


 トントン 「ユイ? ヒロだけど… 入っても良いかな。」


 そういうとドアが開いた 中に入るとメイド服姿のまま暗い表情をしてるユイがいた。


 「ユイ…」


 「ヒロちゃん… ユイ、怖いんだ。」


 先に話を切り出したのはユイだった。


 「魔物と戦うって聞いた瞬間ね。 どうしてもオーガの事を思い出すんだ… 

  ユイ 実はあの時の事 たまに夢を見ちゃうし…」


 「ユイはヒロちゃんがあの時来なければ… やられていたかも知れない…

  パパとママがやられた瞬間を。 どうしても思い出しちゃうんだ…」


 ユイの話では一瞬で真っ二つだという 確かに思い出したくない話だ。


 「ユイ 怖いんだね。 怖くて怖くて。 町に行くのは楽しみだけど…

  魔物と会うのは。 嫌だなぁ」


 ユイの表情がさらに暗くなる。 暗い顔は似合わない…


 「ユイ… 俺は。もし魔物がユイを襲ってもユイを守るよ。 どんな時でもね。」


 「ヒロちゃん?」


 「ユイは ユイのまま 大丈夫。 道中魔物が出たとしても。 

  俺がユイに近づけさせない。 悲劇も繰り返させない。 俺が守るよ。」


 そういってユイを抱き寄せる。 少しでも安心できるように。


 「ヒロちゃんは優しいんだね…」


 「違う ユイだから守りたいんだ。」


 ユイが震える。 顔を見せないように 俺の胸元ですすり泣く。


 頭をなでながら。 ユイが落ち着くまで


 「だからユイは安心して。 俺がそばにいるから… 怖い事があっても 抱え込まないでね…」


 「うん 有難う…」


 やがてユイは落ち着いたのか。 胸元で静かに寝はじめた。俺はそっとユイをベッドに移し。


 自分の部屋に戻る。


 「明日は、ユイを怖がらせないように… 俺が魔物を倒す」


 正直俺だって怖い。オーガに殺されかけたのは俺だって同じだ。 


 ユイをなだめてる間も必死に震えを我慢してた。 フッ 俺もまだまだ弱いな…


 精神的にはもう30近いおっさんなのに まだ怖い物があるらしい。 


 だが… 怖がってる場合じゃない。 俺以上に怖がっている。 たいせつなひとがいるんだ。



 ユイに怖い夢を見せる魔物を 

 

 ユイが怖い夢を見ないように。 ユイに危害を与える存在から。


 俺が守る… 


 そう決意し。 俺は眠りにつく


______________________

ユイ視点


 「ヒロちゃんは…本当に優しいんだね。」


 ヒロちゃんに泣きついた後 ユイは眠ってたらしい。 窓の外を見るとうっすら明るくなっている。


 ふと外に誰かがいるのが見えた。 


 窓からチラっと見ると そこはいつも顔を合わせている。


 ユイの命の恩人がいた。


 木剣を手に取り。 素振りをしている。


 顔つきは真剣そのものだ。 


 成長してきたのか。 最初にあったころより。


 顔つきもほんの少し凛々しくなっている。


 筋力もついてきたみたいだ。まぁまだ子供なんだけどね。


 「ユイは 弱い子だよ。本当はヒロちゃんも怖いはずなのにね。」


 あの戦いはユイも遠目から見ていた。 


 ヒロちゃんがオーガに吹き飛ばされて、そのあと。


 オーガに殺されかけるところも。 


 「オーガの話をした時。 ヒロちゃんも震えていた。ユイと同じ

  いやそれ以上に。」


 怖くない訳がないよね。 殺されかけてたんだもん。 


 「それでも、ユイに悟らせないように。ユイが安心できるように。頭をなででくれた…」


 暖かい手。 優しい手。 愛しい手。


 「ユイ… やっぱりヒロちゃんに助けられて良かったよ。

  でもね…」

 

  きっとヒロちゃんは ユイの為なら命も投げ出す。


 でも… それじゃ。ユイがまた寂しくなっちゃう…


 ユイをヒロちゃんが守ってくれるなら。 ヒロちゃんは誰が守るの?


 サリー オルバ アイリーン 多分 みんな守ってはくれる…


 でも。やっぱり… 


 「ヒロちゃんは ユイが守りたい。」 


 ユイだって。 守りたい気持ちは一緒。 ヒロちゃんだけに迷惑はかけないよ!


 「今日は 頑張ろう…」


 ユイは魔物を前に戦えるのかな…?


