はじめに
これは赤無市に住むぼくが集めたオカルト話をまとめたものだ。
実際に怪異に遭った人から聞いたものもあれば、伝聞のものもある。だから、これらの話がどれだけ信憑性があるものかと問われると、甚だ怪しいものがほとんどなのかもしれない。
話によっては曖昧な記述もあるし、長いものもあれば短いものもある。オチのない話だってある。でも、それは元の話の内容に依存するものなので勘弁してほしい。
それらの話を紹介する前に、赤無市について少し紹介しておこう。まず、前提を覆して申し訳ないけど、赤無市というのは仮の呼称だ。
都道府県も伏せておこう。都会でもない田舎でもない、典型的な地方都市と考えてほしい。コンビニもキャリア毎のケータイショップも徒歩圏内にあるし、自転車で少し走れば大型ショッピングセンターもある。街の中心には大動脈のような環状線があり、そこをバスが潤沢に走っていて、通学には数年前までこのバスを使っていたけれど、最近は地下鉄も伸びて来たので、それを使うようになった。便利になりすぎたせいか、僕自身は車の免許を取る必要さえないと考えている。環状線の交通量が多いせいで騒音が少し耳障りだけれど、生まれてからずっと住んでいるので、もう気にならない。
ありふれた住宅街と言えるかもしれない(この街を出たことがないからなんとも言えないけど)。だけど、この赤無には妙な空気が蔓延している。その正体はぼくにもわからないんだけど、物騒な話も多い。ひったくりや空き巣は、まあどこでもよく聞く話かも知れないが、テレビのワイドショーで大騒ぎになるような事件も数年に一回起きていたりもする。何だか、街全体を不安感やひっ迫した緊張感みたいなものを覆っている感じ。
そのせいか、奇妙な体験や怪談などのオカルトめいた話がとても多い。
何故こんなことをするのかと言われると答えに窮してしまうのだけれど、この手の話が昔から好きだったからというのが一番で、それに次いで、この赤無にはぼくの興味をそそるオカルト話が沢山あるから、こういう場所で、紹介していった方が面白いんじゃないかと思ったのだ。
すでに聞いたものから新しく仕入れたものまで、情報が入り次第順次更新していく。どれだけ続けられるかはわからないけれど、もしよければお付き合いください。