表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/71

3.暇ができたので昔の日記を読んでみた


こんにちは、昨日頑張ったら一日余裕ができてしまったアスランです。


……暇ですね。


こんな時は市場を見て回るとかも良いんですが、先日家賃をまとめて払ったためにちょっと貧乏でして……つまりあんまり出歩きたくないんです。悲しいですね。


仕方がないので勉強でもと思うんですが、これまたこの街には図書館が無いのです。

紙は貴重なので、あまり出回っておりません。活版印刷も、全く無い訳ではないようですが私は聞いた事がありません。一般人が本に触れられるのは、王都の王立図書館位しか無いんですよ。

後は各領主様の個人収集本等ですが、雲の上の方々に事前のアポイント無しに行けるところではございません。

手詰まりですね……。



本当に仕方がないので、奥の手です。昔の自分の記録でもみて、復習してみましょう。

私は鞄から一昨年おととしの日記を取り出し、適当に開いてみました。


―――――

―――


○月×日



この世界にきて3年半くらい。未だ帰り道は見つからない。

オルフェーシュ師匠は鬼だ。鬼畜とかドSとかそんな領域ではないと思う。鬼だ。


今日も氷竜ムーちゃんに乗る練習をさせられた。

鞍が無かった。雲の上辺りで手が滑って落ちた。

針葉樹に刺さる一歩手前で捕まえてくれたけど、左肩を脱臼した。師匠が笑って入れてくれたが泣くほど痛かった。

いつかは空で人がゴミのようだと言ってみたい。





………おおぅ、コレほんっと痛かった。

でも私この時たしか凍傷とかにもなった気が……。


―――――

―――


◇月△日



久々、師匠の友人ベルナークさんが遊びに来た。

なんか東洋の黒龍みたいな竜を連れてきた。名前がややこしかった。

触らせてくれたが掌が真っ赤に被れた。

腕を舐められたらとんでもなく爛れた。

昨日毒の治癒術を教わってなかったら死んでたかもしれない。

フェルゲニシュ許さん。





うわぁ……確かこの時骨が見えるほど溶けて肉えぐったんだよな。

確かにお陰で治癒の上級『再生』が出来るようになったけど……最終的に気を失って、起きたら師匠が解毒が蘇生でなんちゃら言ってたっけ。

ああ、思い出せない思い出したくない……。


―――――

―――


☆月◎日


ドラゴンの通称ドラゴン風邪の治療の補助をさせてもらった。

前を持ってろと言われたから持っていたら、くしゃみと一緒に炎のブレスを吐かれた。

炎嚢(えんのう)管支炎で竜の真っ正面に立つのは、かなり危ないからとめっちゃ怒られた。

炭化したら流石に蘇生できないらしい。ホント気を付けよう。






この時真っ黒焦げになったんだっけ。でも治してもらった後の師匠の方が危険だと思ったんだよね。

……あれ?実は師匠、私のこと嫌いだったのか?





なんだか読むほどに虚しくなってふて寝することにした。


夢の中に出てきた師匠は、木陰でムーちゃんに寄りかかりながらお昼寝してました。

キラキラした木漏れ日の中で、蒼味がかった白いムーちゃんと黒で纏めた旅装束の師匠は、一幅の絵画のようで眼福がんぷくでした。寝てたけど。




そうそう。夜に食堂に行ったら商人さんからの伝言があって『トラブルがあって、診てもらいたい竜は1週間では戻ってこられません。戻りましたら魔石で連絡します』との事でした。


では明日おうちに帰りましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