____________________


 早朝のまだ朝日が昇る前。

 

 俺は一人剣の訓練をしていた。 


 今日のシミュレーションを行う。


 ゴブリンが出た場合。 ウルフが出た場合。 


 オークが出た場合。 そして… オーガがでた場合。


 まだ剣ではオークにすら勝てない。


 だが魔法一辺倒の戦い方も危ない。 


 少しでも動けるように。 剣を振り続ける。


 「さて では行ってきます。」


 「あぁ 気を付けてな。 ヒロ ユイ お前らも気を付けろよ。

  まぁサリーが居れば大丈夫だとは思うが。 万が一という事もあるからな。」


 「分かりました。」

 「わかりましたー!」


 同時に返事をする俺とユイ。 


 「サリー ブリストを使ってくんだよな?」


 「はい 何時ものようにお借りしますね。」


 「おぉ 逃がすことは勘弁してくれよ あいつは良い馬だからな。」


 ブリストとは。 我が家で飼っている馬車を引く馬である。


 オルバのお気に入りの馬で。 良く世話をしている。


 ルートは魔物の出にくい道を通り 山を半日以上かけてわたる。


 その後町に着いたら一泊し。 次の日に買い物を行い。 また1泊をし。


 三日目の朝に出発。 夜中中に戻る予定だ。


 ブリストに揺られながら山道までの道をゆく。


 幸い村の方から山の方まで 道は整備されており。


 周りも見晴が良いため。 ここで魔物に襲われることはなさそうだ。


 だけど…


 「ヒロちゃ~ん? 大丈夫? さすってあげるね…」


 「ヒロ様。 無理なようでしたら。 一旦休憩を取りましょうか?」


 「いえ… 大丈夫でウップ ウエー… このまま安静にしてたら収まるので 大丈夫です… オエッ」


 絶賛 俺は馬車酔いをしていた。 生まれて初めての馬車に乗ったため。


 興奮してはしゃいでいた。師匠に馬に乗るのを変わってもらい。 


 ブリストにまたがっていたが。 途中でブリストが俺の乗り方が悪かったのか。


 暴れだし。 激しい揺れに襲われた俺は酔いに負けてしまったのである…


 今ブリストは師匠に手綱を引かれている。 心なしか顔がご満悦である。


 こいつめ…


 「ちょ… ちょっとは収まって… 来た… かな。

  ユイ… もう少し… さすってもらって良いかな。」


 「うん。良いよ。 ユイの手で元気になるなら。

  何時でもしてあげるね。」


 ハッ なんて愛らしい事を言うんだこの子は… 俺の心も元気になる。

 ユイの手のやわらかい感触を感じながら。 

 

 対に魔物のいる山道に入っていった。


 山道に入り。 警戒をしていたのだが。 予想外に魔物は現れず。


 峠を越えた俺たちは下りの道に差し掛かっていた。


 「このまま現れなきゃいいですけどね。」


 「そうですね。なるべく合わないようルートを通ってはいますが。

  警戒を怠らないでくださいね。」


 そのまま山を下っていく。 そして4時間くらいたったであろう。 


 夕日がきれいな景色を見ながら山道を下ってたら。 ブリストが動きを止めた。


 「師匠… どうしました?」


 「敵です。 しかも囲まれました。 ヒロ様 ユイ! 戦闘態勢を取ってください。」


 すぐさま馬車を降り 腰に掛けた剣を抜く。 これは出発する前。


 オルバが俺に渡してくれた剣だ。 


 ユイには倉庫から盾を渡している。 ユイも魔法を使えるが。


 身を守るのは重要だ。 なので動きやすいよう軽く素材が丈夫な盾をもたせている。


 「敵は 前方にゴブリンとウルフそしてオークが5体ずつ。

  後方にはゴブリンが3対ウルフが4対います。

  結構多いですね。 ヒロ様 ユイ 貴方たちは後方をお願いします。

  良いですね。」


 「ハイ 師匠! ユイ行くぞ」


 後方へと飛び出す俺たち。 それと同時に師匠が前方に出向く。

 

 先にウルフが飛びかかってくる。 距離を取らせないように。ウルフの方向に泥沼を展開する。


 「ユイ 俺が足を止めてるから。 風魔法でウルフ達を倒せるか?」


 土で近づけさせないようにそこら中に展開させる これでうかつには近づけまい。


 「うん! やってみる。 ウィンドブラスト!」


 風を圧縮した一撃がウルフに当たる。 吹き飛ばされて後方に叩き付けられるウルフ。


 どうやら一体倒したようだ。 


 「良くやったぞユイ! このまま俺が足を止めてるから一体ずつ確実に行くぞ!」


 「うん 分かったよヒロちゃん!」


 俺は一旦泥沼の範囲を広げるのをやめ。 動きが取れなくなるゴブリンを標的にする。


 「ちょうど数がまとまってくれるならやりやすい。

  水よ穿て! アクアブラスター!」


 龍の形をした巨大な水龍が。 ゴブリンを襲う。


 水龍に飲まれたゴブリンは 跡形も無く砕かれる。


 「ちょっとオーバーキルすぎたか。」


 残りはウルフ2対。 奴らは泥沼を警戒し近づくのをやめ 潜伏していた。


 こちらの出方をうかがってるようだ。


 「奴らはどこにいる?」


 集中して辺りを見渡す。 その時。草むらが揺れ動くのを捉えた!


