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19.リッジテールの品評会


こんにちはっ!今日は癒される楽しいお仕事を貰ったアスランです。

ケルマン国で幅広く商売されていた鉢巻き親方さんからの紹介依頼で、リッジテール品評会の会場に来ています。

今年はとっても賑わっているみたいですよ。


私の役割は、不正が無いよう展示会場に入る直前のリッジテールに浄化魔法をかける事です。

……まぁ私のやり方は呪符ゲートと浄化魔法を水に溶かした魔法水スプレーだけどね。

だって、いちいち魔法かけてたら100頭以上いるのに私一人じゃ魔力が足りる訳無いですし、効果が同じだから良いのですよ。たぶん。


「いっつも思ってたけどさ、君の魔法って変わってるしホント凄いよねぇ」


見回りに来た鉢巻き親方さんが、感心しながら差し入れに果実水を持ってきてくれました。

ありがたく頂きながらも右手はシュッシュと霧吹きを続けています。


「うちら商人としては助かってるけどさ、国とかに専属でどうかって言われたりしないのかい?」

「ああ、税金とかちゃんと一般国民の義務を果たしていれば、竜医は国の規定に沿わなくても大丈夫なんです。私たちの上役はズメウですし」


まぁ国を跨いで仕事する時にはその分国から課税されるので、多少料金上げてたりしますけどね。

自国内に竜医のいる国は、国の大事には協力するという暗黙の了解のもとに自国内での活動に対して税制優遇したりする等、大事にしてくれているのです。


「まぁでも何より私は駆け出しですし、仕事を選んでる余裕なんて無いです。依頼を受ければ何だってやりますよー」


「おー、そりゃ頼もしいな。今後とも頼むよ」


鉢巻き親方さんは工夫すれば意外と楽しくできるお仕事を持ってきてくれるので大歓迎だったりします。

逆に、べの付く人の要件はほぼ毎回無茶苦茶なので、師匠の件がなければ連絡を断ちたいくらいなんですがね……。


そんな無駄話の最中に、会場入りしようとした淡いピンク色のリッジテール君が魔法水のかかった所から色が落ちました。


「おおっと、君はちょっと待ってね〜」


全身に浄化魔法をかけると、渋い赤になりました。

……このまんまの方が珍しくないかい?


とりあえず不正が発覚して失格ですので、脇に避けてもらって鉢巻き親方さんに飼い主共々引き取ってもらいました。


「また回って来るよ、頑張ってな〜」

「もちろんですよ〜今後ともご贔屓にお願いしますね〜」


その後も、ポツポツと色の誤魔化しやら薬草での筋力増強やら幻術かけてたりを見つけ出しては弾いていきました。竜医じゃない人が竜種に魔法をかけるのは大変ですからね。ある意味尊敬しますよ。


そういやタブリーズの商人さんトコのクラブ君も出てましたよ。

歯が良くなってからは動きも良くなったらしく、彼は色は珍しく無いのですが体躯のバランスが非常に良いので体格部門で銀賞を貰ってましたね。

知ってるコが誉められると何だか嬉しいものです。


今年の色部門の優勝は、斑な黄緑色でした。今年は全体的に派手なコが多かった気がします。



「あー…終わったー……」


夕日を背景バックに、ポチに乗ってのんびり家路につきます。

今日はもう面倒なので、露店から何か買って夕飯にしようっと。


今年の品評会は、出場数が三割増しだったそうで報酬は始めに聞いていた額よりかなり色を付けて下さいました。

まぁ竜医二人分よりは全然安いから大丈夫ありがとう、と言われましたのでそのまま受けとることにしました。


あー、いつかは品評会の審査員もやってみたいなぁ。


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