 「ユイ そこの後ろにウルフがいるぞ!」


 「分かった… スラッシャー」


 鋭利な風の刃を展開し。 草むらの蔭に放つ。


 草木を切り裂いた後。 ギャオオオオオオオオンンという絶叫と共にウルフが切り裂かれる。


 「後1匹… 後ろか!」


 足音が後ろから聞こえ 振り向くとウルフが飛びかかっている。


 それを土壁で防ぎ。剣を取り出し。横から切りつける。


 「はぁあ!!」 


 切りつけた剣が当たり。 ウルフから血が飛び出る。


 だがまだ動きをやめない。 浅かったか!


 「だが動きは鈍った。 これなら」


 すかさず接近し。踏込と共に横に切り払う。


 動きが鈍ったウルフはよけることが出来ず。 真っ二つになっていく。


 「ふぅ… これで全員か ユイ~ 大丈夫か 

  ッ!!!」


 急いで駆け出す。 レビテーションを使い風魔法でさらに加速する。


 「あっ ヒロちゃ~ん ユイは大丈夫ってどうしたの?」


 話す暇はない。 何故なら後ろにオークがいるからだ。 


 オークは手に持った斧でユイに切りかかろうとしている。


 まずい!


 ユイを突き飛ばす。 突き飛ばした間に割り込み。 そこにオークの斧が振り下ろされる。


 ザシュッ 肉が斬られる。 


 グッ 痛みが全身を襲う。 背中が斬られる。 血の感触。


 「ヒロちゃんいきなりどうしたの!って ヒロちゃん!? ヒロちゃん!?」


 ユイの叫ぶ声が聞こえる。 オークはユイを標的に定め。 ユイの方に走り出す。


 「えっ えっ?? こ 来ないで 嫌あああああああああ」


 錯乱する。 手当たり次第魔法を放つが見ないで打つ魔法は一つも当たらない。

 

 俺は回復するよりも先にユイを救出する事を選ぶ。


 魔力を込める。 エアハンマーをオークの横っ腹に叩き込む。 


 吹っ飛ばされるオーク。 その隙にユイの元へ走り。 回復の為に木々に隠れる。


 「ヒロちゃん! 血が出てるよ… 死ぬ… 死んじゃう。 だ…駄目駄目駄目!!

  癒しの力よユイの思いにこたえて。 祈りを捧げよアイズキュア!!」


 ユイが回復魔法を使う 


 背中の傷はふさがり血も出てない。 


 痛みが治まった俺は一旦深呼吸をする。


 「ふぅ… ありがとうなユイ 大丈夫だったか?」


 「ユイは大丈夫だけど。 ヒロちゃん… 刺されたところ大丈夫なの…?」

 

 「あぁ もう大丈夫だ。」


  痛みも完全にない。


 「それより ユイが無事で本当に良かったよ。 間一髪だった。」


 「良かった… ユイ ヒロちゃんが死んじゃうと思って…」


 「大丈夫 俺は死なないさ。 それより。 ちょっと待っててくれよ。

  あいつを倒しに行く。」


 体制を立て直し。接近してくるオークの目前に躍り出る。


 「さっきは良くもやってくれたな。 覚悟しろよ。」


 指先に魔力を込める。 ユイを泣かせたんだ。 相応の苦しみを以て死ね。


 「炎の槍よ。魔道王ヒロが詠唱する。 

  内なる力よ湧き出でる高熱に その身を破壊せよ!

  ブラストバーン!」


 高速の火槍をオークに放つ。 火槍が刺さったオークの体から。


 さらなる爆発を起こす。 巨大な爆音と共に。 オークが跡形も無くなる。


 「フンッ 手こずらせやがって」


 慈悲もなく。敵を焼く。 


 お前に同情する余地などないのだよ。


 「ヒロちゃん… 終わったの?」


 「あぁ 終わった。 とりあえずは大丈夫だ。 師匠と合流するぞ。」


 最初の位置に戻ると。師匠も全て片づけたようだ。 馬車の様子を確認している。


 「終わりました。師匠。オークが出現して危なかったですけど。 全員倒しましたよ。


 「お見事です。 あれ?ユイ? どうしました。」


 ユイの表情が暗い。 俺が斬られたのをまだ気にしてるのだろう。 

 

 「サリー… ヒロちゃんが斬られたの。 

  

  血が出て。 死ぬかもしれないって思った。」


 「ヒロ様には回復魔法があります。 急所さえ突かれなければ大丈夫ですよ」


 「でも! もし急所を突かれて… 回復が間に合わなかったら!!」


  大声で怒鳴るユイ。 まずいな少しパニックのようだ。 落ち着かせよう。


 「ユイ大丈夫だよ。突き飛ばした時。急所は避けるように受ける事が出来た。

  傷も浅かったし。今はピンピンしてる。大丈夫 俺は生きてるから。」


 ユイを抱き寄せる。 頭をなでる。落ち着くまで… 大丈夫だと言い聞かせる。


 「もう 二度と… あんな危険な事しちゃ駄目だからね…」


 「うん 分かったよ。 ごめんな。」 


 その後。 山道を降りて、町へとたどりつく。 


 その道中、俺とユイの間に会話はなかった










後5話くらいで1章が終われたらいいなぁ… 

これからもよろしくお願いします。 

※ 話の構成が面白い参考に出来る文献等あれば教えてください

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